学校に会社に地域コミュニティに…。私たちは誰しもが何かしらの集団に属しながら生活しています。個の集まる集団の中で生きることは、当然さまざまな軋轢も生まれてきます。そこで重要になるのがチームワークです。

今回は、グループウェア日本国内トップベンダーであるサイボウズ株式会社のグローバルビジネス戦略室長を務める青山賢氏と、シドニー日系ITコミュニティJAIT主宰の溝尻歩氏、そしてサイボウズ株式会社のクラウドサービス・kintoneを導入しているJAMS.TV取締役社長の鷲足博の3人にチームワークの重要性について語ってもらいました。


鼎談(ていだん)を始める前に、まず3人にサイボウズの公式ホームページ冒頭で公開されているワークスタイルムービー『大丈夫』を観てもらいました。

ドラマで描かれているのはワーキングマザー。仕事が終わったら走って保育園に子供を迎えに行き、子供が病気になったら、家族を頼れるか、病児保育を利用することができるかとあれこれ考えます。そんなとき抱いていた子供がふいにつぶやいた「ママ大丈夫?」という言葉。きちんと仕事ができているだろうか。ちゃんと君を愛せているだろうか。そして、自分を愛せているだろうか。「大丈夫、大丈夫」、そう自分に言い聞かせながら「私は、大丈夫だろうか」といつも不安に思いながらも懸命に生活していく日本のワーキングマザーの姿を描いています。

前編では、日本とオーストラリアが抱える課題の相違点共通点、そしてそれらの問題解決策のひとつとしてのkintoneの存在について話してきました。後編ではkintoneの具体的な導入事例とともに、会社だけでなく、家庭や社会の課題をも解決していく可能性についても迫ります。
->ワークスタイルドラマ「大丈夫」鼎談・前編

プロフィール

青山 賢(あおやま けん)

慶應義塾大学大学院を卒業後、マイクロソフトディベロップメント株式会社に入社。「Microsoft Sharepoint」の開発に従事する。2011年に日本国内におけるグループウェアのトップベンダーであるサイボウズ株式会社に入社。執行役員と開発本部長を経て、グローバルビジネス戦略室長として、中国ローカル市場開拓の指揮をとり、目下はオーストラリア市場を開拓中。

溝尻 歩(みぞしり あゆみ)

大学卒業後、大阪のIT企業でシステム開発&サーバ運営を担当。2009年よりシドニーに移住。SMSクーポン、モバイルペイメントアプリ、法律系スタートアップを手掛ける。またIT技術者、オンラインマーケティング系の情報交換・親睦の場として、シドニーにJAIT(Japan Australia IT)を設立。参加者間のネットワーキングやスタートアップ支援を目的として活動中。

鷲足 博(わしあし ひろし)

東京、シドニーで18年間旅行業に従事。オーストラリア、ニュージーランド、フィジーのツーリズムマーケティングを通じ、シンプルな目的意識を共有する仲間とのコラボが新たな市場創出の源泉であることを学ぶ。2005年8月、他の創業メンバーとともにシドニーで初となる日本語生活情報ウェブサイト、JAMS.TVを設立。2012年1月より取締役社長を務める。

鼎談後編

JAMS.TVでは、kintoneの導入を社員全員が反対していた!?

オーストラリア市場の開拓は、今年(2016年)からスタートしました。まず最初に日系メディア企業にダイレクトメールをしたら、「じつはkintoneを使っています」と鷲足さんから返信がきたんです。

我々は「JAMS.TV」という日系コミュニティの情報共有プラットフォームを運営しています。お客さんの良質なコミュニケーションを生み出すことが我々の仕事なので、だったらまず社内のコミュニケーションを最適化しなきゃいけない。そう考えていくつかの情報共有ツールをカスタマイズしたり自社で開発したり、いろいろ試行錯誤してみたのですが、情報を共有することはできても、自由な意見を言い合う場所にするコラボレーションツールとしてはどれも不足していたんです。そこで出会ったのがkintoneでした。私が導入を提案したときは、じつは私以外全員反対していたんですけどね(苦笑)。

新しいチャレンジをするときには反対を受ける覚悟も必要ですよね(笑)。今はそのギャップは埋まったんですか?

