グルメ

約200種の酒を試飲できる日本酒フェスティバルがシドニーで開催


©︎Hiroto Yamada

オーストラリアの在留邦人や当地事業者、政府機関・団体と共に、日豪の共感溢れる社会作りを目指し、オンラインとオフラインの両面からオーストラリアの生活・観光情報や広告サービスを幅広く提供しているJAMS.TV Pty Ltdによる日本酒イベント「Australian Sake Festival(日本酒フェスティバル)」が、2022年10月1日(土)にシドニーのパディントン・タウンホールで開催された。


©︎Hiroto Yamada

本イベントはオーストラリアに住む多くの人々に日本酒の深い味わいを身近に触れられる機会を提供し、「伝統」と「革新」をテーマに、古くからある日本酒の美味しさを新たな魅力として提案していくことを目的としたもの。200種以上の日本酒をテイスティングできることが最大の目玉で、日本食と併せて注目されている日本酒だけあり、入場チケットはイベント3週間前にしてすでに完売という人気ぶりを見せた。

日本酒フェスティバルに集った日本の文化


©︎Hiroto Yamada

当日のイベント会場には、純米酒や純米大吟醸などの日本酒や、梅酒やゆず酒などの果実酒、さまざまなタイプの日本酒が200種類以上出展。オーストラリアの日本食品の卸売第一人者であるJun PacificやJFC Australia、Daiwa Foodや、日本酒関連の輸入・卸業者のSakenet Australia、Sakelier、Sakemateなどの協力を得て、じつに個性豊かな種類の酒類が一堂に会した。


©︎Hiroto Yamada

会場ではそれら全ての日本酒を自由に試飲できる他、出展されている酒類であれば購入も可能で、日本酒をより楽しむためのお猪口などの酒器や酒の肴に欠かせない日本食の出店販売も、日本酒を存分に堪能できる国際イベントに花を添えた。日本食のラインアップは寿司、和牛の炭焼き、ジャパニーズヴィーガン料理、シドニー産の納豆など。


©︎Hiroto Yamada

イベントは入れ替え制の2部構成で、両セッション共に来場客は500名。日本を含む多国から日本酒好きが集まったが、中でも現地オーストラリア人がほぼ8割から9割を占めたことから、オーストラリア国内での日本酒人気が窺える。


©︎Hiroto Yamada

オープニングは和太鼓りんどうによるライブ演奏で幕を開け、DJによる落ち着いた会場内BGMが流れる中、在シドニー日本国領事館総領事とJETROシドニー事務所長が登壇。オーストラリアと日本の両国を結ぶ架け橋の一つである日本酒文化の発展について、それぞれ祝辞を述べた。




©︎Hiroto Yamada

また、イベントプログラムには、本イベントに先駆けて同じくJAMS.TV Pty Ltd主催で先月開催された「Australian Sake Awards(国際日本酒コンクール)」の授賞式、オーストラリアで日本酒の普及に携わるプロフェッショナルによるパネルトーク、HANANINGENによる着物パフォーマンスも披露され、日本酒の味わいとイベントの雰囲気を大いに盛り上げた。


本イベントの日本酒提供者の面々 ©︎Hiroto Yamada




会場内の日本酒、日本食の提供関係者の方々©︎Hiroto Yamada

日本酒コンクールの受賞酒の発表


審査会の様子 ©︎Hiroto Yamada

本イベントに先駆けて「Australian Sake Awards(国際日本酒コンクール)」が、2022年9月17日(土)に同会場で開催された。こちらはオーストラリア国内外から登録された日本酒を、事前に選出されたオーストラリア人審査員が試飲して審査し、オーストラリア市場で好まれる日本酒を選出するというもの。オーストラリアで日本酒の多様な魅力を伝えることと、日本酒エキスパートの育成や日本酒市場の発展を目的として、各審査員に「消費者に一番近い」日本酒に携わるプロフェッショナルを迎え、公平に評価できるよう銘柄やラベルを見ないブラインドテイスティング形式で実施された。

