オーストラリアの永住権を獲得するには「どの職業に就いているか」が大きく関わっています。
なぜなら、オーストラリア政府は不足している労働者を移民で補うため、需要がある職種に就いている人に対し優先的に永住権を与えているからです。
本記事では、オーストラリアの永住権につながりやすい職業やその職業に就く方法、永住権を取得する際の注意点について詳しく解説しています。
オーストラリアに長期間住みたい方や永住権を取得したいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
オーストラリアの永住権獲得に深く関わってくるのがSkilled occupation list(SOL)と呼ばれる職業リストです。
職業リストにはMLTSSL・STSOL・ROLの3つがあり、自分の職業がどのリストに載っているかによって永住権獲得の難易度に違いがあります。
MLTSSL(中長期戦略技能リスト)とは、オーストラリア国内で中長期的に需要が見込まれる職業のリストで、このリストにある職業に就くことで永住権を取得できる可能性が大きく高まります。
MLTSSLにある職業は、雇用主・地方・州などのスポンサーがいなくても永住権を申請可能です。
ただ、MLTSSLの職業に就き永住権を申請する際には、ポイントテストで基準点を超えなければなりません。
ポイントテストは年齢・英語力・卒業学位・勤務年数などがポイント化されているもので、獲得ポイントが高い順に永住権が与えられます。
STSOL(短期技能職業リスト)とは、オーストラリア国内で短期的に必要とされる職種のリストです。
STSOLにある職種の場合、最大2年間の就労ビザが取得できますが、雇用主・地方・州などのスポンサーが必要です。
短期的に求められている職業リストという性質上、掲載されている職業が頻繁に変更されるので注意しましょう。
STSOLにある職種では永住権の取得は難しいとされていましたが、2023年4月のオニール内相の発言により永住権獲得の可能性も出てきたため今後の動向に注目しておきましょう。
参考:Australia to overhaul immigration system, smooth entry for skilled workers
ROLは(地域職業リスト)オーストラリアの地方や田舎の地域で需要が高い職種のリストです。
オーストラリアの地方都市は、農業や鉱山などの仕事や観光面で人手不足に陥っています。
その人手不足を補うためにROLに掲載されている職種で就労し、かつ、指定された地方に滞在する人材に対し地方政府が永住権のスポンサーとなり永住権の申請ができます。
ROLに掲載されている職業は、MLTSSLより幅広く難易度も低めです。
「Chef(シェフ)」「Child Care Centre Manager(チャイルドケアセンターマネージャー)」など馴染みのある職種も多数掲載されているため、郊外に住むことに抵抗がない方はROLをチェックしてみましょう。
SOLにはシェフ・エンジニア・看護師・会計士など、さまざまな職業が掲載されています。
ここでは、SOLに掲載されている職業やその職業に就く方法を紹介します。
日本の飲食店で働いていた経験がある方や料理が好きな方におすすめなのが、シェフとして永住権を目指す方法です。
シェフとは、飲食店においてメニュー開発や品質管理、調理技術や衛生面の指導など調理の全行程に責任を持つ人を指します。
飲食店で働くことは誰でもできますが、それだけではシェフとして永住権を申請するのは難しいのが現状です。
シェフとして永住権を得たいのであれば、オーストラリアの学校でCertificateⅣ以上のコース修了を目指しましょう。
どの国においてもエンジニアは最も需要のある職業の1つで、オーストラリアも例外ではありません。
MLTSSLには「Software Engineer(ソフトウェアエンジニア)」「Chemical Engineer(化学技術者)」「Telecommunications Engineer(電気通信エンジニア)」などさまざまな分野のエンジニアが掲載されています。
エンジニア系の仕事に就きたい方は、自分が興味がある分野や今やっている仕事がどのエンジニアにつながるか探してみると良いでしょう。
子供が好きな方には、保育士や幼稚園教諭などチャイルドケアの仕事がおすすめです。
オーストラリアの保育士や幼稚園教諭はほとんど残業がありませんが、時給は約30豪ドル(約2,850円)と日本より給与が高めです。
MLTSSLには、現在「Child Care Centre Manager」「Early Childhood (Pre-primary School) Teacher」などの職種が掲載されています。
オーストラリアで保育士や幼稚園教諭として永住権を申請するには、Diploma以上の学位を持っておいた方が良いでしょう。
※2023年7月の豪ドル円レート(1ドル=95円)で計算
参考:Child Care average salary in Australia, 2023
医師や看護師の資格を持っている方や看護や介護の分野で働きたいと思っている方におすすめなのが、オーストラリアで資格を取得し働くことです。
MLTSSLには「Registered Nurse(看護師)」「Surgeon(外科医)」「Radiologist(放射線技師)」など医療に携わる職種が多数掲載されています。
オーストラリアで看護師や医師として働くには、Bachelor以上の学位が必要です。
