エンタメ/スポーツ

【スポーツ対談】女性に勇気を与えるダンス&ヨガ講師/遠藤明日香

シドニーFC・アカデミーのゴールキーパーコーチを務める伊藤瑞希氏のスポーツ対談企画!

プロ・アマチュア問わず、オーストラリアを拠点にスポーツ業界またはスポーツ関連の仕事で活躍している日本人を毎回ゲストに迎え、ホストの伊藤瑞希氏がオーストラリアのスポーツ事情から生活にまつわることまで、さまざまな内容を聞き、ゲストやスポーツの魅力をお届けします。

そして、これをきっかけに「1人でも多くの人にスポーツの楽しさを知ってもらう」「スポーツ観戦をあまりしない人にも興味を持ってもらう」ことを目指しています。

第5回のゲストは、ヨガやダンスの講師を務める遠藤明日香さん。結婚を期に、昔ワーキングホリデーで住んだことのあるオーストラリア・シドニーに移住。家族も増え、順風満帆に思えた新生活で、「母としてどう仕事に向き合うか」という問題に直面することに。そんな状況の中でも、常に明るくポジティブに行動してきたそう。

エネルギーに満ち溢れる明日香さんに、ダンスで食べていく決心をしたきっかけや、ヨガインストラクターを目指した理由、仕事と子育てを両立させる難しさと、それにまつわる面白エピソードを赤裸々に語ってもらいました。

「スポーツ対談」のルールと登場人物を紹介!

事前に用意した9つの質問カードの中からゲストに5枚選んでもらい、その質問にそって対談を進めていきます。

各トピックに与えられる時間は最大10分間! 質問は、スポーツが好きな人はもちろん、スポーツに詳しくない人にも楽しんでもらえるよう、幅広いジャンルのものを用意!

気になる今回の質問は……。この9つ!

【ゲスト】遠藤明日香さん

15歳でチアーリーディングを始め、21歳からはダンスを仕事としてショーやイベント、コンサート等で活躍。22歳の頃にはヒップホップ、ジャズダンスをはじめ多くのダンスクラスを担当。体を資本とする仕事をするうちにヨガに興味を持ちヨガの道に足を踏み入れる。
全米ヨガアライアンス200時間をはじめ、その他さまざまなトレーニングを重ね31歳よりヨガティーチャーとなる。2018年よりサウンドセラピーのシンギングボウルの演奏や施術も行っている。
2015年よりオーストラリアの日系新聞で体に関するコラムのコーナーを持ち好評連載中。また、2016年よりみつろうエコラップKoKeBeeの会社を立ち上げ、環境問題を身近に取り組んでいけるワークショップを世界中で展開中。

【ホスト】伊藤瑞希さん

埼玉県出身。日本大学時代にスポーツ科学を学び、保健体育の教員免許を取得。筑波大学大学院では、サッカー選手の状況判断に関する研究をし、その一方で休学してシンガポールでコーチ経験も積む。
2016年12月より、シドニーFCアカデミー(13-18歳対象)でゴールキーパーコーチとして活躍中。
▼関連記事 シドニーFCアカデミーのゴールキーパーコーチ/伊藤瑞希さん(29歳)

【1枚目の質問】「自分の人生を変えた人」

伊藤さん
明日香さんの人生を変えた人、または影響を与えた人を教えてください。

明日香さん
私は短大に行っていたので、入学してすぐの1年目に就活の時期だったんです。当時は、将来自分が何をやりたいのか全然わからなくて。親に就職せずにダンスがしたいと相談しても、「ダンスだけでどうやってお金稼ぐの?」と言われました。私もダンスでどうやってお金を稼ぐかわからなかったので、うまく答えられなくてモヤモヤしていましたね。

そのモヤモヤしていた時期に、背中を押してくれた人がいたんです。その人が、私の人生を変えてくれた人。その人との出会いがきっかけで、やっぱりダンスの道に行こう! と勇気づけられました。

でも、最初の印象はあまり良いものではなかったんです。ダンス発表会のリハーサルの日に、時間があったので駅ビルで時間をつぶそうと思って入ろうとしたら、その人が私の方にやってきて「すみません、怪しいものじゃないんですけど」って話しかけてきて。

伊藤さん
もうその時点で十分怪しいじゃないですか(笑)。

明日香さん
「私、オーラが見える人の下で働いているんです」って言われたんです。

伊藤さん
なんかゾクゾクしてきましたが、続けましょう(笑)。

明日香さん
「お金を取ろうというわけじゃなくて、伝えたいことがあるので時間をもらえませんか?」と言われて。「うわー! めっちゃ怪しい!」 と思いました(笑)。でも、それを言われたのがデパートの入り口だったので、壺とか何かを売られそうになったら、逃げればいいと思って話を聞くことにしたんです。

