地図でご覧の通り、ニューカレドニアとGBRの間、コーラルシーからは暖かい潮が、タスマン海からは冷たい潮が流れてきて、ちょうどロードハウ島の沖合いでこれらが交わります。そのため、暖流と寒流のそれぞれに生息する魚類、貝類、珊瑚たちがこの島の近くで多く見られるのです。
メインアイランドの大きさは、南北11キロ、東西2.8キロ、南端にそびえ立つ2つのピークは、島の最高峰ゴウァー山(標高875m)、リッジバード山(標高777m)。この2つのピークの山頂付近には、常に雲で覆われ、そのため太古からの雲霧林が発達しており、ここが氷河期には植物たちの非難所となっていたのだそうです。火山活動により今からおよそ700万年前に現在の姿になったというロードハウ島は、豪州大陸本土との隔絶、大きな標高差、起伏に富んだ海底の地形が、鳥類130種、魚類490種、珊瑚は94種類にも及ぶ、豊かな生態系に恵まれた楽園をとりまく環境をつくりあげているのです。
これらの地球の進化の歴史、類稀な生態系の豊かさにより1982年に世界遺産に指定されました。
もともとこの島は、1,788年、囚人をのせてノーフォーク島へ行く途中の船により偶然発見されたのです。1,833年(日本でいうなら江戸時代の末期)には入植が始まり、商業捕鯨船への水と食糧の補給基地として、年間40隻もの船に物資を供給するまでになりました。
やがて1870年代に入って商業捕鯨が下火になるにつれ、次第に物資の供給先を失うのですが、一方で、島はケンティア・パームの原産地だったため、この種子の収穫から出荷までが次の時代の経済をささえる主要産業となっていきました。
観葉植物として有名なこの椰子の木は、低温で日の当たらないところでも育つため、豪州国内向けというより、オランダ、英国、北欧、北アメリカなどが、その主な出荷先となっていたそうです。
観光業の始まりは意外と早く、1920年代前半にはすでに大陸本土から観光客が訪れるようになり、1947年からシドニー湾のローズベイと島との間を、42人乗りのフライング・ボート(水上艇)が往来していたというから興味深いですね。
当時は、インターネットどころか電話も、宿の予約を代行するトラベルエージェントも無かったわけで、乗客は、ラグーンにフライング・ボートが着くやいなや、宿の確保を競って、全力で泳いで走りました。これがトライアスロンの起源というから驚きです。(うそ!) なにしろ1974年に島に滑走路が敷かれるまでは、大変だっただろうと察します。
太古の自然が残る絶海の孤島、ロードハウ島。島民の人口約350人に対して、ツーリストベッドの数が島全体で400床までに制限されています。
1982年にユネスコの世界自然遺産に指定されて以来、ツーリズムが島の環境変化にあたえるインパクトに配慮し、このような制限が設けられたとのことです。
部屋数でいうと全島あわせてわずか166室!
それらが17軒ものロッジ、アパートメント、B&Bに分かれており、それぞれを別のオーナーが所有しています。最大規模のロッジでさえ85ベッド(全33室)しかありません。
年間の訪問者数は1万5千人程度。海外や本土から観光開発のための大型資本が入りこみづらい仕組みが、島を急激な変化から守り、昔ながらの佇いと、みずみずしい自然を未来に残す役割を果たしているのでしょう。
ピークシーズンといえども観光客でごったがえすことなく、のんびりと静かな時間を過ごせる保証つき。このようなベッド数の制限設定は、この島を愛してやまないリピーターには、とってもありがいことなのです。
島には17軒のアコモがあり、大別すると次の3タイプに分かれています。
1. ロッジ・・・
レストラン、バーが併設されている、ひととおりのサービスの整ったアコモ。
2. B&B・・・
朝食と寝床のみ提供するタイプのアコモ。朝食以外は外食になります。
3. セルフコンテインドアパートメント・・・
日本風にいえば、“貸し別荘”タイプのアコモ。
食事は外食か自炊が基本、掃除、洗濯も自分たちでするタイプです。
ロードハウ島にはバッパー(バックパッカーズ)はなく、キャンプも禁止されています。また、本土からデイトリップするような距離でもありませんので、この島に滞在する場合、これらの中から目的、ロケーション、予算などに応じていずれかのアコモを選ぶことになります。
島にはレストランが合計10箇所あります。ロッジやB&Bのレストランは滞在客以外のゲストでも温かくもてなしてくれます。OPEN7DAYSのところは少なく、ほとんどのレストランは営業日、時間が限られているので、出かける前に確認するようにしましょう。
客室数は、1ベッドルーム x 4ユニット、2ベッドルーム x 2ユニットの合計6ユニット。床面積は1ベッドルーム70平方メートル、2ベッドルームが90平方メートルもあり、ゆったりとした贅沢空間にセンスと機能性を兼ね備えた内装が施されています。
自然の光をふんだんにとりいれつつも、ケンティア椰子を上手に利用してプライバシー
