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オーストラリアで “ギグワーカー” が労災に遭ってしまったら?

ギグエコノミー: 非正規雇用が多い労働市場

ギグワーカー: オンライン上で仕事を受注するフリーランサーなど

欧米諸国では Uber、Deliveroo、Fedora など、オンラインサービス(アプリ)の人気が高まっていますが、オーストラリアも例外ではありません。そして、それに伴った雇用状況の変化も起きています。今、人気沸騰中のオンラインサービスを見る限り、オーストラリア人は “ギグエコノミー” を歓迎しているようですが、こうしたオンラインサービスは消費者そして働き手に恩恵をもたらす一方で、新たなチャレンジも作り出しています。

アーンスト・アンド・ヤング会計事務所が最近行った調査によると、“ギグワーカー”の数はこの10年で66%も増えたそうです。また、2020年までには労働者の5人に1人程度が、UberやDeliverooのドライバーのような非正規雇用に関わることも予測されています。これらは、正規社員として働くよりも、単発の仕事を請け負って生計を立てている人の増加を表しています。昨年のデータで見ると、オーストラリアでは約1/3の労働者がフリーランスで働いていました。

 

ギグワークには目に見えないコストがある?

オーストラリアのギグワーカーは、他の(ギグワーカーでない正規雇用)労働者と変わらない雇用条件下で働けるのでしょうか?

実際、ギグワーカーは標準に満たない労働条件で働いていることが懸念されています。例えば、オーストラリアの他の労働者は、最低賃金を設定した法律で守られていますが、ギグワーカーにはこれがありません。もちろん、ギグワーカーとして働くことは自由度や柔軟性の点で優れており、良い面もあります。

 

自由 vs 操られる

短時間で仕事を終えることに価値を見出しているのが、ギグワーカーの典型だと思います。また、ギグワークを副業にすれば、お小遣い稼ぎにもなります。

しかしオーストラリアのギグワーカーには、病気休暇、有給休暇、解雇に関する事前通告などがなく、大事なスーパーアニュエーションもありません。なぜならギグワーカーは、独立したコントラクターとして仕事を請け負うからです。マイカー相乗り運転手、便利屋、犬の散歩代行者やホームヘルパーなどのギグワーカーには、オーストラリアの労働法が適用されません。つまり、最低時給が設定されていないのです。オーストラリアの他の労働者は、最低限の雇用環境、例えば最低基本時給、休暇手当や永年勤続手当等の付与を定めた法律で守られています。また、ギグワーカーは仕事に使用する機材・道具を自分で用意する必要があり、そのメンテナンス費用も個人負担です。

結果、オンラインサービス“アプリ”のオーナー(会社)は、スーパーアニュエーション、労災補償、休暇手当、特定の税金等の支払いをしなくても良い場合が多いです。働き手は、何かの問題、例えば労災に遭って初めてこうした状況について考える、ということが少なくありません。オーストラリアの他の労働者は、国の労災補償制度によってカバーされているため、万が一仕事で負傷しても、治療費や休業中の所得損失分の補償があります。また、ギグワーカーの雇用契約は、オーナーのおもいつきで終了になってしまうこともあるでしょう。こうした状況は、オーストラリア社会に大きな疑問を投げかけています。スーパーアニュエーションに頼ることができないギガワーカーがリタイアしたら、誰がその面倒を見るのでしょうか?

 

 

その他の懸念は ?

より大きな社会的関心は、ヘルスケアです。オーストラリアの標準的労働者が職場で怪我をした場合、労災補償を受ける権利があります。具体的には、手術費や理学療法治療費、再就職のためのトレーニング費用などが、雇用主が加入している労災保険制度でカバーされます。

一方、ギグワーカーが仕事中に怪我をしても、労災補償を受けることができません。その人個人が民間の健康保険に加入していなければ、公的健康保険制度の下で治療を受ける、もしくは、その費用を個人で負担することになります。国民の税金を財源としているオーストラリアの公的健康保険制度は、すでに疑問の余地があります。

ワーキングホリデーで来豪中に、ギグワーカーとして働いていたとしましょう。職場の上司の指示に従って仕事中、不運にも負傷し働けなくなってしまったら、所得はなくなりますし、治療のための出費もあるでしょう。こうした状況を公平と感じますか?では、もしあなたが税金を納めている正規雇用社員、あるいはビジネスオーナーだったとします。あなたが納めた税金の一部が、仕事中に怪我をしたギグワーカーの治療費に充てられることを公平と感じますか?

MBA法律事務所パートナー弁護士のミッチェル・クラークは25年以上に渡って、不運にも労災の被害に遭われた方をサポートしています。労働者を取り巻く労災制度や健康保険制度の問題には引き続き注目し、定期的にこちらで共有させていただきます。

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