日系コミュニティ

シドニーで和歌山県内サプライヤーとの商談会が開催


©️Sayuri Matsunaga

和歌山県のこだわり食材・飲料品を味わう、和歌山県内のサプライヤーとのプレミアム商談会が、2022年11⽉28⽇、シドニーのMasuya Japanese Restaurantにて開催された。

本商談会は、和歌山県内の食品製造・輸出企業を対象に参加を募り、参加企業のオーストラリアへの商品輸出状況に応じてオーストラリアの現地市場における販売拡大、またはオーストラリア市場に向けた新規の輸出成約創出を目的として企画された「和歌⼭県産⾷品販路拡⼤プロジェクト」の一環で、JETRO和歌山とJETROシドニーが主導した。

和歌山県の食品・飲料・酒類製産者とオーストラリア国内の小売・飲食関係バイヤーのマッチングを目的とし、和歌山県の名産・特産品を紹介するとともに、当地シェフ考案の商品の特性を活かした試食メニューも提供する。商談会当日はオーストラリアから現地の小売店やレストランなど食の分野で活躍する個人や企業が数多く参加。和歌山県からは19社(うち11社はオンライン)のサプライヤーが参加し、37商品以上和歌山県名産・特産品が出店された。

和歌山県の魅力と本商談会の強み


©️Sayuri Matsunaga

ジェトロ和歌山の後藤崇代表は、サプライヤーが誇る和歌山県の魅力をこう語る。

「和歌山は日本のメインアイランドの本州の最南端に位置する県です。暖流の流れる太平洋に長い海岸線を有し、海岸近くから直ちに紀州山地と呼ばれる高地が始まるため、年間を通じて温暖でありがなら豊かな四季を見ることができる地域でもあります。また、皆さんご存じの古都の京都と奈良に並ぶ位置にあり、古くは京都と奈良と中国などの海外とを結ぶ玄関口、文化の流入口でした。そのため、古くから多くの文化が育まれた地域でもあります」

豊かな四季と気候、古くからの多文化共生が、現在まで和歌山の恵みを育んできた。日本的な四季、気候のもとで千年を超える長きにわたって継承されてきた文化や技術によって生産された和歌山産の食品は、どれも一級品と言えるだろう。


©️Sayuri Matsunaga

温暖な気候の和歌山県には多くの特産品があるが、中でも和歌山県では、みかん、梅などをはじめとするさまざまな種類の果物の生産が全体の約7割を占めており、「果樹王国」とも呼ばれるほど。特にみかんと梅は全国1位の生産量を誇る。秋から冬にかけて旬を迎える和歌山のみかんは、有田地域のものは「有田みかん」として有名。貯蔵した下津の「蔵出しみかん」は冬に出荷される。また、和歌山の梅はみなべ町、田辺市などの紀南地域を中心に栽培されている。南高梅は梅干し、古城梅は梅酒、梅ジュースに最適。本商談会でも、みかんと梅を使った加工商品や酒類が数多く見受けられた。


商談会に参加したサプライヤーの面々 ©️Sayuri Matsunaga

当日は受付開始後から試飲・試食時間が設けられ、その後オープニングセレモニーと商談がスタート。合計3時間ほどのイベント中、熱心な商談が行われた。商談は出品された商品の魅力、その一つ一つに込められた和歌山の歴史とストーリーなどをサプライヤーから直接やりとりして聞くことができ、関心のある商品があればすぐに商談へと移れるため、普段は日本へ向かうことのできないオーストラリア国内の小売・飲食関係バイヤーでも商品をレパートリーに加えやすい形式だ。

全国一位の生産量を誇る商品や、地域に根ざした特産品など、地方ごとの特色ある農林水産物に恵まれた和歌山県内の出展企業19社から、選りすぐりの名産・特産品が紹介され、オーストラリアの現地参加者らは当地シェフによるそれぞれの特性を活かした試食メニューも堪能。新型コロナ後のリアルイベントとして多くの企業が参加し、直接商談を交わす貴重な機会となった。ここから和歌山県とオーストラリアをつなぐ新しいビジネスも始まることだろう。


©️Sayuri Matsunaga

商談会の参加企業と出展商品


©️Sayuri Matsunaga

伊藤農園(1897年創業)

伊藤農園は、紀州の温暖な気候と黒潮から吹く潮風に恵まれた和歌山県有田市で、柑橘類の生産、搾汁、加工、 販売までを手掛けている。いち早く農業の六次産業化に取り組み、地元産の有田みかんを始めとする柑橘を使った加工商品を国内外へ発信中。地元農家とともに歴史あるみかん畑を絶やさぬよう、和歌山産みかんの美味しさ、価値があらわれた生搾りのジュースを出品。

