2019年度のタックスリターンについて徹底解説!【税理士監修】

タックスリターンとは永住者やワーキングホリデー、留学生、駐在員の人などが、1年間の収入を国に報告する制度のこと。日本の確定申告に当たるものです。

2019年も7月1日からタックスリターンの申告がスタートします。初めてタックスリターンをする方はもちろん、すでにタックスリターンの経験がある方も、年に一度のタックスリターンについて正しく理解し、自分のお金の使い方や資産運用について見直してみましょう。

本特集では、オーストラリアを拠点にする税理士監修の元、今年のタックスリターンについてわかりやすく解説していきます。

タックスリターンとは

タックスリターンとは、オーストラリアの法律で義務付けられた確定申告です。その年の会計年度内に収入があった方が対象者であり、タックスリターンの申告義務が発生します。この「リターン」は日本語で「申告」を意味するので、必ずしもタックスリターンをしてお金が戻ってくるわけではありません。

オーストラリアの会計年度は、7月1日から翌年6月30日で区切られています。2019年の場合、2018年7月1日から2019年6月30日の間に得た収入を、2019年7月1日から10月31日までの間に、タックスリターンとして申告する必要があります。

個人でタックスリターンをする場合、申告期間を過ぎると罰金の対象となります。タックスリターンの申請にミスがあると、ATO(オーストラリア国税庁)の監査中にトラブルが起こったり、高額なペナルティーを課せられたりすることも少なくありません。そのため、税理士を通したタックスリターンの申告をおすすめします。

また、登録税理士を通してタックスリターンをする場合に限り、タックスリターンの期限が翌年5月15日まで延長されます。延長は過去に未申告のタックスリターンがある場合を除きます。過去に未申告のタックスリターンがある方も、まずは税理士に相談してみましょう。

タックスリターンの仕組み

タックスリターンの仕組みは以下の通りです。

タックスリターンの返金額が少ない方や、足りない税金額を納付すべき方は、手取り収入が多かったということになります。以下に当てはまる方々は、収入に対する税金を天引きされていないことから、実際の収入に対する税金に足りないため、後から支払うことになることがあります。

タックスリターンに必要な書類

タックスリターンに必要な書類は以下の通りです。

PAYGペイメントサマリー(源泉徴収票)

タックスリターンに備えて、会計年度内に働いた勤務先すべてにPAYGペイメントサマリー(源泉徴収)を発行してもらう必要があります。発行期限は7月14日までなので、受け取れていない場合は雇用主に問い合わせましょう。

また2018年7月より、従業員が20人以上の雇用主は、給料、税金天引き(源泉徴収)、スーパーアニュエーションの支払いをATOへリアルタイムで報告する、シングルタッチペイロール(給与の一括管理)が義務化されました。そのため2019年のタックスリターンでは、2018年7月以降に従業員が20人以上の会社に勤めていた経験がある場合、その会社からのPAYGペイメントサマリーはありません。

※シングルタッチペイロールの詳細はこちら

仕事に関する経費の領収書

タックスリターンに備えて、経費の領収証をまとめておきましょう。支出の内容は業種によって細かく法律で決められていて、逸脱すると監査、罰金を課せられることも。不安な場合は税理士に相談しましょう。

その他の収入に関する書類

銀行利息などPAYGペイメントサマリー以外の収入がある場合、それらの収入を証明する書類も、タックスリターンに備えて必要です。税法上のオーストラリアの居住者は、オーストラリア国外の収入も申告しなければならないので注意しましょう。ビザによりタックスリターンの申告対象から外れる海外収入もあります。

タックスリターンで認められる必要経費(領収証)

経費の合計が$300を越す場合は、すべての経費に関してレシートなどの証明書類を保管しておく義務があります。タックスリターンにおける経費計上には細かい条件がありますので、詳しくは会計士に相談ください。

タックスリターンで、税控除のきく経費(領収証)は以下の通りです。



私用車に関連する経費


ガソリン代・修理代・保険料・車両登録料など(通勤にかかる費用は除く)。仕事上の外出や顧客周りをする場合に限り経費計上が可能。



仕事で発生した旅費・交通費


仕事に直接関係のある出張や外出に限り、航空券・バス電車代・タクシー代・駐車料金・宿泊費(宿泊を伴う出張の場合は食事代)など。



ユニフォーム代・クリーニング代


ユニフォーム・社名入り衣料・防護服・洗濯ドライクリーニングの費用(通常のスーツやジャケットなどは除く)。



自己教育費


現職業と直接深く関わりがあり、知識や技術が向上することで現職業に有効に働く場合、タックスリターンで経費計上が可能。授業料・テキスト代・文房具・交通費など(最初の$250を差し引く)。新しい分野のスキルを身につけるため、または再就職のための費用は認められません。



その他の経費


労働組合への登録費・会員費・セミナーやコンフェレンス費用・職業に関連する書籍・業界紙・パソコンやソフトウェア・仕事目的で使用した電話代など。

タックスリターンの対象となる海外での収入

オーストラリア税法上の居住者(※)は、オーストラリア国外からの収入についてもタックスリターンの申告をしなければなりません。会計年度内に日本で働いて得た収入も、オーストラリアのタックスリターンの申告対象となるので、源泉徴収表や給与明細を日本から用意しましょう。

