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ポップ・カルチャーの祭典「SMASH!」開催、日豪の文化交流さらに広がる

  

昨年10周年の節目を迎え、ここシドニーでも日本のポップ・カルチャーの祭典として多くの人に親しまれる「SMASH!(スマッシュ!)」が、8月19日(土)と20日(日)の2日間にわたり、シドニー郊外にあるRosehill Gardensにて開催された。

アニメ、漫画、ゲーム、コスプレなど、ポップ・カルチャーが一堂に会するイベントとしてオーストラリア最大規模を誇る「SMASH!(スマッシュ!)」は、自作のイラストやコミックを展示するアーティストや、手製の衣装に身を包んで撮影会を楽しむコスプレイヤー、日本から来豪したゲストのサイン会に列をなすファンなど、国籍も年齢もさまざまな人々が会場に集い、大盛況の2日間となった。

今年は日本人声優の伊藤静氏と阪口大助氏、三上枝織氏などをはじめ、中国人コスプレイヤーとして活動する2人組のBaozi氏とHana氏、人気イラストレーターの萩原あさ美氏とredjuice氏など豪華ゲストが来豪。メインステージのパネルトークやQ&Aセッション、ワークショップなどに登場し、ファンとの交流を存分に楽しんだ。その他、AnimeLabシアターで話題アニメの上映や、カラオケ大会、メイドカフェ、ガンダムのプラモデル製作、トレーディングカード大会など多彩なプログラムが用意され、屋外には車体をアニメや漫画などのキャラクターで装飾した“痛車”の展示や、パフォーマンス広場が設けられ、コスプレイヤーが歌やダンスを披露して場を大いに盛り上げた。

   

日本の伝統文化を気軽に体験できるジャパンファウンデーションの折り紙ワークショップや、日本旅行に役立つ最新情報を伝えるJNTOやCLAIRのブースも盛況を博し、参加者の日本訪問への関心をうかがわせた。

声優の伊藤静氏と阪口大助氏によるQ&Aセッション

今回のイベントのために来豪した日本からのゲスト、声優の伊藤静氏(『D-Gray-man』リナリー・リー/レロ役、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』日本語吹替版のポーペンテイナ・ゴールドスタイン役など)と阪口大助氏(『銀魂』志村新八役など)のQ&Aセッションの一部を抜粋。

 

伊藤静氏

Q: 声優として、世界中でご自身が出演した作品が受け入れていることについてどう思いますか?
A: オーストラリアを含めた世界中で日本のポップ・カルチャーが知られるようになって、心からうれしく思います。作品を好きな気持ちは世界共通だと改めて感じました。

セッションの中で、伊藤氏は『オーバーウォッチ』のウィドウメイカー、『D-Gray-man』のリナ・リーとレロなどの台詞、エヴァンゲリオンの主題歌『残酷な天使のテーゼ』の歌などを披露。天真爛漫な人柄からガラリと変わって迫力満点のキャラクターの声や歌声に、会場のファンは驚嘆するばかり。セッション後にはサイン会も開かれた。

Q: 演じるキャラクターをどう見極めますか? 演じている時、あなたの表情や身体は、まるで別人のように見えますね。
A: 自分が受けたイメージをそのままお腹から出します。台詞を始めると自然とキャラクターになりますから、できるだけ私の表情は見ないでほしいんです(笑)。演じる側の顔が見えないところが、声優のいいところ。キャラクターを見て、私の声だけ聴いてくれたらうれしいです。

Q: いえいえ、あなたの顔は悪役を演じる時でさえ美しいですよ。
A: ありがとうございます(笑)。

Q: レロのようなキャラクター独特の声は、どこから作り出しているんですか?
A: 想像ですね。原作を読んで、私の頭の中で鳴った音に一番近い音を、自分の中から出している感じです。

Q: あなたは多くの洋画の吹替版も担当していますよね。声優としてのアプローチは日本語と英語でやはり違いますか?
A: 英語の吹き替えをする時は、英語話者本人のお芝居を聴きながら、そこに自分のお芝居をプラスする形で演じています。

Q: 声優になった理由は?
A: 小さい頃は自分の夢がなく、17、8歳の時に声優という職業があることを知ったのがきっかけです。それまでもアニメは観ていましたが、キャラクターを演じる仕事の方には考えがいたっていませんでした。もし声優になっていなかったら、プロレスが好きなので女子プロレスラーになっていたかも。

 

阪口大助氏

Q: 声優として、世界中でご自身が出演した作品が受け入れてられることについてどう思いますか?
A: 日本から離れた国でも、日本のアニメや漫画作品を通して多くの人々が楽しんでいてくれて、本当にうれしく思います。どの国のファンの皆さんも親切にしてくださいますし、イベントに参加させていただくたび、そうした盛り上がりに感謝しています。

セッションの中で、坂口氏は『銀魂』の志村新八などの台詞を披露。軽快なトークで親しみやすい人柄でファンを和ませ、会場は終始笑いに包まれた。セッション後にはサイン会も開かれた。

Q: 仕事道具である声を守るためにしていること、しないことは何かありますか?
A: レコーディングなど多くしゃべる日の前日にはアルコールを控えたり、はちみつを水に溶いたドリンクを飲むようにしたり。台本を初見したら、演じる役のしゃべる量が大方把握できるので、そうした時には仕事以外で話すことも控えます。

Q: キャラクターを演じるために、自分の“気持ち”はやはり重要だと思いますか?
A: 演じる時は身体が動かせないので、少しでも心を動かさないと気持ちのこもった演技はできないと思っています。しゃべっている時の顔を見られるのは、やっぱり恥ずかしいですが(笑)。

Q: どのようにして演じるキャラクターを作り上げますか?
A: まずは作品の世界観を深く知るようにして、そのキャラクターが世界観の中でちゃんと息をしているように、そのキャラクターがその世界で本当に生きているんだと思ってもらえるような演技を心がけています。

Q: 大人気アニメ『銀魂』はとてもペースが速く、台詞の量も多いですよね?
A: アニメ開始から10年経って、今では350話くらい放映されました。本当に難しいです、台詞がとにかく速いので。それが作品の面白さでもあるのですが、もうこれ以上速くならないでくださいとも思います(笑)。舌噛んじゃいますよ(笑)。

Q: 声優になった理由は?
A: ガンダムに出たかったからです(笑)。モビルスーツに乗りたかっただけです(笑)。

 

会場に集ったコスプレイヤーの人々

     
  

 

なお、来年2018年の「SMASH!」は、7月14日と15日、ダーリング・クォーターのICC Sydneyに会場を改めて開催される予定。

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