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日系コミュニティ

ビジネスインタビュー②「シドニー日本人会会長に聞く」

桝谷 亨 Toru Masutani  三菱東京UFJ銀行オセアニア総支配人

 

    1963年生まれ。兵庫県出身。早稲田大学商学部、シカゴ大学経営大学院(MBA)卒。

     1987年4月(旧)東京銀行入行。

     米州投資銀行部(ニューヨーク)、ストラクチャードファイナンス部、

     国際企画部情報戦略室などに配属。 

     2014年7月 シドニーに赴任。オーストラリア在住は2度目

    (前回はシドニー、メルボルンに5年在)

     2015年7月 シドニー日本人会会長に就任。

 

 

長年にわたって緊密な関係を結び堅調に発展してきた日豪両国の経済関係は、経済連携協定(EPA)の発効と環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意で、さらに緊密な関係へと発展していくことが予想される。日系企業を取り巻く環境について、また、日本人会の現状と活動内容を、シドニー日本人会会長の桝谷 亨・三菱東京UFJ銀行オセアニア総支配人に聞いた。

 

日本人会の活動について

世界でも有数の在留邦人数を誇る当地において、皆様並びに皆様のご家族がより充実した生活を過ごされるよう日本人会として活動していきたいです。私は、子どもの頃にシドニーとメルボルンに住んでいましたが、家族ぐるみで参加した日本人会の様々なイベントは今でもとても楽しい思い出となっています。個人的な体験ですが日本人会の活動にも活発に活かしていきたいですね。

シドニ一日本人会は、会員の皆様に身近で有益な組織となることを目指しています。恒例となっている日本人学校のフェイトや各種クラブ活動、クリーンアップ・オーストラリアやソフトボール大会、カウラ桜ツアー等に加え、ご家族でも楽しんで頂けるようなイベントを、ご意見・ご要望を伺いながら随時企画したいと考えています。

例えば植林のボランティア活動があるとお聞きしたので、そのようなボランティア活動も良いかなと考えています。前会長がクラブ活動の活性化を掲げて、部員数の伸び悩みが課題となっていたテニスクラブが盛り上がってきましたので、今後もクラブ活動の活性化には力を入れていきたいですね。

会員企業の動向について

これまで日本企業のオーストラリアへの投資は資源セクタ一が中心であり、その重要性は今後とも変わることはないと思います。一方、日豪EPAが締結されたことで日本企業の関心は資源セクターにとどまらず、非資源セクター、具体的にはインフラ、食品・農業、流通、小売り、サービス等へと拡大することが期待されますし、現に、そのような動きが出てきているところです。

投資先としてオーストラリアを検討する際に重要な点は、先進国で、制度が透明で、ビジネス慣行にも違和感がない、などが挙げられます。そのうえで、オーストラリアは先進国でありながら、今後10年以上に亘って人口増加が見込まれ、そのため都市部を中心に今後は道路や鉄道等の交通インフラ、さらには住宅、消費市場の拡大が進むでしょう。加えて教育レベルも高いので高度な教育を受けた人材も多く、高付加価値のサービス産業も拡大、発展していくと思っています。

もちろん先進国とはいっても人口は2,300万人ほどと少ないうえに、すでにオーストラリア企業による寡占が進んでいる市場です。新たに進出するのが難しい市場とも言われています。しかし、生活レベルの高い中所得以上の人々が消費人口を形成していて、必ずしもマーケットが小さいとはいえないと思います。これまで豪ドル高、コスト高を背景に日本企業のオーストラリア進出は頭打ちの傾向にありましたが、今後こうしたビジネスチャンスの広がりにより、新たな日本企業がオーストラリアに進出することが期待されます。それが結果として日本人会の会員数の増加に繋がることを期待しているところです。

新局面を迎えた日豪関係

長い歴史を有する日豪両国の関係は、近年の両国首脳の相互往来、2015年に発効した日豪EPAにより次のステージへと移行しつつあります。オーストラリアに関心を持つ日本企業の裾野が広がっていますし、オーストラリアから日本への旅行者数も年々増加しており、日豪相互でヒト・モノ・投資が益々活発になることが期待されます。

そこで、日本企業がオーストラリア企業と組んで、成長するアジア市場に進出するという新たな展開が見られます。オーストラリア企業はアジアにそれほど進出していませんし、どこに、誰と組んで、どういうビジネス展開が考えられるか…。オーストラリア企業だけではなかなかうまくいかないところを、すでにアジアに進出している日本企業と手を組むことで、可能になるわけです。このように今後大きな成長が期待されるアジア市場で日豪両国が協力するなど、日本とオーストラリアの新しい協力関係はより深いものとなっていくと思います。

日本とオーストラリアは基本的な価値観を共有し、また長年に亘り友好関係にある、日本にとって貴重なパートナー。そうしたオーストラリアの魅力をいまこそより多くの日本企業が認識し、両国の関係が一層深まればこれ以上の喜びはありません。

 


Level 2, 37 Bligh Street, Sydney NSW 2000

Phone: (02) 9232-7546

Fax: (02) 9223-5382

Email: jss@jssi.org.au

www.jssi.org.au

会員数:138社、724人(479世帯)

シドニー日本人会は1957年12月、①会員相互の親睦向上、②シドニー一円に住んでいる日本人および日系人による交流や社会貢献事業の実施、③日本人および日系人に影響のある社会・文化・経済についての情報提供、④日豪経済・文化交流の推進、⑤シドニー日本人学校の支援・協力、を目的に設立されました。委員会やクラブなどを通じて、さまざまな活動を展開しています。

・運営・広報委員会:日本人会の組織運営に関する課題の検討や広報活動などを行っています。

・文化委員会:日豪文化交流の進展を図るため、日本の伝統・文化・芸能に関する講演会、展示会、実演会などを企画・運営しています。

・レクリエーション委員会:会員間の親睦・交流を目的に、ソフトボール大会、クリスマスパーティーなどのイベントを企画・運営しています。

・フェイト支援委員会:シドニー日本人学校支援のため、同校のフェイト(バザー)に出店してオークション・スピードくじを実施し、収益金を寄付しています。

このほか、ゴルフクラブ、水泳クラブ、釣りクラブ、テニスクラブ、婦人ゴルフクラブが月例会や大会を開催しています。

会員には個人会員と法人会員があります。

(1)入会金 個人会員:$8.80(単身)/準個人会員:$11.00(家族)

法人会員:$110および法人会員所属登録者1人につき$8.80(単身)/$11.00(家族)

(2)年会費 個人会員:$118.80(単身)/準個人会員:$158.40(家族)

法人会員:法人会員所属登録者1人につき$330.00(単身)/$369.60(家族)

(GST込み、2015年11月現在)


 

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