そうすると、いきなり「3カ月くらい前から何か変わったことはないですか?」と聞かれて。ダンスを始めてちょうど3カ月が経っていた頃だったので、「あります」と答えたんです。そしたら「それに向かってすごい光が出てるから、ぜひそれを頑張って続けてください」と言い残して、その人は去って行きました。

今考えたら、その人に出会っていなかったら私の人生全く違うものになっていたと思います。その人は、ただ私にその一言を伝えただけで、その後は何もせず行ってしまったんですよね。普通の人には見えない世界を見て、その人にとってプラスになるようなことをするお仕事って素晴らしいなと感動しました。

伊藤さん
人生何が起こるかわからないですね! その人もすごいなと思いますが、リハーサル前の緊張しているときに、断らずに話を聞いた明日香さんもすごいと思います。

【2枚目の質問】「オーストラリアに移住した理由とは」

伊藤さん
ズバリ、オーストラリアに移住した理由は?

明日香さん
夫に付いてきたというのが一番の理由です。

実は移住する前、1年間ワーホリでオーストラリアに住んでいたこともあるんです。その時オーストラリアに来た理由が「大失恋」でした。ママ友の間でも、どうしてオーストラリアに来たの? って話になったら「大失恋したから」と答える人が多いですよ。

伊藤さん
えー! 女性あるあるなんですね(笑)。

明日香さん
そうみたいですね(笑)。私の場合は、当時の彼と一緒にダンスのショーをしに全国をまわっていたんです。ずっと仕事で一緒にいなければいけなかったので、急にプライベートがなくなることがすごく難しかったんです。

その時日本は冬だったので、とりあえず夏の暖かいところに行こうと思って、南半球のシドニーで2週間だけホームステイをしたんです。その時に、ワーホリビザで1年間オーストラリアに滞在できると知って、居心地がよかったので、帰国してからすぐビザを申請して数カ月後にはシドニーに戻りました。

それまで私はダンスしかしていなかったので、シドニーでもダンスをしようと思ってダンスをできる場所を探していたら、同じくダンスをしている夫に出会ったんですよね。一緒にショーをやったり、イベントをやったりして、友達の関係が続き、その後は音信不通。8年後に東京で再会したのですが、再会してから1週間後くらいに結婚することになりました。

結婚後は北京に住んでいたのですが、仕事がうまくいきませんでした。夫は「もう少し中国に残って頑張りたい」と言っていたんですが、このまま中国に残って本人が頑張っても空回りするのが目に見えたので、それはやめたほうがいいと言いましたね。

伊藤さん
はっきり言えた明日香さんがすごいと思います。親しい人だとしても、はっきりと意見を言うことは責任と勇気がいると思います。

その話し合いの後に、北京からシドニーに移住したということですね?

明日香さん
そうですね。私はずっと東京で育ったので、ワーホリでシドニーに住んでいたときは退屈だと思っていました。ダンスのレベルも低いし、盛んじゃないし。自分たちでイベントを作って盛り上げるのは、もちろん楽しかったですけど、自分の中でオーストラリアは戻りたい国の中に入っていなかったんですよね。

でも、結婚して戻ってきて今はすごく気に入っています。どちらかというと、日本にずっと住みたいとは思っていなかったので。

伊藤さん
日本に住みたくなかったのはなぜでしょうか?

明日香さん
特にこれという理由はなく、フィーリングですね。日本にずっといる自分を想像できなくて。夫と結婚したら日本に住むことはないと分かっていて、私にとってもいいこと尽くしだったので、スムーズにオーストラリアへ移住できました。

伊藤さん
僕もヨーロッパや東南アジアをたくさん旅行したり、シンガポールでプロのコーチとして働いたりして、大学院を修了する時には日本から飛び出さなきゃだめだ! と思っていたので、自分が日本に残ることは考えられなかったですね。海外に出たらストレスもいっぱいあるけど、今振り返ったらその時の決断は間違っていなかったと思います。フィーリングって大事ですよね。

【3枚目の質問】「日常にスポーツを取り入れることの意義」

伊藤さん
明日香さんはダンスやヨガをされていますが、どうやって日常にそれらを取り入れているかを教えてください。

明日香さん
昔、リフレクソロジーの資格を取って、半年くらいアルバイトをしたことがあるんです。来る人みんなが疲れていましたね。お客さんから、「腰が痛いので、押したら治るところをいっぱい押してください」ってよく言われていましたね。でも、「運動は何かしてますか?」と聞くと、長いこと何もしてないという人が多くて……。

