冠婚葬祭

やる気の無い方へ・・・

♦やる気の無い方へ・・・♦

私は子供の頃から"無料”とか”ただ”という言葉に弱く、”無料です、ご自由にどうぞ”などと書かれた看板をめがけては、雑踏を駆け抜けるかの如く、サインめがけて突進していたものである。 こういったイヤしい行為は”関西人だから”とか”京都の町が私をこうさせた”と自分に言い聞かせるようにしている。

そんな私が学生の頃”無印良品”の看板を見て、ついつい体をふらふらと流されそうになった事さえあり、私の母は”いやしい子だねぇ・・”と肩を落としたものだ。

そんな私が先日撮影の仕事で日本に行ったときの事である。 

先日渋谷の駅で電車を待っていた私は、駅の構内の"ご自由にお取りください”というサインが目に付いた。”これはいけない・・”と思いながらも看板の方向に歩いていくと、就職情報誌が山積みにされていた。

私がいまさら、どこかで就職をするなどという事は、”企業の皆様に大変ご迷惑をおかけするから・・”という理由でさらさらないのだが、”世間の皆様は一体どんなお仕事をされてるのかな”と、まるで好奇心いっぱいの年寄りみたいな私は、情報誌を片手に電車に乗り込んだ。

お昼間の渋谷駅はとても空いていて、車内の席をとった私は、早速先程の就職情報誌を広げてみた。

平日の昼間から就職情報誌を広げている30台半ばの私は、”もし誰かがお仕事が無くて困ってらっしゃるのですか?”などと尋ねられたとしたら、”いいぇ、今年大学卒業の弟の仕事を見てるだけですよー”と答えようと心に決めて、回りの様子を見てみたが、どうやら私の存在にさえ気付いていないようでどことなく安心した。

そんな私は就職情報誌をペラペラめくっていて、あるキャッチフレーズが情報誌内に多く使われている事に気付いた。 その言葉とはこれである。 "やる気のある、明るい方募集!”

なんだか過去の経験や技術などというよりは、とにかく明るさややるきだけを重視する不思議な募集要項である。 やる気も明るさも面接や履歴書で判断するのは難しそうな気がするのだが、逆に言えばやる気が無く、暗い方だけが応募してはいけないとう、割と間口の広い募集要項である。

こんなのはまだいい方で”未経験・新卒OK・35歳位まで”というのも多くみられた。 これは経験が無くても、新卒でもOK、しかし35歳以上の方だけはお断りという不公平な記載事項も多くみられた。読み方によっては、”誰でもいいけど35歳以上だけは困ります”というふうに読めるのは、私だけだろうか。 これでは、経験豊富な35歳以上の人はまるで職場においての危険人物ではないか。 平成の東京に、姥捨て山の制度がこんなところにまだ根強く残っているのには、さすがの私も驚いた。 35歳以上=姥(うば)である。

そうこうしている内に、目的駅の東京駅についた私は、構内にあるコンビニに入り、久しぶりの焼きおにぎりと野菜ジュースを手にレジに向かった。店内は比較的空いていて、レジに並ぶ事も無く焼きおにぎりと野菜ジュースを若そうな男性スタッフに差し出した。そうするとその若そうな男性はぼそりと商品を読み上げ、まるで寝言を言うかのようなやる気の無さそうな低い声で”ありがとうございましたぁ・・”と軽くお辞儀した。やる気の無い、暗い方を募集している求人広告を見た方がいらっしゃたら、是非彼に伝えてあげていただきたいものである。 

私は支払いを済ませ、お店を出た後にふと振り返ると、コンビニのお店入り口に求人の張り紙がはってあることに気付いた。張り紙の内容はまたしてもこうである。 ”やる気のある、明るい方募集!” 

一見間口が広そうなこの募集要項だが、どうやら募集要項通りの人材発掘には時間がかかりそうだなーと思った。

 

シドニー・クリエイティブフォトグラフィー

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