重要性が浸透するまでに時間がかかる人もいれば、すぐに自分で試してみて「これは使えるね」と気づく人がいたりと、最初のうちはみんなの反応がまちまちで、正直、しくじりの連続でした。でも、徐々にデータが蓄積されてきて、便利さを体感するようになり、今ではスタッフ全員が一人ずつアカウントを持ち、毎日使うようになりました。

いい感じになってきましたね(笑)。kintoneのどこに惹かれて使われるようになったんですか?

やっぱり業務を改善する都度、アプリもアップデートが必要になってくるんですけど、その改善も自分でできることですね。あとはメインの基幹システムが別にあるんですが、その基幹システムとAPIを使った連動ができる。これはもう素人レベルの私では手に負えないので、IT技術者に任せています。いわゆるハイブリッドですよね。

『ハイブリッド』って、いいですよね。これこそ、kintoneの理想です。技術が分からなくても、現場のノウハウを知っている方も、自分たちでアプリを構築でき、できないところを技術者に任せるという、社会資源の合理化ですね。

そうなんです。それと、クラウドっていうのがやっぱり大きいです。スマホやタブレットからでも24時間アクセス可能。

自社サーバーだとエンジニアを持たなきゃいけなかったりしますから、そのコストカットもできますよね。

そうなんです! 実際のところ、自社でエンジニアを抱えられる規模の会社ってそんなにないですもんね。おかげ様で社内のコミュニケーションが以前に比べてよくなったと思いますし、会社が目指してる方向を社員に理解してもらえると、自分たちで勝手にその方向に進み始めるんですよね。

各個人のクリエイティビティに任せて、どんどんチャレンジして、失敗しながら改善していくわけですね。

会社ってそもそも無数の小さな意志決定の積み上げみたいなものじゃないですか。せっかく集まってくれた人たちが自律的に働いてきちんと結果をだせてそれなりに自分を成長させられる環境を早く作っていきたかったっていうのがもともとのところですね。

その通りですね。実際、今全部でどのくらいのアプリがあるんですか?

お客様情報や販売管理、出金管理やバナー管理、出張費精算やインターンの日報、議事録、プロジェクト管理など、全部で50近くありますね。

すごい!! チャレンジするっていうのは失敗がつきものですが、kintoneの場合は失敗してもいいプラットフォームなんですよね。失敗しても変えられる。まさにチャレンジ用のプラットフォームですね。ただその場合は各個人に自立性が求められるんです。

待っててもなにもありませんからね。自分から動いていかないとなにも得られない。コミュニケーションがあって、そしてチームの役割っていうのをはっきりわかってくるとすごくいい形でチームワーク、コラボレーションが生まれてきますね。

これからどんどん他企業ともコラボレーションしていけたらいいですね。ぜひJAITも何か貢献していきたいですね。JAITはもともと、僕が7年前にシドニーにきて就職活動とか、コミュニケーションとかどうやってとっていいかわからなかったので、情報共有をできる場所を提供できないかなと思ってつくったのがはじまりです。今は250名ぐらいの会員がいて、日系の技術者関連のコミュニティでは大きなグループになれた気がします。ただ日本人だけが集まるのではなく、日本に興味がある方、企業、いろいろなバックグラウンドの方が集まってコラボレーションできればと思っています。あと少しでも日本のコミュニティに貢献できてるとうれしいですね。

チームワークの文化をオーストラリアにも浸透させていきたい

当面の課題は、多様性人種や民族で構成されているオーストラリア社会にどういう風に組み込んでいくかということ。多様性のあるチームワークを支えるような文化や風土を生み出せればいいかなと。

たぶんJAMSさんのようにこっちの日系の企業でも悩んでる方がたくさんいると思うので、ワークショップの他にも、この鼎談のテーマのように実際の導入事例とかを紹介してもらえるとおもしろいですよね。

できるところは自分たちで、できないところは技術者の力を借りて

オーストラリア市場ではグローバル企業の導入事例もすでにありますが、現在はさらに幅広い事例作り、そしてそれに併行してSI(※2)も探しています。kintoneは仕様書もプレゼンテーション資料も必要なく、目の前でアプリを実際に作ってみせながら提案できます。商談の時間が短くなり、お互いの時間を節約できるのでこれもひとつのお客様とSIベンダーさんとのチームワークですよね。ワークショップも毎月やっていきたいなと思っています。