商談会参加後のコメント
「現地のレストランのニーズを把握することができたと考えております」

詳しくはこちら

角長(1842年創業)

和歌山の湯浅は「醤油発祥の地」と言われ、角長は冬季のみの寒仕込みを頑に守り、昔ながらの醤油造りを続けている。170年の歴史に裏打ちされた伝統を頑に守り続け、今でも当時の蔵で厳選された材料と全て手作りという製法にこだわりを持つ。湯浅醤油の伝統は今もなお、昔の呼び名「湯浅たまり」の製造手法とともにあり、出品された醤油加工品も、その製造手法を用いたもの。

商談会参加後のコメント
「オーストラリアへ渡航したおかげで、新規取り扱いレストランの開拓にもつながり、非常に有意義なイベントになったと思います」

詳しくはこちら

Kumano Berry(2015年創業)

Kumano Berryは、上富田町にある無人駅「朝来駅(あっそえき)」構内にある「口熊野かみとんだ観光案内所」の委託運営をしている「口熊野かみとんだ山桃会」事業所。熊野やまももジュースや県内のこめ油を使用したオーガニックポップコーン、地元のお土産なども販売している。和歌山県の熊野古道の玄関口、口熊野にある上富田町の町木として昔から親しまれているやまももを使った加工商品のシロップやドロップを出品した。

商談会参加後のコメント
「オーストラリアでの商談会に初めて参加させていただきましたが、商談会の雰囲気もアットフォームで終始楽しく進めました。私たちの熊野やまももシリーズがオーストラリアでどの位受け入れられるのか不安と期待があったものの、試飲をしていただいておおむね好評で嬉しく思いました。また、現在お引き合いがありました方々とお話させていただいておりますが、オーストラリアに熊野やまももが一歩を踏み出していければ幸いです」

詳しくはこちら

早和果樹園(1979年創業)

早和果樹園では、有田みかんの一大産地において生産者ならではの意識を大切にしながら、生産・加工・販売の各産業を充実させた有田みかんの6次産業によって「みかん1個の価値」を高める取り組みをしている。地域のみかん農家と協力しながら「持続可能なみかん産地づくり」にも注力し、出品されたみかん酢など品質・収穫量とも日本一のみかんブランドに位置づけられている有田みかんの可能性を追求する。

商談会参加後のコメント
「弊社商品はまだオーストラリアへの輸出経験がありませんでしたが、今回の商談会でたくさんのシェフの方々に試食していただき、市場ができたことでかなり自信がつきました。現地での感想を聞く機会はなかなかないので、この経験を活かして進めて参ります」

詳しくはこちら

合名会社丸正酢醸造元(1879年創業)

合名会社丸正酢醸造元は、免疫力向上や疲労回復などの作用がある発酵食品である酢を、神宿る那智山系の伏流水が湧き出る那智勝浦・天満の地で醸造している。原材料となる米は熊野地方で育った低農薬米を使用し、酢づくり一筋140年。出品された商品の他、柑橘、梅など和歌山の特産も使用した酢もあり、自然の力を借りた昔ながらの酢づくりにこだわっている。

商談会参加後のコメント
「3年振りのシドニーでしたが、コロナ禍から回復へ向かっているようで嬉しかったです。商談会でも皆さまにご好評をいただき、今後の展開に希望が持てました」

詳しくはこちら

マルヤマ食品(1995年創業)

マルヤマ食品は、自慢の梅の加工製品を出品。梅干ひとすじに打ち込んできた老舗のプライドとノウハウが凝縮された梅干を、世界的に日本食への関心が高まる中で早くから国外への梅干および梅製品を提供してきた。自家農園を持つことでその年の梅の状態を把握し、梅干づくりに活かし、原料の梅干搬入から漬け込み、乾燥、計量、包装、出荷までをワンウェイでレイアウトした製造で品質と安全を管理している。

商談会参加後のコメント
「梅干・梅製品というオーストラリアに元来食文化の存在しない食品を紹介するにあたり、鱒屋様のご協力によりメニューとして試食いただく機会ができてとてもよかったと思います。展示会での試食・試飲は大切なプロモーション活動ですが、美味しい料理に使えると感じ取っていただけたと確信しています。日本の食文化を通じて、日本とオーストラリアがより近い関係になれれば嬉しいです」

詳しくはこちら

湯浅醤油(1881年創業)

800年の伝統技術を受け継いだ職人達が、厳選した原料で醤油造りをしている湯浅醤油。「世界一の醤油をつくりたい」という想いを実現するため、伝統的な古式醸造法をベースにしながらも、出品された商品のように斬新なコンセプトの醤油を生み続けている。特別な時を味わうプレミアム醤油の販売や、フランスにおいては一級シャトーの使用済みワイン樽を使った醤油の現地生産も実現しつつある。

