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ワーホリシェフがイベントを実施!「オーストラリアという選択肢を日本の料理人に伝えたい」

 

シドニーのフレンチレストランでシェフ・パティシエ、スーシェフを経験した、ワ-キングホリデーメーカーの沢山慶充さんによるコース料理が楽しめる1日限りのイベントが、3月13日にニュータウンの日本食レストラン・新町で行なわれた。2月26日にモスマンのアートギャラリーで行なわれたイベントの第2弾で、沢山さんを中心としたチームで、およそ40人をもてなした。この日のコースは前菜、魚料理、肉料理、デザートの4種類。食事の他に食前酒とデザートカクテルも提供された。

 

 

主催の沢山さんは、「オーストラリアでのワーキングホリデーの期間が終わる前に、最後に何か残したいと思った」と企画の意図を語る。

 

「昨年末にレストランを辞めた後、日本酒と料理のコラボレーションのイベントをしようと思ったんですが、途中で話がなくなってしまったんです。でも僕の中ではイメージも湧いていたし、一度ダメになってしまったからこそ絶対にやりたいという気持ちがあって。それに、他の人達がなかなかできないことをやることは、すごく意味のあることだとも思いました」

 

「地道に、やれることは全部やった」と話す通り、会場探しや集客など、イベントに関することは全て自分たちで準備。シドニーの陶芸教室「Ceramic Studio En」に食器を提供してもらい、スタッフの一人である出張料理人の新羅彩乃さんはわざわざ日本からオーストラリアに赴き、肉料理をすべて担当した。他に知り合いのシェフやバーテンダー、場所を提供した新町のオーナーなど、多くの人が協力している。

 

イベントを終えて、「こういうイベントを通じて、オーストラリアという選択肢もあることを日本の料理人に伝えたい」と沢山さん。

 

「シドニーにしか住んでいないので他の都市はわからないですが、少なくともシドニーの人は食にすごく興味があって、いいものにお金を使います。多民族国家だから、各国の料理が楽しめるレストランがあちこちにあるし、スーパーの品揃えも良く、『これがあるのか!』と驚くような食材が手に入ります。だから、例えばフレンチの料理人がフランスではなくオーストラリアに来たって、そこには大きな可能性がある。僕が今回のようなイベントで結果を出すことで、次の世代の料理人の選択肢やチャンスが広がるといいなと思っています」

 

ワーキングホリデービザは4月下旬まで。その後は料理人として新たな経験を積むべく、世界を回る予定だ。

 

「オーストラリアの後は、ノルウェー、デンマーク、フランス、オランダ、ベルギー、ブラジルと、料理の勉強をしに行きます。地域ごとのいろいろな料理を知りたいし、今回のようなイベントは今後もやっていきたいですね。そうして世界を回ってたくさんのものを吸収して、得た経験を日本に持ち帰って、いつかは自分の店を持ちたいです」

 

 

前菜の「Taste of Vegetables」。野菜のシンプルな味を4つのソースで楽しむ。

 

魚料理の「Sea Depth」。「海の底から見上げたときの、光が差し込むイメージで作りました」(沢山さん)

 

出張料理人の新羅さんが手掛けた肉料理の「Kakuni Pork Belly with Vegemite Sauce」。クセのあるベジマイトが見事にソースと馴染んでいる。

 

デザートの「Nature」。シドニーのレストランでスーシェフになるきっかけとなった「STUDIO10」と「2hungry guys」に取材を受けたときのデザートを再構築。

 

取材・文・撮影:天野夏海(編集部)

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