西オーストラリア州初の世界遺産

1616年にヨーロッパ人が初めてオーストラリアに足を踏み入れた地に程近い
西オーストラリア州の最西端に位置するシャークベイは、
1991年、この州で初めて世界自然遺産に指定された場所です。

パースからノースウェストハイウェイを730km北上した地点、
コバルトブルーに煌めく遠浅の海には、300種を超える魚や哺乳類が生息し、
世界最大の海藻の森があります。
また、人魚伝説のモデルとなったジュゴンが1万頭も生息しており、
マンタ、ザトウクジラ、ウミガメも多く住んでいます。

野生のジュゴンが1万頭も!

シャークベイは世界最大のジュゴンのコロニーがあることで有名です。

ジュゴンはゾウと同じ祖先を持つ海牛目ジュゴン科の生き物で、体長2-3m、体重200-400kg。1日に体重の1/10もの海草(うみくさ)を食べています。ジュゴンは聴覚が大変発達しており、人間の約8倍も聞こえるといわれています。

南太平洋、インド洋、太平洋にかけて世界中でおよそ10万頭くらい棲息しているといわれ、沖縄がジュゴンの棲む海の北限として知られています。

大自然の不思議、貝殻でできた砂浜シェルビーチ

ビーチといえば主役は砂ですが、
なんと、このビーチはびっちりと貝殻で埋め尽くされているのです!

世界でたった2つしかない
貝殻でできたビーチのうちのひとつがシェルビーチ。

花びらのような小さな貝殻は遠浅の海の中まで続き、深さ7~10メートル、長さ110キロにおよぶビーチ一面を覆いつくし、眩しいくらいの白が青い空と一体となって、大自然の美しい光景を作り出しています。

 

地球上最古の現存する生物、ストロマトライト

野生のバンドウイルカや1万頭ものジュゴンのコロニーとして知られるシャークベイが世界遺産に登録された最大の理由は、実は地球上最古の生物ストロマトライトの存在によるところが大 きいのです。

半島の付け根の地点、湾の一番奥に位置するハメリン・プールでは、地球上最古の生物、ストロマトライトの群生地のため海洋自然保護区となっています。

35億年前から存在する古代生物ストロマトライトは、光合成により地球上で初めて酸素をつくった生物として世界の科学者たちが注目しています。
原始の地球上には二酸化炭素と一酸化炭素が含まれ、酸素は存在していませんでしたが、原核生物、シアノバクテリアが光合成を行い、酸素をつくり続けたおかげで上空にオゾン層が形成され、紫外線が弱まった結果今から約10億年ほど前にこの地球は生物が棲める惑星となったといわれています。