日系コミュニティ

訪日観光セミナー「Japan Roadshow 2025」開催

JNTO(Japan National Tourism Organization/日本政府観光局)主催による訪日観光セミナー・商談会「Japan Roadshow 2025」第が、8月25日にシドニー、26日にメルボルン、27日にニュージーランドのオークランドでそれぞれ開催された。

ビジット・ジャパン(VJ)事業の定例施策として、オーストラリアとニュージーランドの現地旅行会社などを対象とした訪日旅行商談会は、日本から参加するインバウンド関係者(地方自治体、航空会社、宿泊施設、DMC等)と現地旅行会社(リテーラー、ツアーオペレーター)が商談を行い、訪日旅行商品の企画や新規販売につなげることを目的としている。

前回2月のシドニーでの商談会では、商品造成を担当するホールセラーと少人数で自由に商談できるVIPセッションを導入し、サプライヤーが自社商品を集中的に売り込む場を提供したほか、旅行会社向け訪日セミナーを実施し、地方の魅力や大阪・関西万博のPRを行った。バイヤーからはラグジュアリーホテルや伝統文化験を扱うサプライヤーとの商談を求める声が根強く、アンケートにも「より多くのサプライヤーとの商談を望む」との回答が多く見られた。また、大阪・関西万博についても、ミャクミャクと写真撮影を楽しんだりJNTOブースで質問をしたりする様子が見られ、強い関心が寄せられた。

今回の商談会では、日本全国からシドニー、メルボルンに地方公共団体、DMO、旅行会社、宿泊施設、観光施設等、幅広い分野の各約50社、オークランドに約20社のサプライヤーが参加し、訪日旅行商品の造成を行うホールセラーや販売を行うリテーラーが数多く参加した。豪州の現地旅行会社と日本側旅行関係サプライヤーとのマッチング機会を創出し、新たなネットワーキングを構築する場として、また、訪日旅行のさらなる拡大に向けて、さまざまな商談が活発に行われた。

在シドニー日本国総領事館の山中修総領事は、挨拶の中で日豪関係が今かつてないほど強固になり、昨年日本を訪れたオーストラリア人観光客数が92万人に達したことを祝った。実際、その数は2019年比で48%の増加となり、過去最高の多さとなった。現在開催中の「Expo2025 大阪・関西万博」によりさらに多くの来場者が見込まれることから、日本を訪れるオーストラリア人の総数は100万人を超えるとも予想している。閉幕まであと2カ月となった今、さらに多くのオーストラリア観光客にも万博へ足を運び、日本の未来の可能性を体感してもらいたいところだ。

「オーストラリア人は東京、京都、大阪といった日本の象徴的な都市に惹かれがちですが、日本の真の魅力は地方にあります。日本にある300以上の地域は、17世紀から19世紀半ばにかけて高度な自治権を持ち、それぞれ個性豊かな文化を培ってきました。どの地域も四季折々の美しさ、郷土料理や祭りなど独自の伝統に恵まれています。オーストラリアの人々が日本の多様なコミュニティに触れることで、そうした各地域の独自性も浮かび上がってくることでしょう。また、来年は日豪友好協力条約締結50周年となる節目の年。両国関係の飛躍の年となることを心から願っております」

続いて、JNTOシドニー事務所島田優太次長長は、今年1月から7月にかけてのオーストラリア人観光客数が約67万人と前年比20%以上の増加をみせ、過去最高を記録したことを報告。本年末までに100万人以上のオーストラリア人が日本を訪れる可能性があり、その目標達成と日豪間の長期的な関係構築には今回の商談会の参加者らを含めたサプライヤーとバイヤー双方の継続的な協力が必要だと語った。オーストラリア人の日本滞在期間が比較的長く、また、オーストラリア人観光客は世界でもトップクラスの消費力を有していることから、日本にとって非常に貴重な顧客層である。

JNTOシドニー事務所のビジネス開発&マーケティング・シニアアシスタント・マネージャーのHarriett Bougher氏は、今回も有益なデータと共に参加者らに日本の国立公園の魅力を紹介した。

「東京や京都といった都市を思い浮かべる多くの方にとって、国立公園は日本と結びつかないかもしれません。しかし、日本には35以上の国立公園があり、沖縄の亜熱帯から北海道の亜寒帯まで多様な気候帯が広がっています。それぞれが独自の美しさをたたえた、驚くほど多様な公園群なのです。

公園内には世界遺産も存在します。自然遺産の九州と沖縄の間に位置する屋久島は、豊かな森林と日本最古級の樹木で知られ、スタジオジブリの映画『もののけ姫』の舞台にもなったことで有名です。北海道北東部に位置する知床は手つかずの自然美に恵まれ、冬には氷上歩行などのスノーアクティビティを体験でき、夏にはヒグマをはじめとした多様な野生生物との出会いにあふれています。東京都に属する小笠原諸島は30以上の島々から成り、人が住むのはわずか2島のみ。絶滅危惧種がいまだ生息し、白砂のビーチとハイキングの名所としても知られています。

