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福島県知事が豪州訪問、同県の今を発信し輸出促進とインバウンド拡大を図る

県内へのインバウンド誘客や県産品の取引拡大を図るため、2025年5月22日から27日にかけて、福島県の内堀雅雄知事がオーストラリアのシドニーをキャンベラを訪問した。福島県知事のオーストラリア訪問は今回が初めて。

福島県は、オーストラリアを観光誘客の重点市場として位置付け、2021年からはシドニーに現地窓口を設置し、各種プロモーションも実施している。2024年にはオーストラリアから6,249人が福島県を訪れ、前年から倍増した。今回の福島県知事のオーストラリア訪問は、東日本大震災被災地として同県復興を支援してきたオーストラリアへの感謝を伝えるとともに、「福島の発信」と「輸出の促進」、「インバウンドの拡大」が大きな目的である。

南半球のオーストラリアでは、季節が真逆の北半球まで出かけてスノーアクティビティを楽しむ旅行客も多い。JNTOによると、オーストラリアからの旅行者には、滞在日数が平均13.7泊、旅先での1人あたり支出額が39万9千円といずれも他国より多く、体験型観光を好み、景観や歴史、文化、食への関心が高い。福島県は立地と積雪に恵まれ、上質なパウダースノーがあることに加え、温泉、食、歴史的建造物など文化も多彩に揃っていることから、オーストラリア現地で観光のトッププロモーションを実施することにより、さらなる誘客拡大が期待されるところだ。

内堀知事は、オーストラリア国内最大のスノー旅行博「Snow Travel Expo」への出展と観光誘客プロモーション、ATIA(オーストラリア旅行業業界)との覚書締結式および観光セミナー・交流会、他にも県産酒の試飲商談会などでのPRを通じて、福島県への理解と共感の輪を拡げるとともに、県産品の販路拡大やインバウンド誘客の強化を図った。

5月25日にシドニーのICCで開催された「Snow Travel Expo」当日、福島県は「AIZU SKI / FUKUSHIMA, JAPAN」の大規模ブースを構え、5月26日には現地旅行会社を対象とした観光誘客プロモーション、交流会などを通じて、福島県の観光や食の魅力などを積極的に発信した。

「Snow Travel Expo」では、内堀知事も磐梯町の佐藤淳一町長とともに県産日本酒で鏡開きをして来場者に振る舞い、また、ノベルティとして配布された赤べこキーホルダーも好評を博した。

メインステージでは、内堀知事と磐梯町地域おこし協力隊の石内圭氏が、それぞれ県内観光地やスノーリゾートの魅力についてプレゼンテーションを実施。来県の仮予約を受け付けたところ、メルボルン・シドニー合計で4,800人泊の申し込みがあり、スノーアクティビティの旅行先としての知名度は着実に向上させたことがうかがえる。

5月26日には、ATIA(オーストラリア旅行業業界)との覚書締結式が、シドニー市内のホテルで執り行われた。ATIAには現地の旅行業者ら約1,700の企業・団体が加盟しており、日本の自治体と連携するのは初めて。オーストラリア国内では近年、新たな発見や体験を楽しめる旅先を探す動きが見られる。そうした近況を踏まえた上で福島県からATIAに協力を働きかけ、覚書の締結に至った。締結式で内堀知事は、ATIAと福島県の交流のさらなる発展に向け、ATIAチ ーフエグゼクティブオフィサーのディーン・ロングCEOと覚書を交わした。今回、観光誘客に向けた連携やプロモーションの実施による相互の誘客・送客の推進などに関する合意文書を締結できたことは、福島県へのさらなるインバウンド誘客促進において心強い。

ATIAとの覚書締結式後には、旅行業会関係者を対象とした観光セミナー・交流会「福島県 観光誘客トッププロモーション」が、同会場にて開催された。第1部は内堀知事と、今年1月に福島を訪れたインフルエンサーのレイチェル・オークスアッシュ氏による講演が、第2部は日本酒を始めとした福島県を代表する特産品を交えての交流会が実施された。シドニー日本国総領事館の山中修領事も招かれた中、福島県の復興状況や地域の魅力など「福島の今」を発信し、福島県の豊かな食文化を広くアピールするとともに、福島県の魅力にたっぷり浸る時間となった。

ロングCEOは合意文書の締結に先立って開かれた懇談で、年内の同県訪問と旅行商品の造成に向けたプロモーション実施も約束。覚書に基づき、ATIA加盟の旅行事業者らが来県に向けて動き出す。また、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興状況に触れる「ホープツーリズム」にも関心が示された。安定的な来訪者の獲得によって、震災と原発事故に関する風化の防止にも歯止めをかけたい。

オーストラリアのリピーターにとっては、東京や京都、大阪、飽和状態のスノーリゾート以外に新たな目的地があることも重要だ。日本の都市部で問題となっているオーバーツーリズムも、47都道府県のうち3番目に広い面積をもつ福島県内では起こりにくいと言われている。今や福島県は他団体と連携して多くの人々を県内に呼び込み、福島ブランドを海外で再確立できる可能性を秘めているのだ。

福島県 内堀雅雄知事

「福島という地名は、オーストラリアをはじめ世界中で、東日本大震災と原発事故の地として知られています。2011年3月の大災害以降、一時は福島へのインバウンド観光は大きく落ち込みました。しかし、新たなマーケットの開拓が進み、現在では震災前の倍以上の方々が訪れてくださるようになりました。ただ、オーストラリアからの旅行者の数はまだ少ないのが現状。ゆくゆくは、福島に訪れる外国人旅行者の中でオーストラリア人が最も多いという状況を目指したいと考えています。そのためにも、ATIA様との連携を通じて福島県の観光資源の認知度を高め、より効果的なPR活動を展開していきたい。来県いただくオーストラリアの方々に『福島に来て良かった』『また来たい』『福島の魅力を自分の周りの方々にも伝えたい』と思っていただけるよう、最大限の努力を重ねてまいります」

ATIA (オーストラリア旅行業業界)ディーン・ロングCEO

「日本は他に類を見ない観光地としての復活を遂げており、現在ではアメリカやイギリスを上回る数のオーストラリア人が日本を訪れています。これは、日本の皆様がオーストラリア人旅行者に対して示してくださった温かいサポートと効果的なマーケティングの賜物です。日本の中でも福島の大きな魅力の一つは、世界でトップクラスの雪の体験ができること。加えて、多様な食文化やアクティビティなど、福島ならではの幅広い魅力があるのも特徴です。今回覚書の締結に至った理由の一つは、福島県知事ご自身が強い想いを持ってオーストラリアを訪れ、観光業界との連携を深め、福島県をオーストラリアの旅行業界にしっかりとアピールしたいという熱意があったからこそ。今後数年間、福島はオーストラリア人の日本旅行先として注目されることになるでしょう」

 

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