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親が2人以上いる場合、出生証明書には登録できる?その3

出生届に親は2人以上登録できるべきでしょうか。

法律家はこんな議論をしています。

1.親を知る権利

国連の子どもの権利条約第7条には、「子には親を知る権利」があると定められている。親を知ることは次のことから大切だと考えられている。

  • 医学的観点

子が遺伝的な情報を得るために、本人が生物学上の「親」を知ることは非常に重要である。特に遺伝する病気や体質を知ることは大切な権利だとの主張がある。

  • 血縁

血縁を知ることは親族間で婚姻関係や性的関係を持ったりすることを避けるために必要である。特にドナーが精子や卵子を複数の人に提供した場合など、1人が生物学上の子どもを数十人もつということも簡単である。NSW州の法律では、医者は1人ドナーの精子や卵子を5人まで提供できるとしているが、違う病院に行けば更に5人に精子や卵子を提供することができる。これらドナーの情報が「親」として出生証明書に記載されるには、2人以上の登録を認めるべきとの主張がある。

2.親によって養育される権利

国連の子どもの権利条約第7条には、「子には親によって養育される権利」があるとも書かれている。カルフォルニア州であった事例では、レズビアンカップルが精子の提供を受けて産んだ子どもの出生証明書上の親であったが、1人が懲役刑を受け、もう一人が入院生活をすることになった。裁判所で誰が子どもを養育するかが問われたとき、精子提供者の男性が出生証明書で「親」として登録されていなかったため、裁判所はこの男性が子どもを保護するような判決を出せなかった。これを受けて、出生証明書に記載されていない「親」も裁判所が親子関係があると認めることができるように法改正がされた。

3.相続のときの証拠として

相続の問題で親が誰かが重要になってくる場合もある。例えば、一夜限りの男女の関係によって生まれ、女性側によって育てられたような場合でも、相続法上(Succession Act)、子どもは関係を持った相手の男性の子どもであり、その男性の財産を受け取る権利がある。従って、子どもには父親の存在を知り、受け取りうる財産があることを知る権利がある。出生証明書がその親子関係を証明する役割を果たす必要があるとの主張がある。

様々な妊娠・出産方法が認められ、同性カップルも異性カップルと同じ権利を得てきている社会では、他にも色々なところで制度が対応していく必要がありそうですね。

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