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第10回 本田栄悟氏 Mayekawa Australia Pty Ltd


  • 17年01月09日

10人目の駐在員は、産業用冷凍機や各種ガスコンプレッサーの製造販売、冷凍・冷蔵倉庫冷却設備の設計施工等のプラントエンジニアリングで知られる前川製作所のオーストラリア支社長、本田栄悟さんに登場していただきました。これまで海外赴任の辞令を断り続けてきたという本田さん。初めての海外駐在でシドニーに赴任し、そろそろ生活にも慣れてきて、家族で一緒に旅行をしたりと、海外生活をエンジョイされているようです。日本とは大きく仕事内容が異なると話す本田さんに、仕事のことやシドニー生活のことをお聞きしました。

 

隠れていたんですが、ついに見つかってしまいました

赴任の話を聞いた時は、とうとう来たかと思いました。それまで何度か話しはあったのですが、断っていました。結婚してまだ子どもが小さい時とか、父親が亡くなって母親と同居して直ぐの時とか、これまでタイミングが合わなかったんです。
そうこうしているうちに年齢も40歳を過ぎて、もう海外赴任はないだろうと思っていたんです。それにシドニーに来る前は札幌の北海道支店にいて、ずっと北海道に隠れていたんですが、ついに見つかって、2年前の10月に社長から、「今晩、家族会議をしてください」と言われてしまいました。

家族会議では、子どもたちは「ひとりで行けば?」というのですが、妻は「私たちを置いて行く気?」という反応でした。上の娘が中学に上がる時で、下の娘が小学4年になる時で、この時期なら大丈夫かと覚悟を決めて、娘を説得しました。(実は、海外駐在は6年と言われているんですが)「3年で帰れるかもしれないし、高校の時に帰れるかもしれないよ。英語の勉強もできるし…」などと言いましたね。

2014年の11月にシドニーに下見に来て、翌2015年2月に赴任しました。シドニーは住みやすいですし、他の国に比べて危険なところがなさそうだというのが第一印象です。

 

 

いまでは家族も生活を楽しんでいます

家族は、最初は嫌がっていましたが、いまでは、シドニーの生活にも慣れてきています。子どもは日本人学校のせいか、言葉の壁もそれほどでもないですし。スーパーでの買い物も最初はパック商品を選ぶだけだったのが、いまでは対面販売で「これをいくつください」と言えるようになってきました。

私を含め家族は皆、北海道です。妻は北海道から出たことがないですし、子どもは北海道生まれです。「シドニーは雪が無いのは寂しいけれど楽だね」と言っています。逆に北海道に帰れるかなと心配しているほどです。それでも子どもたちはこちらでたまにスケートをしていますよ。

子どもたちは剣道とテニスをしています。妻もテニスをはじめて、日本ではお茶やお花をしていたので、こちらでもしています。わりとシドニーの生活をエンジョイしていると思います。

 

 

最初から海外要員ではなかったですね

1990年、バブルの終わりの頃に入社しました。北海道苫小牧の高専を卒業して、先輩がいたので入社しました。専攻は工業化学なので、卒業すると研究職に進むか、ケミカルプラントに行くのが多かったですね。私はケミカルプラントでの三交代制勤務がイヤで(笑)、機械メーカーを選びました。

会社は冷凍機メーカーですが、日本国内と海外との市場は半々の割合ですから、かなり海外が重要な位置を占めています。冷凍機メーカーとしては、ヨーロッパのメーカーと米国のメーカー、そして弊社がビッグスリーと言われています。現在、39カ国に、合計98営業所あります。とくに米国、ヨーロッパ、ブラジルに集中していて、特に中南米に強いですね。

海外駐在は、行きたい人を行かせる時期と、実力のある人を行かせる時期と、周期があるようです。私の時期は、海外志向の社員は海外要員として選ばれていたのですが、私はそこに入っていませんでした。それでも配属された部署が海外のお客様が多かったので、海外出張には随分と行きました。おそらく会社としては、(こいつは海外に行けと言えば行くだろう)と感じていたと思います。