審査カテゴリーは全部で8部門あり、純米酒部門、純米吟醸部門、純米大吟醸部門、吟醸・大吟醸部門、生酒・生原酒部門、本醸造・普通酒部門、スパークリング部門、熟成酒部門。審査員は皆、日本酒テイスティングを各々に楽しみ、コンクールは盛況のうちに幕を閉じた。


授賞式の様子 ©︎Hiroto Yamada

合計196の銘柄から高スコアを獲得した日本酒63銘柄が選出され、最上位のプラチナ賞が8銘柄、上位20%のゴールド賞が36銘柄、そして出品酒全体から19銘柄がピープルズ・チョイス賞を受賞。見事映えある賞に輝いた日本酒は、本イベントの第1部の授賞式で同コンクールの審査リーダーたちから発表され、一般参加者らも会場で受賞酒のテイスティングをそれぞれ楽しんだ。

受賞酒の一覧はこちら

在シドニー総領事館、JETROシドニーからのコメント

開幕の祝辞を述べた登壇者の方々に、本イベント参加後の率直な感想を伺った。

德田修一総領事(在シドニー日本国総領事館)


德田修一総領事(写真向かって左)©︎Hiroto Yamada

「200種類以上の日本酒に出会えて大変感激しました。たくさんのオーストラリア人が会場を訪れて日本酒を楽しまれていたことは、オーストラリアの市場としての将来性を示していると思います。また、『HANANINGEN』の着物パフォーマンスも素敵でした。『Australian Sake Festival』の成功を心からお祝いするとともに、シドニー・オーストラリアにおける日本酒のさらなる展開を応援します」

高原正樹所長(JETROシドニー事務所)


高原正樹所長 ©︎Hiroto Yamada

「老若男女問わず、大勢の方が日本酒を楽しんでくださっていたことに感動しました。大吟醸や生原酒、濁りやスパークリングなど、多様な日本酒を知り、比較できる機会になったと思います。ぜひ今後も、オーストラリアの方々に日本酒を選んでもらえるような機運づくりを一緒にできれば幸いです」

主催者からのイベント総括


©︎Hiroto Yamada

本イベントの主催であるJAMS.TV Pty Ltd取締役社長の遠藤烈士氏は、日本酒の魅力をオーストラリアの人々にも広めるべく、日本酒に関わるプロフェッショナルのためのコンクール、日本酒を楽しみたい一般人のためのフェスティバルという二つの形式でのイベント開催に至った。

「『日本酒の魅力を広く知ってもらいたい』という想いで企画を立ち上げ、この9カ月間、日本酒とさまざまな形で関わる人々の想いを聞きながら、入念に準備を進めてきました。日本酒の製造や販売を直接行う身ではない我々が、この日本人の文化や生活に深く関わる“日本酒”というものを、ここオーストラリアでどう魅せれば良いのか、どういうメッセージを発信すれば良いのか。日本酒輸入・卸業者の皆様、フード出展者の皆様、そしてステージ出演者の皆様はじめ多くの関係者の方々と議論を重ねて、ベストな形を模索してまいりました。そうした多くの人々からの助力があった上で、色々なレイヤーで検討を繰り返した結果、今回のコンクールとフェスティバルという形に辿り着いたんです」

本イベントの盛況ぶりと来場客の笑顔を見て、遠藤氏は自身も笑顔になり語る。

「みんなでたくさんの時間をかけて準備をしてきた結果は、当日の来場者の皆様の反応を見れば一目瞭然。誰もが日本酒に熱狂的で、酒蔵や販売店の方の話を聞くことに熱心で、笑顔で語り合い、そこにさまざまな出会いが生まれました。その中で、一人一人の来場者の皆様が、日本酒と日本文化について新しい発見をされたのではないかと思います。今回のフェスティバルを通して、そんな有意義な時間を過ごしていただけたのであれば、私自身も非常に嬉しく思います」

「国際色豊かで食のレベルが高いここオーストラリアで、伝統的であり革新的である日本酒の魅力はまだまだ広く知られるべき」と遠藤氏は熱意を込める。今後もJAMS.TV Pty Ltdはもちろんのこと、在豪邦人や現地の企業・団体と共に、日本酒の魅力を日本文化と併せて、オーストラリア国内で広く発信していきたい考えだ。

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら