【2018年版】最新のタックスリターンについて徹底解説!

特集協力:Ezy Tax Solutions、甘利会計事務所

2018年も7月1日からタックスリターンの申告がスタートします。タックスリターンとは永住者、ワーキングホリデーや留学生、駐在員の人など、1年間の収入を国に報告する制度です。

初めてタックスリターンをする方はもちろん、すでにタックスリターンの経験がある方も、タックスリターンについて正しく理解しておく必要があります。

しかし、昨年から新たに導入されたワーキングホリデービザ保持者の「バックパッカー税」をはじめ、税制度や法令に関する最新情報をキャッチし、法改正のポイントを正しく把握してタックスリターン に対応していくのは難易度が高いもの。

そのほかにも、タックスリターンの申請にミスがあり、高額なペナルティーを課せられたり、知らない方は損をする情報があったりすることもタックスリターン について知る上で理解しましょう。

本特集では、オーストラリアを拠点にする日本人会計士が監修の元、今年のタックスリターンについて解説していきます。

タックスリターンとは

タックスリターンとは、オーストラリアの法律で義務付けられた確定申告です。オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年6月30日で、この間の個人所得税を毎年必ず何かしらタックスリターンとして申告しなければなりません。ここで言う「リターン」は日本語で申告を意味するので、必ずお金が戻ってくるわけではありません。

自分でタックスリターンをする場合は10月31日までに申告をする必要があり、期限を過ぎると罰金の対象となりますが、登録税理士を通して申告する場合、タックスリターン の期間が翌年の5月15日まで延長されます(過去に未申告のタックスリターンがある場合を除く)。

2018年の傾向として、以前と比べてATO(オーストラリア国税庁)の監査が厳しくなってきていますので注意しましょう。

お金が増える?減る?タックスリターンの仕組み

注意:ここで言う「リターン」は日本語で申告を意味するので、必ずお金が戻ってくるわけではありません。

①タックスリターン後に払いすぎた金額が戻ってくるケース
会計年度内に得た収入から天引きされている支払済の税金額が多い方

②タックスリターン後に不足分を支払う必要があるケース
会計年度内に支払い済みの税金額が、その年度内に得た収入の合計に対する税金額より少ない方

タックスリターンの返金額が少なかったり、足りない税金額を納付するのは、言い換えれば手取り収入が多かったということ。

  • ABNで収入のある方
  • 賃貸収入のある方
  • 銀行利息の多い方
  • 税法上の非居住者

このような方々は、収入に対する税金を天引きされていないため、実際の収入に対する税金に足りなくなり、後から支払うことになることがあります。

タックスリターンに関連する制度

バックパッカー税

2017年より、これまであったワーキングホリデービザの非課税枠が撤廃され、ワーキングホリデービザ保持者は$1からタックスリターン の課税対象になりました。

●年収$37,000まで→15%の課税
●年収$37,000~87,000まで→32.5%の課税

○ワーキングホリデーで、昨年のタックスリターン申請をまだしていない方
バックパッカー税の新法案により、2017年1月1日以降の収入から適用され、この日以降の収入は新ルール、2016年12月31日までの収入には従来のルールで税金が計算されます。

そのため2017年1月1日をまたいで同じ勤務先で仕事していた場合は、PAYG ペイメント・サマリー(日本で言う源泉徴収書に似たもの)が2016年分と2017年分の2枚発行されます。

また、2016年分の収入には非課税枠が適用されますが、その金額の算出は複雑なので、非課税枠が適用される方は、登録税理士にタックスリターンの申請を依頼をした方が無難です。

メディケア税

メディケア税は、永住者やオーストラリア人が持つ国民医療保険にかかる税金で、タックスリターンの際に所得税と共に支払う必要があります。

メディケア税の課税額は課税所得の2%ですが、一定の収入を下回る方の支払い義務はなく、家族構成や世帯収入によっても課税額は変わります。

また、駐在員やビジネスビザ、学生などの一時滞在者の場合、メディケア税免除証を入手することによって、タックスリターン の際にメディケア税の支払いを回避することができます。

参考サイト
Medicare Australia(メディケア・オーストラリア):

https://www.humanservices.gov.au/customer/dhs/medicare

スーパーアニュエーション

スーパーアニュエ―ションとは、個人積立年金のこと。ビザによって税率は異なりますが、基本給与から雇用主がファンドに積み立てることがオーストラリアでは義務付けられています。

スーパーアニュエーションは通常60歳になるまで引き出せませんが、駐在員やビジネスビザ、学生、ワーキングホリデーなどの一時滞在者の場合は、出国してビザが切れるとスーパーアニュエーションの還付が受けられます。スーパーアニュエーションの申請は国税局のサイトからオンラインで申請できますが、煩雑な作業を伴うため、タックスリターンを依頼した税理士に依頼する人が多いです。

参考サイト
ATO(オーストラリア国税庁):

www.ato.gov.au/super

タックスリターンに必要な書類

タックスリターンに必要な書類は以下の通りです。

①PAYG ペイメント・サマリー(源泉徴収票)

タックスリターンに備えて、会計年度内に働いた勤務先すべてにPAYG ペイメント・サマリーを発行してもらう必要があります。雇用主(会社)は7月14日までに発行しなければならないと法律で決まっているので、この日を過ぎてもPAYG ペイメント・サマリーを受け取れていない場合は雇用主に問い合わせましょう。

②事業で支出した経費の領収書

事業で支出がある場合は、タックスリターンに備えて経費の領収証をまとめておきましょう。支出の内容は業種によって細かく法律で決められていて、逸脱すると監査、罰金を課せられることも。不安な場合は登録税理士に相談しましょう。

③その他の収入に関する書類

銀行利息やオーストラリア国外で発生した収入など、PAYG ペイメント・サマリー以外の収入がある場合は、それらの収入を証明する書類もタックスリターンにおいて必要です。税法上のオーストラリアの居住者は、オーストラリア外の収入も申告しなければいけませんので注意しましょう。ビザによりタックスリターンの申告対象から外れる海外収入もあります。

タックスリターンで認められる必要経費

タックスリターンで、税控除のきく経費は以下の通りです。

①私用車に関連する経費

ガソリン代、修理代、保険料、車両登録料などが対象になり、通勤にかかる費用はタックスリターン の経費とみなされません。仕事上の外出や顧客周りをする場合に限り、タックスリターンで経費計上が可能となります。

②仕事で発生した旅費・交通費

仕事に直接関係のある出張、外出に限り、航空券、バス・電車代、タクシー代、駐車料金、宿泊費(宿泊を伴う出張の場合は食事代)などがタックスリターン の旅費・交通費に含まれます。

※今年の2018年度タックスリターンはこの①と②のチェックがATO監査の注視項目です。必ず記録を付けておきましょう。

③ユニフォーム代・クリーニング代

ユニフォーム、社名入り衣料、防護服、それらの洗濯・ドライクリーニングの費用はタックスリターンの経費計上が認められます。通常のスーツやジャケットなどは認められません。

④自己教育費

現職業と直接深く関わりがあり、知識や技術が向上することで現職業に有効に働く場合、タックスリターンで経費計上が可能です。新しい分野のスキルを身につけるため、または再就職のための費用は認められません。授業料、テキスト代、文房具、交通費などは、最初の$250を差し引きタックスリターンで経費申請します。

⑤その他の経費

その他にも、以下の項目がタックスリターンの経費として認められます。

  • 労働組合への登録費・会員費
  • セミナーやコンフェレンス費用
  • 職業に関連する書籍・業界紙
  • パソコンやソフトウェア
  • 仕事目的で使用した電話代など

