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オーストラリアに根付く地域コミュニティとボランティア精神

 

出典:Orange Sky Laundry公式Facebook

 

先日、職場で大量のチョコレートをもらいました。あまりに量が多いので、マーティン・プレイス(Martin Place)にある「24/7 Street Kitchen and Safe Space」に持って行けば役に立つかなと思いました。

 

マーティン・プレイスの東側(マッコーリー・ストリートとフィリップ・ストリートの間)で目にするホームレスのコミュニティは、2011年に起こった「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」のデモを機にきちんと結成されたそうです。景気は悪くないけれど、住まいを失う人々が年々増え続けているシドニー。路上で暮らす人々、特に女性や年少者も安心して眠れる場所として、Lanz Priestleyさんが発足させた「24/7 Street Kitchen」には、寄付された飲食物や衣服、毛布などが常に用意されています。

 

 

出典:24/7 Street Kitchen公式Facebook

 

マーティン・プレイスには、シドニー各所をナイト・パトロールしている慈善団体のSt Vincent de Paul Societyも、人々に食事を配給するために立ち寄ります。オーストラリア社会はボランティア活動を通して社会に還元するという考えが根付いているようで、企業やホテルの社員がこうしたボランティアに参加することも少なくありません。

 

この夜も、「Vivid Sydney」開催中でライトアップされたMLCセンターのすぐそばに、大きなバンが停まり、絶えない行列に並ぶ人々に向けて無料のパンや紅茶を配っていました。普段と違っていたのは、食事を配給する車の他にも、オレンジのバンが停まっていたことです。よく見ると、車の後部には洗濯機と乾燥機が備え付けられていました。

 

出典:HUFFPOST

 

これは移動式無料洗濯サービス「Orange Sky Laundry」というもの。当時ともに20歳のLucas PatchettさんとNicholas Marchesiさんが、食事や住居の援助と比べると軽視されてしまいがちな衛生面を考慮し、2014年にブリスベンで開始したサービスです。食事を配給する他の団体と提携し、人々が食事をしているあいだに服を洗えるシステムは、彼らの衛生基準を向上させる他にも、会話を通じて自立支援と社会復帰へつなげる機会をつくれます。初めは2台の洗濯機と乾燥機、発電機を搭載した古いバンでブリスベンを回っていた「Orange Sky Laundry」ですが、今では世界的に有名な企業や地域の福祉サービスを積極的に巻き込み、オーストラリアほぼ全土で展開。コミュニティに復帰してもらうために必要な支援について考えさせてくれます。

 

大量のチョコレートは「24/7 Street Kitchen」の店番をしている人に手渡し。「みんなで分けて食べるよ」と喜ばれたので安心しました。私は帰る家とベッドがありますが、彼らは暖かくして眠れるのかなと考えながら帰途についたのでした。

 

文:武田彩愛(編集部)

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