自分で自分の体をケアする事をおこたって、「悪い部分を押して治してください」と言うのは、あまりに他力本願すぎると思いました。病気になった時に、先生に全てをなんとかしてもらおうと期待してる人は治らないと思うんです。ヨガをする人は、「自分でしっかりなんとかしていこう!」と見つめる気持ちを持っている人だと思うので、そっちにシフトチェンジすることにしました。

昔からダンスをやっていて身体が柔らかいので、ヨガを始める前は漠然と簡単そうと思っていたんですよね。ちょうどヨガが流行っていたとき、たまたま体験に行く機会があって。その時の先生が外国人だったのですが、なんか神々しかったんです。少しお年を召した方でしたが、エネルギーに満ち溢れててピカピカして見えました。

体験レッスンが始まって、みんなができていないポーズを自分が余裕でできたとき、先生が私のもとへやってきて「君はダンサーだね。この身体の使い方をしていたら良くないから骨盤を真っすぐの位置で保ってね」と、骨盤をぐいっと直されたとたん全然バランス取れなくなっちゃって。その時に「やられた!」と思って、もっと極めたいと思ったんですよね。そして、最終的に日本で全米ヨガアライアンスの資格を取りました。

伊藤さん
その先生に骨盤を直されたとき、ショックを受けたのは、ダンスを全力でやってきた経験と自負があったからですよね。その一回の出来事でヨガのインストラクターの資格をとろうと思えたのはすごいと思います。

明日香さん
さっきの話に戻りますが、自分の身体のことに気づかずに何もしないのはおかしいと気付いてほしいですね。「本当にちょっとでいいので、もう少し自分の身体を見つめてあげて」と皆さんに伝えたいです。

伊藤さん
今まで運動をしていなかったけど、明日香さんのところに来て、日常や仕事が変わったという人はいましたか?

明日香さん
ママ向けにヨガの教室をした時、子どもも連れて来れるようにしていたので、「久しぶりに身体を動かした~!」と嬉しそうにされていたママさんは多かったですね。子どもと24時間ずっと一緒にいなきゃいけないというのはストレスも溜まりますからね。身体を動かさないと!

伊藤さん
僕もスポーツをしているから分かるのですが、身体を動かすと鍛えられるだけじゃなく、リラックスできるのがいいですよね。オーストラリア人はその辺のバランスが上手で、散歩とか泳ぎに行くのを日常に上手く取り入れていると思います。

【4枚目の質問】「ワーキングママであることを誇りに思ったエピソード」

伊藤さん
まず、今までにどんなお仕事をされていたのか簡単に教えてください。

明日香さん
ダンスでステージに立ったりヨガを教えたりしていました。今まで常に人前に立っていたので、オーストラリアに来てからすぐに子どもができて、家で子どもと2人でいると、「私の人生終わった」みたいな錯覚に陥りましたね。今までバリバリ仕事をしていた人たちは、すぐに仕事に戻れないと、結構そんな風に思うんじゃないかな。

2人目ができて、これからどうしようと思っていたときに、ママさんたちが子どもを連れてくることができる「ママ向けのヨガ教室」を始めたんです。

伊藤さん
それは、お子さんが生まれてからどのくらいのタイミングですか?

明日香さん
下の子が1歳になる時にちょうど引っ越したのですが、新しい家のリビングが細長くて広くてまるでスタジオみたいな感じだったんです。別に探していたわけじゃなかったのですが、初めて家を見たときに、ここならヨガの教室をできそうだと思いましたね。実際に教室を開くと、子どもがいてなかなか運動ができないママさんがたくさん集まってくれました。

今でも笑えるエピソードがあるんですけど、当時下の子もヨガ教室の部屋でよく遊んでいたんです。レッスンが始まると、それまではひとりで遊んでたのに、ママを取られると思ったのか急に泣き出したんですよね。ヨガの生徒もママしかいなかったので、その場で授乳していたんですが、どうしても自分がヨガのポーズを取らないといけない場面があって。そのときは、授乳をしながらポーズをとったんです(笑)。

数年後に、その当時の生徒とその時の話をして、「おっぱいをあげながら美しくポーズをとれることに勇気をもらいました!」って言われて(笑)。私はしっかり教えられないことにへこんでいたのですが、生徒の皆さんは自分に子どもがいて、子育ての大変さを分かってくれる人たちだったので、救われましたね。

伊藤さん
すごい(笑)。

明日香さん
ダンスのレッスンもヨガのレッスンも、子どもたちが一緒に来るので、私がやっていることを自然と学んでいるんです。私が仕事をしているところを見せられたことはよかったと思います。