※経費の合計が$300を越す場合は、全ての経費に関してレシートなどの証明書類を保管しておく義務があります。

タックスリターンにおける経費計上には細かい条件がありますので、詳しくは会計士に相談ください。

タックスリターンの対象となる海外での収入

オーストラリア税法上の居住者(※)は、オーストラリア国外からの収入についてもタックスリターンの申告をしなければなりません。

例えば会計年度内に日本で働いて得た収入も、オーストラリアのタックスリターンの申告対象となりますので、源泉徴収表や給与明細を日本から用意しましょう。

もし、日本の収入を日本で確定申告している場合は、日豪租税条約により二重課税を防ぐ措置が取られ、日本で支払った税金の分、オーストラリアでの税金が減ります。そのため、日本の確定申告、年末調整の控えがオーストラリアのタックスリターンで必要となることもあります。

※半年以上の学生ビザやビジネスビザ、永住権保持者など、オーストラリアで生活しているほとんどの方が税法上の居住者となります。

タックスリターンで申告しなければいけないオーストラリア国外からの収入例

永住権の場合

  • 日本を含むオーストラリア国外の会社からの収入
  • 日本を含むオーストラリア国外でのビジネス収入
  • 日本を含むオーストラリア国外の不動産の売却収入
  • 日本を含むオーストラリア国外にある賃貸物件の賃貸収入
  • 日本を含むオーストラリア国外の株の配当
  • 日本を含むオーストラリア国外の銀行利息
  • 日本の年金

永住権以外の場合

  • 日本を含むオーストラリア国外の会社からの収入
  • 日本を含むオーストラリア国外でのビジネス収入

タックスリターンの申請方法

タックスリターンの申告方法は、自分でオンライン(my Tax)や納税申告書を郵送して申告をするか、登録税理士に依頼するかの大きく2つ。

ATO(オーストラリア国税庁)の動きがわからないと、オーストラリア人であっても申請は困難で、実際にオーストラリア人の約75%が登録税理士にタックスリターンの申請を依頼しています。登録税理士を通すことで、ATOとの直接データ通信も防げます。

英語に自信があって時間に余裕のある方は、タックスリターンを自分で行うのも一つの手ですが、それ以外の方は信頼できる登録税理士にタックスリターン の申請をお願いしてしまうことをおすすめします。

個人でタックスリターン申請をする場合

○メリット

費用をかけずにタックスリターンの申請ができる

○デメリット

タックスリターン申請に時間と手間がかかる
ATO(オーストラリア国税庁)の動向を掴むのが困難
トラブル発生時にすべての対応を自分でする必要がある
ミスがあるとタックスリターンの申請が通らない可能性がある

タックスリターンを税理士にお願いした場合

○メリット

タックスリターン申請の時間と手間が省ける
トラブル発生時にも専門的な対応をしてもらえる
税理士を通じてATOの動向を詳しく把握できる
日本語対応の税理士だと、日本語サポートを受けれる

○デメリット

税理士へのタックスリターン申請手数料が発生する。(申請手数料は翌年のタックスリターン時に経費として計上できます)

オーストラリアで働く方が必ず知っておくべきサイト

「最低賃金以下の給与」、「スーパーアニュエーションの未払い」、「ABNを悪用した雇用システム」など、雇用主とのトラブルがある場合は、下記の機関に相談してみるのもよいでしょう。

①Fair Work Ombudsman
https://www.fairwork.gov.au

②ATO(オーストラリア国税庁)
https://www.ato.gov.au

③ATO(オーストラリア国税庁) 日本語ページ
https://www.ato.gov.au/General/Other-languages/In-detail/Japanese/Japanese-language-home-page/

タックスリターンのFAQ

タックスリターンに関する質問にEzy Tax Solutionsの賀谷さんと、甘利会計事務所の甘利さんに回答していただきました。

質問1:タックスリターンの申告義務があるのは、どんな場合ですか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

簡単に言うとタックスファイルナンバーを持っている人全員です。ただ、厳密には専業主婦など申告義務のない方は申告義務なしの届け出のみで十分です。タックスリターンの申告義務のある方は、以下の通りです。