がしっかりと守られており、周囲の自然と一体となっている点が最大の特徴です。
6ユニットがそれぞれ違ったつくりになっているのも、敷地ごとに最もふさわしいデザインを選んだ結果だそうで、このことがリピーターを飽きさせない配慮にもつながっています。他のゲストに気兼ねすることなく過ごせるので、カップル、ご家族連れ(小さなお子様連れ)、友達同士でワイワイといった場合にとくにおすすめです。
客室数はレストランとバーがあるメインの建物に5室、ここから中庭をとおり新しく建てられて離れに3室の全部で8室。ロケーションは島の中央部、アールズアンカレッジのすぐ近くで、こちらもネッズビーチ、ラグーンビーチの両方へのアクセスに大変便利な立地です。
ロッジのオーナー夫妻は、この島で生まれ育った旦那と、NSWの内陸部で生まれ、
50年以上も前に島に嫁いできたという女将さん。
毎週日曜と水曜日のが『フィッシュアンドチップスナイト』の日。これがもう何十年も続いている、知る人ぞ知るこの島の名物料理なのです。パッと見、単なる白身魚とジャガ芋のフライですが、近海でとれるバーコッドという高級魚のフライで、サクサクしたころもと、プリプリでジュワーっとジューシーで、それでいて油くどさがまったくない白身魚の絶妙なバランス。島のローカルなら誰もが知っているというこの料理は、ロッジのゲストじゃなくビジターとしてもレストランを利用できるので、ロードハウ島に滞
在する際は是非一度、お試しあれ!
このロッジの最大の売りは、何はさておき島内随一の景色の良さです。
島の中心部からはずれ、南西部にポツンと建っていますが、標高875mと777mのゴウァー山、リッジバード山の雄姿がエメラルドブルーに輝くラグーン越しに迫る景観は、この島の最も印象的な風景の1つです。大陸東海岸では眺めることの出来ない、
海に沈む真っ赤な夕日もこのロッジからはバッチリ見えちゃいます。
合計9室ある客室すべてがスウィートタイプで、カペラスウィート、ファミリースウィート、ラグーンロフト、リッジバードスウィートの4つのカテゴリーに分かれています。
文句なしのインテリアのセンス、料理の質、サービススタンダードの評判の高さは、オーストラリアはもとより、世界屈指のロッジといえるでしょう。
新婚旅行やフルムーン旅行、一番大切な人と2人きりでしっぽりと過ごすなら、何しろ
ここが絶対お薦めです!
ロードハウ島はサブトロピカル(亜熱帯)に属しているので、12,1,2月の夏場でも最高気温が30度を超えることは滅多にありません。また、7,8,9月の冬場の最低気温が10度を下回ることも滅多になく、年間を通じて温暖な気候です。
月毎の平均気温や降雨量はこちらを参考にしてください。
ロードハウ島のベストシーズンは、目的により異なります。
○ダイビングやスノーケリングなど、マリンスポーツを楽しむなら
一般的に11月から3月までの夏場がベスト。
夏場の水温はだいたい25℃くらいですので、ウェットスーツが必要になります。
○ハイキングや植物を楽しむのなら
旅行代金が比較的手ごろで、気温がそれほど上がらない春先の9月後半から10月頃が
狙い目。この時期は植物の開花シーズンなのでお見逃しなく。
○サーフィンなら
11月から5月がオフショアの吹く季節です。
○読書や音楽、エステ&スパに耽るなら
冬場にあたる7,8月がまったりとしたスローシーズンです。
アコモデーションやレストランの中には一時休業になってしまうところもありますが、
航空運賃、宿泊代金ともに一番安い時期 になります。何もしないのがこの島での一番贅沢な時間の過ごし方かもしれません!!!
いわく、25年間の勤務期間中、酔っ払いのけんかの仲裁が1回あったきり、検挙者はゼロだったそうです。島の治安の良さは抜群。大半のロッジ、アパートメントのドアには鍵穴がなく、チェックインのときにルームキーを預かるわけでもありません。
島にはレンタカーはなく、島民や政府の車はもちろんありますが、制限速度は時速25km。信号は1つもありません。
バスや電車もありませんので、移動手段はレンタルサイクル(プッシュバイク)、この自転車たち、ハイキングトレイルの入り口やビーチなどに置かれているのを見かけますが、車留めがきっちりと設置されていても、 ロックがかかっていない。というか、ロックがついていないのです。ビーチにサーフボードが突きさしてあり、次の日も同じところにささったまま。
信じがたいことですが、地元サーファーたちは、ボードを家に持ちかえるという習慣がないのだそうです。
世間の常識では、信じがたいことずくめのこの島には、都会の暮らしで失われた何かとっても大切なものが、700 万年前の植物たち同様に息づいているような気がします。そんなPRICELESSな島を、次世代に遺すためのお願いが英語で書かれています。
Please Help Us Care for Lord Howe Island
(ロードハウ島のケアをみんなの手で)