伊藤さん
僕も子どもを持つようになったら、明日香さんみたいに子育てしたいです。「ワーキングママ」というと、日本だと子どもを託児所に預けて働くというイメージが強いですが、お母さんが仕事している間も子どもと一緒にいられたらいいですよね。将来的にはお父さんもそうなってほしいです。僕も、将来子どもを抱えながらサッカーを教えてるかも(笑)。

明日香さん
いいですよね! 子どもたちも、私や夫の仕事場に行くのを楽しみにしています。

伊藤さん
オーストラリアでは、すべての職場がそうとは限らないかもしれませんが、割と許容されていますよね。

明日香さん自身が仕事を楽しんでいるから、子どもたちも仕事場に行きたくなるんだと思います。楽しくエネルギッシュに働いているから、子どもたちがそれを感じとるんだろうな。

【5枚目の質問】「これでスッキリ!私のストレス発散法」

明日香さん
私は海の近くに住んでいるので、ストレス発散法は「ビーチに行くこと」ですね。ビーチに行くと、パッと気持ちを切り替えられるんです。

伊藤さん
ビーチで何をされるんですか?

明日香さん
運動することもあるし、ただそこへ行ってコーヒーを飲むだけのときもあります。子どもが通っている学校も海の近くなので、送り迎えの時に毎回ビーチを見れて、それだけでリフレッシュできます。休日に時間ができると、「ビーチに行こう!」ってなりますね。

伊藤さん
オーストラリア人みたいじゃないですか(笑)。

明日香さん
オーストラリアに住んでいるのに海の近くに住んでいないなんて損してるって思うくらい、ビーチが大好きなんです。

オーストラリアでは気軽に自然を満喫できるからいいですよね。日本にいたころは東京に住んでいたので、どうやってリフレッシュしていたんだろう? と思います。日本は気軽に自然に触れられるところが少ないから、みんなうつ病になったり病気になったりするのかなと思います。

あと、オーストラリアのカフェではすごくリラックスできるし、オーガニックの食材を取り入れているところが多いから好きです。日本ではカフェを探すことが大変だし、店の中は狭くてたばこ臭いところとかもあるし、全然リラックスできないんですよね。

伊藤さん
確かに、オーストラリアのカフェはもっとリラックスできますよね。たかがコーヒー1杯と思うけど、それって結構重要なこと。

リフレッシュできる方法が無限にあるのがオーストラリアのいいところですよね。ビーチに行くのにはお金はあまりかからないし、交通費とコーヒー代を考えても10ドルくらい。

山や海が街の近くにあるし、公園も広いし。オーストラリア人に「あなたのリフレッシュ法は?」と聞いても、ポカンとされるくらい、オーストラリア人にとって自然に触れてリフレッシュすることは当たり前になっていますよね!

対談を終えて

今回遠藤さんと対談したホストの伊藤瑞希さんからのコメントと、取材に同席した編集スタッフが選ぶ名言を紹介!

ホスト・伊藤瑞希からのコメント

「ポジティブで、力強いエネルギーが満ち溢れている」。話を聞いているだけで、こっちまでワクワクしてくるような、印象と感覚を対談中にずっと感じていました。明日香さんからのエネルギーが移ってきて、行動力が増すような濃い時間を過ごせました。

もちろん、明日香さんはダンサーとして、ダンスとヨガのインストラクターとして、素晴らしい経験と実績がある。でも、その一つ一つに対して、強い意志と想いを感じることができ、ダンスでもヨガでもいいので、明日香さんのレッスンを受けてみたいと思いました。「人として、女性としての魅力」がある方です。

さらに、母親としての、家族と自分の人生とのバランスの取り方も、多くの女性の参考になるはずです。こんなポジティブで、力強くて、笑顔のお母さんがいたら、子どもも伸び伸びと育つだろうなと思いました。

編集スタッフが選ぶ名言

「忙しくて落ち込む暇がない。つぎつぎにやりたいことが出てくるのでとりあえず動く。そこに理由は特にないですね」

「多忙な生活の中で、活力の源はどこにありますか?」というJAMSスタッフの質問に対する、明日香さんの言葉。特に意識してポジティブに考えているわけではなく、目の前のことに全力で取り組んでいる結果、多方面で活躍できているのだと感じました。

次回の対談は12月公開予定!

次回もオーストラリアを拠点にスポーツ業界で活躍している方をゲストに迎え、楽しく対談の様子をお伝えします! お楽しみに!

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取材・文:西村 望美、久持 涼子

Earth Light Yoga
伊藤瑞希さんのプロフィール

▼メール:mzk.work@icloud.com
▼シドニーFC:http://www.sydneyfc.com
▼Facebook:Mizuki Ito
▼Instagram:mizukiito
▼Twitter:mzk (伊藤瑞希)
▼ウェブ:https://mzkweb.jimdo.com

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