 

 

日本とは異なる業態ですが、期待に応えないと

仕事では大きな違いがありますね。これまでは冷凍食品工場全体の設計から工事・試運転まで、一貫したプロジェクトのプラント責任者として働いていたのですが、こちらでは冷凍機メーカーとして、コンプレッサー単体を販売するということが中心になっています。
日本やアジア、南米は設計から製造までという業態なのですが、オーストラリアは欧米と同じように機械本体のみの販売という業態が多いですね。

やりづらいのはエンドユーザーの声が聞こえづらいことです。直接、エンドユーザーと取引をしていないので、なかなか市場の動向がつかめません。オーストラリア経済は以前に比べて悪くなってきたとよく言われますが、それは資源関係の分野であって、オーストラリア全体の人口が伸びて消費市場が拡大していますから、食品市場では当然物流における冷凍・冷蔵業界が伸びている状況にあります。その意味では商機があると思います。

私がオーストラリアに派遣されているのは、ここで何かやってもらいたいという期待があるのでしょう。冷凍機の単体売りから一歩脱皮するということで私が送り込まれたと思います。これまでプラント関係の他にも、食品関係のラインや農協との仕事を通じて野菜関係も知っているということが評価されたのかもしれません。

でも、言葉には苦労しますね。もともと海外駐在をする気がなかったので、英語は全く勉強していませんでした。それで海外のお客様と一緒に本社に行っても、話せないのをいかにして隠そうかと思っていましたから(笑) もしかすると語学力があるはずだと思われていたのかもしれません。

 

 

社員を辞めさせないという社長の姿勢

いまの社員は平均勤続年数が15年とわりに長いんです。東南アジアのように手取り足取り教える必要がないので、その点は楽です。これまで先輩たちがしっかりとやってきてくれたおかげですね。

実は先輩たちの二人ともが、一旦辞めた後、再雇用されて働いています。二人とも元の代表です。やりづらさもありますが、これまでのことをよく知っていますから、その点では助かります。以前いた北海道支店でも元の支店長が残っていましたし、それに他の海外支店でも残っている方は何人かいます。おそらく社長が社員を辞めさせることが大嫌いということが影響しているのでしょう。
それにオーストラリアは良い国なんでしょうね。辞めてまで残りたいということですから。

シドニーの駐在員の方は百戦錬磨の方々ばかりですから、私のような新参者が言うのもおこがましいですが、やはり駐在生活で大切なのは、イライラしないで楽しむということですね。オーストラリアのペースに合わせてイライラしない、気にしないというのが大事だと思います。

私は、前任者から、社員を怒ってはいけないと言われました。あまりガリガリしてもダメだよと。性格的に楽天家ですし、やはり北海道出身なのか、おおらかな部分があるようで、オーストラリアには合っていると思います。

 

 

趣味の剣道を娘と一緒に楽しんでいます

休みは家族旅行で国内をいろいろ行きたいですね。あちこち、旅行してみたいと思っています。
ゴルフは初めてまだ2年ほどでこちらに来てしまいましたので、赴任中に少しはゴルフが上達するようにと願っています。

 

 

趣味は剣道です。学生時代まで剣道をしていて、その後ブランクがあったのですが、40過ぎにまたやり始めて、今は娘と一緒にやっています。オーストラリア人が日本文化に触れるのは良い機会だと思いますので、剣道を通じて、日本の文化・伝統に関われていければなと思います。

 

 

シドニーには、オープンカフェというか、開放的なお店が多いので、そういうお店でお客様と一緒に飲んだりというのが良いですね。いま、ひそかなマイブームになっています。

 

日本を恋しく思うことですか…?

食べ物ですね。豚のホルモン焼きが好きなんです。北海道は豚のホルモン、豚の小袋、豚のタンと、全部豚なんです。なかなかシドニーの焼肉店で豚を出すお店が少ないんです。帰国したらホルモン焼きか、回転寿司か、どちらかですね。そうそうホッケもいいですね(笑)

 

 




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