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【子育て】 シドニー共育日記(第9回) 生後~6ヶ月ごろまで(その5) エンジェル時代(上)

生後まもなくから6カ月ごろの赤ちゃんのことを、私は「人間になってしまう前の、神様から送られてきたばかりの天使」だと思っている。

まだ言葉を話せず、歯の生えていない口元を開けて、あどけない笑顔でニッコリ笑い、おっぱいを飲んではスヤスヤと眠っている、頼りない小さな存在。

でも、その赤ちゃんが、おっぱいを飲みながら、小さな手のひらでぎゅうっと母親の指を握り締め、つぶらな瞳でじっと目を見つめてくるとき、

母親はどんなにその子から大きな愛情をもらっていることだろう。

親としてどんなに未熟でも、人間としてどんなに欠陥だらけでも、赤ちゃんはあなたを心から信じて、限りない愛と信頼を寄せてくれる。

その瞳を見つめ返すとき、ひょっとしたら、母親のほうが赤ちゃんに人間としてひとつ成長させてもらっているのかもしれない。

 
この時代の赤ちゃんの、あなたへの愛は無限大だ。神様からの愛と言っても過言ではないくらいに。

だからこの時代の赤ちゃんを私は「エンジェル」と呼ぶのだ。人間としての知恵や習慣が入り込む前の、本当の意味でピュアな愛情を、

エンジェルは惜しみなく親になった人に注いでくれる。その澄んだ瞳で、じっと見つめて・・・。

それをしっかりと受けとめたら、身も心もきれいに洗われるような気持ちになる。

 
この頃の赤ちゃんのエンジェルの表情は本当に何度見ても、いつ見ても、見飽きないもので、私も夫も、またジジやババたちも、

みーんなそれこそバカみたいに夢中になったものだ。口をあんぐりあけたみっともない間抜け顔で「ばあ~」などとあやしたり、

「・・・でちゅよ」などと、他人が聞いたらさぞかし気色悪いだろうと思われる赤ちゃん言葉で話しかけたりして、

みな大人たちは明らかに知能指数が通常より100は下がった状態と成り果てる。

けれども、このころの親バカぶりは、まあ許してほしい。何しろ、本当にどの赤ちゃんもみんなピュアで愛くるしいエンジェルちゃんで、

その純粋な笑顔でにっこりされたら、鬼でも悪魔でもメロメロになってしまうというものだ。

 
どこかの映画でこういうせりふがあったっけ。「子育ては3年間の喜び、その後30年間の惨め」。もうひとつ、こういうことも誰かが言っていた。

「赤ちゃんは最初の数年間にその可愛らしさと愛情とで、親に一生分の幸せを味わわせてくれる。そのあとは親はその幸せを子供にずっと返し続ける」と。

その幸せな子育て時代の中でも特に幸せで大切なエンジェル時代。天使の羽が背中から消えてしまう前に、

言葉や習慣が入り込んでしまう前に、赤ちゃんの目をじっと見つめて、目と目で愛を確かめ合ってほしい。

それは澄んだ魂と魂が触れ合う、世にも素敵な体験となるだろう。

(さかな)

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