日本で資格を取り働いた経験がある場合は、オーストラリアの学士号課程に修学せずに看護師や医師の資格を取得できる可能性もあります。
ただ、オーストラリアで資格を取得する場合も、日本の資格を活かす場合もIELTS7.0という高い英語力が必要です。
日本でも人気の士業でも永住権が目指せます。
MLTSSLには「Accountant(会計士)」「Taxation Accountant(税理士)」「 Barrister(弁護士)」などの職種が掲載されています。
日本でUSCPA(米国公認会計士)の資格を持ち一定の条件を満たすと、相互認証協定を結んでいるオーストラリアで会計士資格が取得可能です。
一方、日本の弁護士の資格をオーストラリアで活かすことができません。
オーストラリアの法学部を卒業後、法律事務所で半年〜1年間のトレーニングを修了することで弁護士の資格が与えられます。
車やバイクが好きな方には電気技師や整備士の資格を取得するのがおすすめです。
オーストラリアは乗用車をほとんど生産していませんが、自動車の保有率は世界トップクラスです。
そのため、オーストラリアでは自動車やバイクに関する専門知識を持つ整備士が不足しており、政府は技師や整備士に優先的に永住権を与える措置をとっています。
MLTSSLには「 Automotive Electrician(自動車電気技師)」「Motorcycle Mechanic(バイク整備士)」「Shipwright(船大工)」などの技術職も豊富に載っています。
自動車電機技師やバイク整備士として働くには、専門学校やTAFEでCertificate IV以上のコースを受講しましょう。
年々人口が増加しているオーストラリアでは、建物や道路を作る建築士や大工、土木技師など建築に携わる人材不足が深刻です。
そのため「Architect(建築士)」「Carpenter(大工)」「Civil Engineer(土木技師)」など建築に携わる多数の職種がMLTSSLに掲載されています。
建築家や土木技師は専門知識が求められますが、大工は未経験でも働けます。
建築や土木と聞くと男性が多いと思われがちですが、きめ細かさと気配りが要求される設計の分野では多くの女性が活躍しています。
大学教授・学者・研究者は、永住権を取得しやすい職種です。
MLTSSLには「University Lecturer(大学教授)」はもちろん「Psychologists(心理学者)」「Economist(経済学者)」などさまざまな研究職が掲載されています。
永住権を申請するには審査の際ある一定のポイントを獲得しなければなりませんが、大学教授・心理学者・経済学者はいずれも最低の65点で永住権の申請が可能です。(2022年8月時点)
90点も獲得しなければ永住権の申請ができない職種と比べると容易に永住権が取れる職種といえるでしょう。
参考:Largest Invitation Round Of Australia | 35,120 Candidates In SkillSelect Invitation Round
MLTSSLには「Dancer or Choreographer(ダンサーまたは振付師)」「Musician(ミュージシャン)」といった職種も掲載されています。
ダンサーやミュージシャンなど芸術系の職種では、MLTSSLではなくグローバルタレントビザというビザで永住が可能になる場合があります。
グローバルタレントビザでは学位よりも実績や受賞歴が重要視されるため、専門分野において著名であったり、国際的な賞を受賞している場合はグローバルタレントビザの取得も視野に入れましょう。
スポーツが盛んなオーストラリアでは、スポーツ系の資格でも永住権の取得が可能です。
MLTSSLには「Footballer(サッカー選手)」「Tennis Coach(テニスコーチ)」が掲載されています。
サッカー選手の中には、学生ビザやワーホリビザを取得しプレーするケースもよくあります。
国内リーグでプレーし続けられれば、就労ビザや永住権を獲得の可能性も見えてくるでしょう。
オーストラリアの永住権取得が見込まれる職業に就く方法は、学校で資格や学位を得る、ワーホリ中に経験を積む、日本の経験を活かすという3つがあります。
オーストラリアの大学や専門学校・TAFEで資格や学位を取得すると、永住権取得に有利な職種に就ける可能性が広がります。
オーストラリアで看護師を目指す場合、現地の大学で学士号を取得する必要があります。
看護師の学士号は日本で資格を持っていない方は約4年、看護学以外の学士号を持っている方は約2年で取得可能です。
会計士の場合、CPA認定校で会計士コースを修了した後にCPAのプログラムの受講と実習が行われ、試験と実習の査定をクリアすると会計士として働けます。
オーストラリアで保育士の資格を取得するには、専門学校やTAFEで最低でもCertificateⅢ以上のコースの受講が必要です。
オーストラリアでの就学は費用や時間がかかりますが、永住権の申請をする際にポイントが加点されるというメリットがあります。
MLTSSLに掲載されている職業の中には、ワーホリ中に挑戦できる職業もあります。
コロナ禍以降、労働者が不足しているオーストラリアにおいてシェフや大工は需要が高く、仕事を見つけるのは難しくありません。
まずは、ワーホリ中にシェフや大工の仕事を経験し、自分に合っていると思えれば永住権に向け学位を取りましょう。
ITエンジニアはワーホリ中に働いた企業がスポンサーとなり、永住権につながる可能性があります。