また、日本の収入を日本で確定申告している場合は、日豪租税条約により二重課税を防ぐ措置が取られるため、日本で支払った税金の分だけオーストラリアでの税金が減ります。オーストラリアのタックスリターンに備えて日本の確定申告、年末調整の控えを用意しましょう。

※半年以上の学生ビザやビジネスビザ、永住権保持者など、オーストラリアで生活しているほとんどの方が税法上の居住者となります。

タックスリターンで申告しなければいけないオーストラリア国外からの収入例は右の通りです。

タックスリターンの申請方法

タックスリターンの申告方法は、日本でもオーストラリアでも信頼できる登録税理士に申請をお願いすることが一般的です。

ATO(オーストラリア国税庁)の動きがわからないと、オーストラリア人であってもタックスリターンの申請は困難なもの。実際にオーストラリア人の約75%が登録税理士にタックスリターンの申請を依頼しています。

タックスリターンを自分で申請した場合


費用をかけずにタックスリターンの申請ができる

タックスリターン申請に時間と手間がかかる

ATOの動向を掴むのが困難

トラブル発生時にすべての対応をしなければならない

ミスによりタックスリターンの申請が通らない可能性がある

タックスリターンを税理士にお願いした場合


タックスリターン申請の時間と手間が省ける

トラブル発生時に専門的な対応をしてもらえる

税理士を通じてATOの動向を詳しく把握できる

日本語対応の税理士なら日本語サポートを受けられる

税理士へのタックスリターン申請手数料がかかる

申請手数料を翌年のタックスリターン時に経費として計上できる

タックスリターンに関連する制度



バックパッカー税

バックパッカー税とは、2017年より施行されたワーキングホリデービザ保持者にかかる税金のこと。年収$1からタックスリターンの課税対象です。バックパッカー税の申請はATOのサイトからオンラインで申請できますが、煩雑な作業を伴うため、タックスリターンと同じ会計士に依頼する方が安心でしょう。

・年収$37,000まで→15%の課税
・年収$37,000~$87,000まで→32.5%の課税



メディケア税

メディケア税とは、永住者やオーストラリア人が持つ国民医療保険にかかる税金のこと。タックスリターンで所得税と共に支払う必要があります。ビジネスビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザ保持者などの一時滞在者の場合、メディケア税免除証を入手することによって、タックスリターンのメディケア税の支払いは回避することができます。

・課税所得の2%の課税
・一定の収入を下回る場合は支払い義務なし
・家族構成や世帯収入によって課税額は異なる



スーパーアニュエーション

スーパーアニュエ―ションとは、個人積立年金のこと。ビザごとに税率は異なりますが、オーストラリアでは給与から雇用主がファンドに積み立てることが義務付けられています。

スーパーアニュエーションは通常60歳になるまで引き出せません。ビジネスビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザ保持者などの一時滞在者の場合は、出国してビザが切れた後に還付が受けられます。スーパーアニュエーションの申請は国税局のサイトからオンラインで申請できますが、煩雑な作業を伴うため、タックスリターンと同じ税理士に依頼する方が安心でしょう。

オーストラリアで働くために知っておくべきサイト

最低賃金以下の給与、スーパーアニュエーションの未払い、ABNを悪用した雇用システムなど、雇用主とのトラブルがある場合は、下記の機関に相談してみるのもいいでしょう。

Fair Work Ombudsman

ATO(オーストラリア国税庁)

ATO(オーストラリア国税庁) 日本語ページ

タックスリターンのFAQ

タックスリターンに関する質問にEzy Tax Solutionsの賀谷さんと、甘利会計事務所の甘利さんに回答していただきました。

質問1:タックスリターンの申告義務があるのは、どんな場合ですか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

簡単に言うとタックスファイルナンバーを持っている人全員です。ただ、厳密には専業主婦など申告義務のない方は申告義務なしの届け出のみで十分です。タックスリターンの申告義務のある方は、以下の通りです。

オーストラリア在住の市民権者、永住ビザ、ビジネスビザ、(半年以上の)学生ビザの場合

  • 課税所得が$18,201以上の場合
  • 課税所得にかかわらず、収入から税金を引かれている場合
  • 損益、総収入にかかわらずABN(Australian Business Number)で$1でも収入がある場合
  • 予定納税(Income Tax Instalment)がある場合
  • 株式配当がある場合

マネージドファンド、トラスト、パートナーシップからの配当がある場合、他にもまだ14ケースほど、タックスリターンの申告義務がなくても毎年申告義務なしの届け出が必要なケースがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

ワーキングホリデービザの場合

仕事の収入で15%の税金を引かれていない、銀行利息など他の収入がある、課税所得が$37,000を超えている、といった場合に申告義務があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

質問2:Uber(タクシー)やUber Eatsなどで働いて収入がある場合、タックスリターンの申告義務はありますか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