また、国立公園の中には文化遺産に登録されたものもあります。最も有名な公園といえば、東京から北へわずか2時間の場所にある日光。2つの神社と1つの寺院を含む103の宗教建築物が存在し、その独特の建築様式が美しい自然環境と見事に調和しており、日本を訪れる人なら必見と言えるでしょう。紀伊山地を貫く熊野古道巡礼路は、日本の精神的な歴史と息をのむような景観を体験できます。

他にも、持続可能性で認められた村が複数存在します。2021年、国連世界観光機関は文化的・自然的資産を保全しつつ農村観光の優れた事例となる村を称える取り組みを開始しましたが、これらの村々では観光が地域発展と住民の幸福向上の手段としても活用されています。代表例として美瑛町、白川郷、ニセコ町などが挙げられます。さらに、JNTOでは観光庁と緊密に連携し、地方日本における14の新興ラグジュアリー観光地を開発してきました。宿泊施設、ラグジュアリー体験、サービスにおいて厳格な基準を満たした地域で、ハイエンドな旅行者にとって理想的な目的地です。

最後に、総領事がお話しされたように「Expo2025 大阪・関西万博」が10月13日まで大阪で開催中なので、今後の旅行プランに組み入れることを強くお勧めします。ぜひ日本の未来を体験してみてください」

JNTOによると、2025年上半期の訪日外客数は累計21,518,100人となり、2024年同期を370万人以上上回るとともに、過去最速となる6カ月で2,000万人を突破した。訪日旅行消費額の拡大・地方誘客に資する高付加価値旅行(1人あたりの着地消費額100万円以上の旅行)の推進に向けた取り組みの一環として市場規模を調査したところ、2023年の訪日高付加価値旅行市場は、2019年データと比較した結果、消費額・旅行者数ともに大幅に増加しており、増加率は世界を上回ることも確認されている。

持続可能な観光・消費額拡大・地方誘客促進のさらなる実現に向け、高付加価値旅行を取り扱う海外旅行会社との商談や訪日招請などのプロモーションを強化していく中で、「Japan Roadshow」もまた、オーストラリアで日本の多様な魅力に対する理解と評価を深める一助となることが期待される。

最後に、JNTOシドニー事務所北澤直樹所長に、現在の日豪インバウンドについて話を伺った。

 

前回のJAPAN ROADSHOW後、地方自治体に参加していただいたこともあり、2024年6月から2025年5月までの訪日オーストラリア人観光客数の都道府県ランキングでは、

・石川県が68.1%増の順位変わらず9位
・岐阜県が82.5%増の1ポイント上げて12位
・岩手県が68.5%増、3ポイント上げて18位
・和歌山県が75.1%増、5ポイント上げて21位
・愛媛県も24.7%増、順位変わらず35位
と、オーバーツーリズムへの対策となり得る主要観光地から地方への誘致が進んでいます。

これまでスキー旅行といえば、ニセコ、白馬が圧倒的に多かったところ、直近の2025年1月では、札幌、旭川、蔵王、安比高原などより多くの地域に分散されました。これも我々のプロモーションと各地方自治体のプロモーションの結果と考えています。

特に、愛媛県では熱心に誘致活動を行っており、四国全体でのプロモーションも展開しています。オーストラリア人観光客は広島にも足を伸ばしていることも分かってますので、広島イン大分アウトのツアー造成といったさまざまな働きかけも行なっています。そうした中で、四国遍路のスピリチュアルな巡礼、しまなみ海道サイクリングでの地域文化交流など、地方ならではの「コト体験」が人気を博しています。また、大洲城を中心に江戸時代からの歴史的な町並みが残る大洲市では、城下町に点在する町家・古民家を改修・保全し、ホテルや店舗として活用することで、町の滞在価値を高める街づくりを進めています。

また、招請事業で日本を訪れたオーストラリアの旅行会社の方やメディアの方に、こうしたサステナブルツーリズムに取り組む様子をご紹介しています。なかには地域の文化を未来につなぐ取り組みに共感される方々も多く、伝統文化体験や温泉と組み合わせた冬のアクティビティにも高い関心を示し、地方の自然と調和した独自の体験を求めていることが分かります。例えば、香川県の小豆島では、小豆島酒造や金両醤油にて昔ながらの酒造り、醤油造りの見学などを通して豊かな自然と長年の伝統が織りなす独自の食の魅力に触れていただくなど、食の体験はもちろんのこと、訪問先の皆様のおもてなしに感動されたとか。地方それぞれのプロモーションに対する熱意や、単県ではなく複数都市とのプロモーションは、地方での成功要因になっていると考えます。

オーストラリア人観光客には、秋葉原で大量のフィギュアを買い込む王道のオタク層もいれば、京都で歴史的町並みを楽しむ層もいますし、『現代文化と古き良き伝統が一度の旅行で体験できることは日本の大きな魅力』と耳にします。加えて、日本は効率の良さ、小さい土地に色々な魅力が集中しているコンパクトさも強み。午前中に陶器制作、午後にガラス細工、夜に寿司職人体験といった具合に、1日で複数のアクティビティを楽しむオーストラリア人観光客もいます。こうした日本の良さは今後も活かしていきたい。

最後に、今年はオーストラリアから日本への訪日客数は100万人を超えます。この数字は欧米豪の中ではアメリカに次いで2番目の市場になり、記念の年になるでしょう。引き続き、関係者皆様からのご協力をいただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

 

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