SIさんみたいに、ある程度アプリケーションを作ったことがあって、ビジネスプロセスをちゃんとデータ化できる、頭の中で理解しているような人たちが間に入るとより簡単にkintoneを導入できますよね。JAMSさんのようにエンジニアさんのいる会社はすでに他のツールを使った経験があってからkintoneを使われているので導入がすごく簡単だったと思うんですけど、たとえばまだ中小企業さんでまだ顧客データもエクセルで管理しているようなところは、初めてはやっぱり戸惑うでしょうから。

いわゆるその辺は基幹アプリケーションというんですよね。アプリケーションはいろんな種類がありまして、今言ったような顧客管理の基幹はちゃんとしたSIさんのもとでやっていただいたほうがいいし。でも、例えば訪問者リストとか日報とか、飲み代の精算やメンバーシップの管理、アンケート、FAQといったアプリは誰でも簡単に作れるわけです。

(※2)SI=システムインテグレーター。顧客の業務内容を分析して問題に合わせた情報システムの企画、構築、運用などの業務を一括して請け負う人または会社。

世の中はチームワークで溢れている

以前はエクセルとかスプレッドシートがいろんなところに断片的に散らばってて、共有フォルダに保存しても誰かが作業している間は他の人はさわれない。外部アクセスも制限される。さらに項目が一個追加されるだけで過去データを含めた摘出が面倒だったり諸々の不便さがありました。

ビジネス以外でもNPOとかコミュニティグループの集まりとかにkintoneを導入することも可能ですね。

シドニーの日系コミュニティでも高齢者介護の問題などに直面する世代が増えてきましたし、そういったところでもkintoneでお医者さんや看護師さんと離れて暮らすご家族とのチームワークの形成ができるといいですよね。

日本ではすでにホームケアのサービスがありまして、健康状況を遠くにいる家族に知らせるサービスなどがあります。ケアされる老人とスタッフと医者と家族、みんながチームワークを形成していく、それも目標のひとつですよね。それ以外のおもしろいアイデアも浮かんでくるかなって今もうわくわく感じてますね。どういう風に皆さん使われるのかなって本当にわくわくします。

日本も少子高齢化や地方創生の課題とかあって、これからは交流人口をふやして外からお金を引っ張ってこなきゃいけない。それでここ10年くらい一所懸命日本全国からいろんな自治体の方がお見えになって観光誘致や特産物の販路開拓をされているんですけど、そういう方たちとこっちのサプライチェーンがまたつながるっていう可能性もすごくあると思います。

これはもうグローバルなチームワークですね。

日本とオーストラリアの架け橋になるっていうのが我々の会社のミッションなので。そういったところでも活用のチャンスを考えています。

JAMSさんのように社内とか、日本との架け橋のためのチームワークとか、あるいはJAITのメンバーのコミュニティとかも全部チームワークですよね。チームワークは世の中に溢れているんですよね。これをいかに効率化して、推進していくのかがサイボウズという会社の使命でもあります。

これからどんどんコラボレーションしていければいいですね。JAMSだったりJAITとだったりkintoneだったり。もちろんほかのコミュニティも含めて。

ぜひ皆さんよろしくお願いします。

kintoneについて

サイボウズが手掛ける、まったく新しいクラウドサービス。サーバーも、高価なソーシャルツールも、むずかしい設計も、プログラミングも一切不要、チーム業務に必要な「情報をためる機能」「進捗を管理する機能」「コミュニケーションする機能」を兼ね備えた、チームワークプラットフォーム。社内での利用だけでなく、会社の壁を飛び越え、取引先や関係者を巻き込んだ幅広いチームに活用されています。

kintoneについての詳細はこちら↓
https://kintone.cybozu.com/jp/

kintone community in Australiaはこちら↓
https://www.facebook.com/groups/1113275808737191/

kintoneセミナーについて

■セミナー概要
  • 日時:2016年6月1日(水)18:30-21:30
  • 会場:Jazushi - a fusion of Japanese & New Eurasian
  • ウェブ:http://www.jazushi.com.au
  • 対象:会社経営者、マネージャー、業務リーダー、IT技術者
  • 募集人数:30名
  • 参加費:無料
■セミナー内容
  • クラウドサービス「kintone」を活用したチームワーク形成の極意
  • 日本国内、オーストラリアにおける導入事例の紹介
  • アプリ作成の実演(3分 hack)
  • 質疑応答
■懇親会
厳選素材、卓越の技、愛情たっぷりのカナッペと各種ドリンクをご用意しています。ぜひ皆で盛り上がりましょう。
■会場

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