Uber(タクシー)やUber Eatsなどで働く方は基本的に個人事業主扱いのため、まずはABNの取得が必要です。Uberで$1でも稼いだ場合、ビザの種類等に関わらず、必ずタックスリターンの申告義務が発生します。Uber(タクシー)はGST登録も始める前に必要となります。そのため、いくら稼いで、いくら費用がかかったかを自分で記録する義務があります。記録方法等は複雑なため、詳しくは以下の記事をご覧ください。

質問3:タックスリターンで経費計上できるものと、できないものの違いはなんでしょうか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

仕事のために使うものの多くが、タックスリターンで経費計上できます。以下、その際の注意点です。

  • 接待費はタックスリターンで経費計上できません。
  • 家のレントや住宅ローンの利息などは雇用形態の場合は基本的にはタックスリターンで経費計上できません。
  • 車や携帯、インターネット、家の電気代は仕事用で使った記録を取っておくことが必要です。仕事と私用の双方で使う場合は、保管しておいた記録から合理的な仕事用の%の見積もりを元に、按分してタックスリターンで経費計上できます。
  • オーストラリアの認定団体への募金、昨年のタックスリターン費用、失業保険、仕事に直結する勉強費、学費、セミナー費もタックスリターンで経費計上が可能です。

※タックスリターンの経費計上は、使ったお金自体がもらえるわけではありません。詳しくはこちらをご覧ください。

質問4:ABNの収入と会社に雇用されての収入の両方があるのですが、どのようにタックスリターンを申請すればいいのですか?

賀谷さん(Ezy Tax Solutions)

タックスリターンの目的は会計年度の収入を申告することなので、雇われている収入もビジネスやABNで稼ぐ収入も、すべての収入をまとめて一つの会計年度のタックスリターンで申告することになります。ABNの収入はPAYGペイメント・サマリーがありませんので、自分で収入記録をとっておき、それを元にタックスリターンを申告します。

ただし、ビジネスやABNの収入がある場合はタックスリターンの申告が複雑になります。雇われているのと変わらない状態でABNを使って働いている方はこちらをご覧ください。また、タックスリターンとABNに関する情報はこちらをご覧ください。

質問5:去年タックスリターンの申請をしなかったのですが、今年の分と一緒に申請することはできますか?

甘利さん(甘利会計事務所)

できます。過去の申告をまだしていない場合は、できるだけ早く申告することをおすすめします。

質問6:節税のコツを教えてください。

甘利さん(甘利会計事務所)

あえて一言でいうならば、記録を保存しておくことです。収入や経費はもちろん、ダイアリーや住所やビザの記録など、原本がなくてもスキャンまたは写真でデータとしての保管でも問題ありません。

さらに、この質問に答えるには、ひとりひとりの状況を知ることから始まります。永住者ですと、スーパーアニュエーションを使った節税は一般的に知られていますが、それでも個々で状況が違います。

信頼できる税理士と良い関係を築くことが良いアドバイスをもらえる結果になり、節税につながると言えるでしょう。

質問7:ATOの監査はどういう時にはいるのですか?

甘利さん(甘利会計事務所)

他の行政や私企業からのデータとタックスリターンのデータを照合して、矛盾がある場合には問い合わせや監査が入ります。銀行利息、雇用収入、投資収入などの各種収入に加え、移民局からビザ及び入出国データや、センターリンクからのデータなど、他にも様々なデータの照合があります。

また、経費の計上に関して、業界別にベンチマークといわれる経費の基準があり、それを大きく超える申告は、監査が入る確率が増すことになります。ATOがターゲットを決めて業界別、収入・経費・控除の種類別でピックアップされることもあります。

質問8:PAYG Payment Summaryが入手できません。どうしたらいいですか?

甘利さん(甘利会計事務所)

まずは、雇用主にコンタクトして入手する努力をしてください。それでも入手できない場合は、8月ごろになるとATOのデータがATOのタックスエージェントポータルで確認できますので、そこにデータがすべて出ればPAYG ペイメント・サマリーがなくても申告が可能です。

ATOにデータが上がってこない場合は、ペイスリップをもとに申告をすることもできますが、雇用主のABNが必要になります。銀行のステートメントも証拠になりますので、保管しておきましょう。

タックスリターンができる会計事務所

甘利会計事務所

WEB:http://www.taxjp.com.au/
住所:Suite 1003, Level 10, 84 Pitt Street Sydney NSW 2000
電話番号:(02) 9223 7448
メール:info@taxjp.com.au
営業時間:月~金 10:00 - 18:00
※7月から10月は土曜も営業(要事前予約)
JAMSスタッフの取材記事個人タックスリターンに関わる最新税法!

Ezy Tax Solutions

WEB:https://ezytaxonline.com.au/ja/
Facebook:www.facebook.com/ezytaxsolutions.japan
営業時間:月〜日(24時間対応)
※オーストラリア全国/日本からもお申し込みいただけます
※ワーキングホリデービザ/学生ビザをお持ちの方は、まずはこちらをご覧ください。

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