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【子育て】 シドニー共育日記(第10回)生後~6ヶ月ごろまで(その6) エンジェル時代(下)

地上に舞い降りた天使である赤ちゃん、特に新生児は1日24時間のうち20時間以上は眠っていると言われている。

しかし、新生児の睡眠は大人とは全く違った働きを持つという。

大人が眠っているときは、中脳は皮質との回路の多くを遮断しており、意識も殆どなくなる。

一方、新生児はもともと皮質の働きがまだ弱く、起きているときも大人と同じように「覚醒」した意識はないが、

眠っているときも殆どの場合中脳と皮質の回路が繋がったままらしい。つまり、新生児は眠っているときも、

起きているときと同じかそれに近いくらいの意識を維持しているのだそうだ。

そして周りの音や光、自分の肌がシーツや服に触れる感じ、誰かに抱かれている感じ、ゆすったり話しかけたりする音や

運動の刺激をぼんやりと感じており、混沌とした中でも少しずつ世界のことを学習しているらしいのだ!

生後3カ月もすると、ようやく目覚めているときは大人と同じような脳の覚醒状態が生まれ、眠っているときも

少しずつ大人の睡眠に近づいていくらしい。この頃になるとお母さんをはっきり認識して、母親の顔を見ると喜ぶようになる。

この変化は本当に不思議だ。

 

生まれたばかりの新生児の世界は混沌として、音や光や運動の刺激が交じり合って意味をなさず、

自分とその周りにある世界をぼんやりと感じているにすぎないのに、いつの間にか母親に笑いかけたり

(その結果、母親が微笑んでくれる)、自分で振ったガラガラが音がするのに驚いてみたり、モービルを蹴って

動かしてみたりしながら、行動とその結果を学んでいくようだ。そしてこの頃から次第に大人と同じ世界を認識できるようになり、

少しずつ、天使から人間になっていくのだ。

 
この大切な時期、たとえまだ歩いたりハイハイしたりできなくても、天気が良くて暖かい日にはベビーカーに乗せて

できるだけお散歩に連れ出すことにしていた。青空の下、街路樹や庭木の草花を見せながらゆっくりとベビーカーを押し、

公園にたどり着く。シドニーには緑あふれる公園がどこにでもあるから本当に有難い。そこで赤ちゃんを芝生に寝転ばせたり、

はたまた木陰でベビーカーに乗せたまま眠らせて、傍らで本を読む。穏やかな時間が静かに流れていく。

優しい風が、赤ちゃんのほっぺたをそっとなで、やわらかい髪の毛をほんの少し揺らして過ぎていく。

私はよく小さな声で日本の懐かしい唱歌をくちずさんだりしていた。子供の頃の思い出に浸りながら自然と口をついて出てきた。

 
この天使の時代は、赤ちゃんが6カ月に入り、いくつかの言葉を発しはじめ、離乳食を受け入れて

ウンチがちょっと臭うようになりだすころに、急激に幕を閉じる。この先は大人と同じように世界を理解し始めて、

本当の人間としての成長が始まる。母としては嬉しい大きな変化だけれど、天使の時代はもう二度と戻ってこない。

だからこの時期の赤ちゃんを持つお母さん、心して楽しんでください。   (さかな)

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