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17酒蔵が集結!日本酒に特化した商談会がオーストラリア初開催

日本貿易振興機構(JETRO)は、6月21日、シドニー市内にあるシャングリ・ラ・ホテルにて「日本酒商談会 in シドニー」を、日本酒造組合中央会と共同で開催した。オーストラリアでの日本酒に特化した商談会は今回が初。

多国籍料理レストランのオーナーやソムリエ、バーテンダー、インフルエンサーなど、日本酒がメインのイベントにも関わらず、従来の主な日本酒の出荷先の日本食レストランのみに留まらない、さまざまな業界人が集まった。

JETROシドニー事務所の中里浩之所長は挨拶にて、日本の農林水産物・食品における日本酒の海外輸出額が8年連続増加していること、オーストラリアでも同じ傾向が見られることに触れ、オーストラリアでの日本酒需要は他国と比べまだ伸びしろの余地が充分にある点に言及。今回の商談会によりさらにオーストラリア市場で日本酒への認知度が広まることが期待される、と語った。

在シドニー日本国総領事館総領事の竹若敬三氏も、今回の商談会を機にオーストラリアはシドニーにおけるさらなる日本酒の発展が見込めると語った上で、日本酒を通して日本文化への理解が深まると確信している、と付け加えた。

続く商談会中のセミナーでは、日本酒造組合中央会の濱田由紀雄氏が、「日本酒」を化学的な視点から解説。日本酒の種類の違いや、作り方の違いなどを図解とともに説明した。同氏は、日本酒は飲む以外にも多目的に使用できると述べ、日本酒を化粧水や酒風呂に使うなど、日本酒ならではの楽しみ方を提案し参加者を驚かせた。

Wine & Spirit Education Trust(WSET)の認定講師のリー・ハドソン氏は、日本酒への愛が感じられる日本酒本来のおいしさや楽しみ方、種類による違いを、セミナーにてわかりやすく説明。

その上で、酸味が強いワインに比べ甘くマイルドな日本酒は、どんな料理にもペアリングしやすく、今後は日本食レストラン以外でも日本酒が提供されるようになればという願いをプレゼンテーション。4種類の日本酒をワイングラスで提供し、それぞれの繊細な香りや味で参加者を楽しませた。

「最近では日本独特の文化・食・アニメなどさまざまな分野がオーストラリアでさらに受け入れられているという背景から、日本酒もその波に乗っていると思います。実際に日本酒を体験してもらうことで、本来のおいしさを伝えることが大切。今回のセミナーを通して、参加者全員が日本酒の世界に興味を持ったのではないでしょうか」と同氏は語った。

今回の商談会には、日本17カ所の酒造が各々自慢の日本酒を参加者に提供。作り方から味のこだわりまで、参加者のあらゆる質問に対し丁寧に答えていた。日本酒に特化したB to B向けイベントはオーストラリア初と言うこともあり、シドニー初出展となる酒造会社も多く見られた。

福島は会津の「ほまれ酒造」の唐橋裕幸社長は、今回の出展意図について以下のように述べた。

「すでにオーストラリアで商品は出していますが、現地マーケットの状況を知るために今回出展しました。実際に現地の方と話すと反応が良く、幅広い商品ラインナップを取り揃えていることから、特にフレーバーのお酒の醸造方法やIWC2015(International Wine Challenge)で金賞を獲得した「純米大吟醸」についてよく尋ねられました。オーストラリアは他国と比べて日本酒に関する認知度がまだまだ低いと感じたので、日本食レストラン以外でも日本酒を浸透させていくことが今後求められると思います。そのためには今回のような機会を利用し、直接お客様と話して質問に答えていくことが重要ではないでしょうか」

2012年からオーストラリアへ日本酒の輸出に携わる「デジャヴ酒カンパニー」の落合雪乃氏も、オーストラリア市場は他国に比べ遅れをとっていることに触れた上で、日本酒のさらなる可能性に期待を膨らませている。

「オーストラリアでは日本食レストラン以外での日本酒の取り扱いがもっと増えてくると思います。特にお酒をカクテルにするという使い道が増えています。スピリッツよりも柔らく、アルコール度数もある程度ある日本酒は、他のものと混ぜても味が負けないのでカクテルに使いやすいと、バーテンダーは口を揃えて言いますね。オーストラリアはいろいろな文化を取り入れてミックスさせる国なので、その点において日本酒に関しても今後おもしろいことになると思います」

日本各地から集結した17の酒蔵の日本酒を試飲した参加者の多くは、思い思いに日本酒を楽しんでいた様子。ワイングラスを使い、日本酒の繊細な香りと味を確認し、日本酒を酒造している酒蔵と直接話すことで、より日本酒への理解が深まったのではないだろうか。

主催者であるJETROシドニー事務所の中里所長は、以下のように語った。

「日本酒のイベント開催や、12月の『Matsuri – Japan Festival』での日本酒人気を見ても、オーストラリアでの日本酒マーケットの高まりは感じています。しかし、オーストラリアは他国と比べお酒の消費量はまだまだ少ないのが現状。日本からオーストラリアへ輸出されるアルコール飲料は今のところビールがトップですが、日本酒が伸びる余地は十分にあるのではないかと思います。今回、日本から出展していただいた酒蔵の方々も、その伸びしろ部分に期待している部分があるように感じています。

今回は日本各地の酒蔵の参加もあり、JETROにとっては地方創生が重要な仕事の一つだと考えています。酒造組合の方々とフォローアップしていくことで、今後オーストラリアでの長い商売に繋がっていくのではないでしょうか」

「日本酒商談会 in シドニー」では、日本の伝統産業である日本酒のさらなる発展と、日本各地の酒蔵がオーストラリア市場にかける想い、貴重な伝統産業を残すためにオーストラリアで酒蔵をサポートする人々の想いが感じられた。

取材・文:浜登夏海

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