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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣) 23 June 2025

 

23 June  2025

<ポイント>中東情勢の緊張でドル円は↑か↓か?

今週の予想レンジ:144.00-148.00
先週のレンジ 143.63-146.21
先週の予想レンジ:142.00-146.00

・先週は日米英スイスの金融政策会合が開催されたが結果は予想通り日米英で金融政策据え置き、スイス中銀はゼロ金利に戻した。
・植田総裁は「関税引き上げの影響を注視する」として当面の利上げに慎重な姿勢を示し、一方FOMCではメンバーは年内2回の利下げの見方を踏襲(一部に見られた利下げ1回への変化はなかった)する一方、パウエル議長は関税によるインフレ圧力の上昇の可能性を指摘し、当面の利下げの可能性が後退した→つまり事前にあった日米金利差縮小によるドル軟化予想は後退しドル円は145円台に上昇。
・更に「米国がイラン攻撃を行うかの決定を2週間以内に下す」とトランプ大統領は表明したが、“中東の緊張からリスク回避のドル高”となり、ドルインデックスは前週末の97台から98台に上昇した。
22日(日曜)に突然米国はイランの核施設3か所を攻撃し、イラン議会はホルムズ海峡の封鎖を承認して俄然中東の緊張が高まった。
・週明けFar East市場においてドル円は「リスク回避のドル買いと円買い」が交錯する展開。一旦146.70台に上昇着146.20台に下落する乱高下で、その後も146円台でアップダウンだ。
・今後の中東紛争の行方は米国とイランの直接対立にイスラエルと他のアラブ諸国の対立が絡み合い複雑な展開が予想されるが、イランの最高指導部がホルムズ海峡封鎖に踏み切れば、原油急騰とない世界経済に与える影響が懸念される。
・一部試算によると、ホルムズ海峡封鎖となれば、原油価格は1バレル130ドル台まで急騰し、米国のインフレ率は再び4%台に上昇し、FRBの次のアクションは「利上げ」との観測すら聞かれる。
・ドル円に関しては当初のリスク回避の円買いから原油急騰による日本経済へのダメージにより“円安”に転換するのではないか?
現在日本は石油の9割以上を中東に頼っている。

 

 

 

◎<豪ドル相場>

新たな中東紛争が原油高→世界経済減速懸念が材料となり豪ドルは64セント台前半に下落。

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6445-0.6552   AUDYEN  93.42-94.84
(先週の予想レンジ―AUDUSD 0.6350-0.6550  AUDYEN  92.00-96.00)
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6350-0.6550    AUDYEN  92.00-96.00


先週は米ドルが堅調推移しユーロが1.15台で頭打ちとなる中、豪ドルも64セント台で上値の重い展開となった。5月雇用統計で就業者数が+2万人予想に対して
-0.25
万人となり、減少要因の大半は非正規雇用の大幅減少(-4.11万人)によるものであり、失業率も4.1%を維持したが、やはり就業者数マイナスの影響は豪ドルセンチメントを悪くした。
・対円では週初にドル円の145円台への上昇との相乗効果で95円台手前まで上昇したが、週後半は豪ドルドルの軟調に引きづられる形で94円台を割り込んだ。
・豪州は天然ガスの輸出大国であるが、一方石油は輸出額8,161百万ドル、輸入5,404百万ドル(いずれも2023年)とやや複雑な構造で、特にガソリンは広大な国土をカバーする上で運賃に採算から輸入原油に頼っている。
・したがって原油急騰となれば天然ガス価格の上昇も含めて豪州優位と考えがちだが、過去の例を見ても世界経済への悪影響が足を引っ張り、むしろ中長期的に原油の急騰=豪ドル安材料視されがちであることは要注意であろう。
・トランンプ関税から中東紛争と、豪ドル65セント台越の上昇に否定的な材料が目立つ。


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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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