ただ、企業は即戦力となる人材を求めているため、就活する際には「自分にどんなことができるか」をアピールできるようにしておくと良いでしょう。
日本での経験を活かして、永住権を取りやすい職種に就くのも良いでしょう。
オーストラリアには、日本のように美容師になるための国家試験はありません。
日本で美容師をしていた場合、お店の面接やトライアルにさえ合格すればすぐに働けます。
ダンサーやミュージシャンにも資格はないため、就職先さえ見つかればすぐに働き始めることが可能です。
美容師やダンサーの方は働きながらスポンサーを探したり、学位の取得を目指すと永住権獲得の可能性が広がります。
日本で医師として働いていた場合、筆記・臨床試験、研修をクリアするとオーストラリアでも医師として働けます。
オーストラリアの永住権取得と職業選びには、好みを無視して職業を選ぶとモチベーションが続かない、職業リストは頻繁に変更されるという注意点があります。
オーストラリアの永住権を取得することだけを目的に職業を選ぶと、後々辛くなることがあります。
MLTSSLに掲載されている職業に就き永住権を得るには2〜3年学校で学び、最低でも4〜5年その職業に従事しなければなりません。
永住権のために好きでもないことを学び、仕事を何年も続けられる人は多くないでしょう。
途中で辞めてしまうと学費や資格を取るまでにかかった時間までもが無駄になってしまいます。
永住権を取得するには職種も大事ですが、自分が「好きなこと」「興味のあること」「やってみたいこと」と思える仕事を選ぶようにしましょう。
オーストラリアの移民法は頻繁に変わるため、永住権対象の職業リストから希望の職業がなくなることもあります。
かつて、コロナ禍からの経済回復を目的とした「Priority Migration Skilled Occupation List(優先移住スキル職業リスト)」というものがありましたが、たった数年で廃止されてしまいました。
このように資格取得までにかけた費用や時間が政府の決定によって水の泡となる可能性があります。
特に、STSOLやROLに掲載されている職業は頻繁に変更されるため注意が必要です。
MLTSSLやROLなどの職業リストから希望の職種が削除されるリスクはどの職種にもあります。
しかし、ビザ取得後に職業リストから自分が携わっている職種が削除されても保有しているビザには影響がありません。
オーストラリア政府は人手不足の職業をリストに載せ、働く人が増えるとリストから削除することで人数調整を行います。
ビザ取得を目指すのであれば、いち早く人手不足の職種の情報をキャッチし、その職種に関連する資格や学位を取得することが大切です。
ここでは、オーストラリアの永住権に関する基礎知識を解説します。
オーストラリアの永住権獲得には年齢・英語力・申請費の支払いなどの条件があります。
オーストラリアの永住権を申請できるのは45歳未満の方です。
また、最低でもIELTS6.0以上の英語力があることを証明しなければなりません。
IELTS6.0は、TOEIC780または英検準1級程度の難易度です。
永住権の申請費は4,640豪ドル(約441,000円)です。
※2023年7月の豪ドル円レート(1ドル=95円)で計算
ビザの種類 | 特徴 |
独立移民ビザ (Subclass 189) |
MLTSSLやROLに掲載されている職種の技能や資格を有している方が、スポンサーなしで申請できるビザ。 |
就労ビザ (Subclass 457) |
雇用主からスポンサーをしてもらい取得するビザ。職務経験が2年以上、必要なスキルを持っているなどの条件がある。 |
パートナービザ (Subclass 309/100) |
オーストラリア人、ニュージーランド人、または永住権保有者と結婚または事実婚の関係にある場合に申請可能。 |
オーストラリアの永住権には、大きく分けて独立移民ビザ ・就労ビザ ・パートナービザの3つがあります。
オーストラリアの永住権を目指す方法で、最も一般的なのが独立移民ビザを取得することです。
独立移民ビザの申請には、MLTSSLやROLに掲載されている職種の技能や資格を保有していなければなりません。
また、申請するには職歴・学歴・英語力・年齢などをポイント化した審査で、一定のポイント以上を獲得する必要があります。
独立移民ビザとは違い、雇用主からスポンサーをしてもらわなければならないのが就労ビザです。
就労ビザを取得するには、2年間のフルタイムでの就業経験がある、必要なスキルを持っている、給料の水準などの条件があります(※2018年3月以降廃止)。
パートナービザは、オーストラリア人、ニュージーランド人、または永住権保有者のパートナーと結婚または事実婚の関係にあり、関係を維持する意思がある場合に申請できます。
パートナービザの場合、何の職業についているかは関係ありません。
オーストラリアの永住権取得は、職業はもちろんのこと学歴や職歴と密接に関連しています。
オーストラリア留学エージェントのタビケン留学は、永住権を取得しやすい職業に就くための学校選びや入学手続き代行など、永住権取得に向けての留学サポートを行っています。(永住権申請サポートは行っていません。)
「永住権につながる留学がしたい」「どうすれば永住権が取れるのかわからない」という方は、ぜひ気軽にタビケン留学までお問い合わせください。
※弊社は2023年6月よりサービス名を「Morrow World」→「タビケン留学」に変更しました
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