オーストラリア在住の市民権者、永住ビザ、ビジネス・ビザ、(半年以上の)学生ビザの場合

  • 課税所得が$18,201以上の場合
  • 課税所得にかかわらず、収入から税金を 引かれている場合
  • 損益、総収入にかかわらずABN(Australian Business Number)で$1でも収 入のある場合
  • 予定納税(Income Tax Instalment)の ある場合
  • 株式配当がある場合

マネージドファンド、トラスト、パートナーシップからの配当がある場合、他にもまだ14ケースほど、タックスリターンの申告義務がなくても毎年申告義務なしの届け出が必要なケースがあります。

ワーキングホリデービザの場合

仕事の収入で15%の税金を引かれていない、銀行利息など他の収入がある、課税所得が37000ドルを超えている、といった場合に申告義務があります。詳しくはこちらご覧ください。

質問2:タックスリターンの申請が遅れたり、申請をしなかったりといった場合につくペナルティとは、具体的にどのような内容なのでしょうか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

未申告、遅延申告に対するペナルティーは、現在1年あたり罰金$1,050です。引っ越し時に住所変更をしていなかったために、罰金の警告の手紙を受け取ることができず、いつのまにかATO(オーストラリア税務署)に数年分、数千ドルの借金があったという方もいます。

ほかにも、ビジネスをしてGSTの登録義務があるのに登録していない、キャッシュでお金をもらって申告しない、ありもしない多額の経費を計上したなど、タックスリターンにおいて脱税目的の悪質な虚偽申告も罰金の対象となります。

なお、罰金を科されたからといってタックスリターンの申告義務がなくなるわけではなく、申告義務は消えません。

質問3:タックスリターンで経費計上できるものと、できないものの違いはなんでしょうか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

仕事のために使うものの多くが、タックスリターンで経費計上できます。以下、その際の注意点です。

  • 接待費はタックスリターンで経費計上できません。
  • 家のレントや住宅ローンの利息などは雇用形態の場合は基本的にはタックスリターンで経費計上できません。
  • 車、携帯、インターネット、家の電気代は仕事用で使った記録を取っておくことが必要です。仕事と私用の双方で使う場合は、保管しておいた記録から合理的な仕事用の%の見積もりを元に、按分してタックスリターンで経費計上できます。
  • オーストラリアの認定団体への募金、昨年のタックスリターン費用、失業保険、仕事に直結する勉強、学費、セミナーもタックスリターンで経費計上が可能です。

こちらにご連絡いただけば、タックスリターンで経費計上が可能な項目リスト「Ezy Deduction Finder」をお送りいたします。また、弊社タックスリターンのお申し込みフォームにタックスリターンで経費計上できる項目や例が載っておりますのでご参照ください。

※タックスリターンの経費計上は、使ったお金自体がもらえるわけではありません。詳しくはこちらをご覧ください。

質問4:ABNの収入と会社に雇用されての収入の両方があるのですが、どのようにタックスリターンを申請すればいいのですか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

タックスリターンの目的は会計年度の収入を申告することなので、雇われている収入もビジネスやABNで稼ぐ収入も、すべての収入をまとめて一つの会計年度のタックスリターンで申告することになります。

ABNの収入はPAYG ペイメント・サマリーがありませんので、自分で収入記録をとっておき、それを元にタックスリターンを申告します。ただし、ビジネスやABN収入がある場合はタックスリターンの申告は複雑になります。

雇われているのと何も変わらない状態でABNを使って働いている方はこちらをご覧ください。

タックスリターンができる会計事務所

甘利会計事務所

住所:Suite 1003, Level 10, 84 Pitt Street Sydney NSW 2000
電話番号:(02) 9223-7448
Email:info@taxjp.com.au
営業時間:月~金 10:00 – 18:00
※7月から10月は土曜も営業(要事前予約)

Ezy Tax Solutions

Facebook:www.facebook.com/ezytaxsolutions.japan
営業時間:月〜日(24時間対応)
※オーストラリア全国/日本からもオンラインでお申し込みいただけます
※ワーキングホリデービザ/学生ビザをお持ちの方は、まずはこちらをご覧ください。

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