商談会参加後のコメント
「オンライン参加でしたが、招待客からお引き合いもあり参加してよかったと思っています」

詳しくはこちら

吉田(2016年創業)

柚子と生姜が香るクラフトビールを出品した吉田。和歌山城のお膝元にある新進気鋭の和歌山ブルワリーで、オリジナルクラフトビールであるAGARAブランドとし てIPA、ペールエール、ヴァイツェンを提供している。和歌山の特産物を使用したクラフトビールも季節限定商品としてリリースするなど、地域に根ざした取り組みを通して和歌山クラフトビールの認知度の向上も目指す。

商談会参加後のコメント
「あれだけの面々と一同に商談できる機会は、そうないことだと思います。別々にアポを取ることも難しい方々にお越しいただけるのは、奇跡に近いのではと考えます」

詳しくはこちら

オカザキ紀芳庵(2001年創業)

オカザキ紀芳庵は「地域No.1ブランドを目指す」を掲げ、主に食品の卸・販売・企画・製造を行い、出品された商品をはじめとした和歌山産を中心としたさまざまな食品を取り扱う。和歌山の「おいしい」を広めるため、特産品を使用した商品開発に取り組み、地域の魅力を発信しながら地域に活力を与えることに注力している。

詳しくはこちら

河本食品(1932年創業)

河本食品は、年々洋風化・多様化する日本人の食スタイルにおいて根強い人気を誇る「梅干し」を用いた梅酒を出品。「永遠の雫」はバニラアイスと混ぜ、冷やして固めた状態で提供された。何百年にもわたって親しまれた梅干しの伝統を守ると同時に、より時代に合った新たなる製品の開発にも注力している。

詳しくはこちら

九重雑貨(1908年創業)

九重雑貨は、ユニークな吟醸赤酢などを出品。「お寿司の発祥の地」とも言われる和歌山県で創業百余年、石大木桶で醸される赤酢を原点に、日本酒、こだわりの原材料を使用した調味酢、酒造の技を活かした梅酒・柚子酒、ノン アルコールリキュールなどさまざまな酒類と酢製品を製造している。伝統製法を継承する一方で品質向上のための進化を続けており、酢製品は九重雜賀の蔵オリジナルの酢酸菌ならではの奥深いコク、まろやかさが特徴。

詳しくはこちら

JA紀南(2003年創業)

JA紀南は、和歌山県南部の田辺市・西牟婁郡一円の9つのJAが合併して発足した農業協同組合。果樹を基幹とした総合園芸産地を形成し、和歌山のブランド梅である紀州梅に加えて、温州みかん・中晩柑、スモモ、花、野菜、茶などの栽培も盛ん。鮮度の高い風味豊かな商品を提供しており、出品もされたドライフルーツは特産品である梅の需要を底上げするとともに、新たな需要拡大を見込んでいる。

詳しくはこちら

JAわかやま(1993年創業)

和歌山市全域を事業区域とし、営農事業・生活事業・販売事業・直売事業・購買事業・信用事業・共済事業を展開する総合農協のJAわかやま。組合員の営農活動支援のために農産物の有効活用による付加価値商品の開発と市場開拓に取り組む。地産地消をモットーに地元で採れた新鮮な農産物を使った商品が多数あり、今回は全国でも有数の新生姜の産地を生かした生姜のジンジャーエールを出品。

詳しくはこちら

世界一統(1884年創業)

世界一統は、純米吟醸とゆず酒を出品。初代南方弥右衛門が紀州藩の米蔵であった土地建物を譲り受けて酒類製造業を創始し、1917(大正6)年から加わった酒類卸売業が両輪となり、現在まで「一統」さんの愛称で親しまれつつ事業展開している。酒類製造業では早い段階から国内にとどまらずグローバル展開に着目し、移り変わるライフスタイルの中でも「うまさの先へ」のスローガンを掲げてさらなる味の追求に挑む。

詳しくはこちら

大覚総本舗(1988年創業)

大覚総本舗は、ごま豆腐の専門メーカーとして高野山の麓の町、かつらぎ町から全国に向けて販売活動をしている。今回の出品でもある高野山ごま豆腐は、 厳選食材と高野山麓の深山から湧き出る岩清水を使用して作られている。高野山で修行僧の滋養食として珍重され大切に育まれてきた伝統食で、低カロリー高タンパクの自然健康食品。

詳しくはこちら

築野食品工業(1947年創業)

築野食品工業は、精米時に発生する副産物である米ぬかの成分に着目して研究を進めてきた。出品されたこめ油だけでなく食品、化学、医療、化粧品など幅広い分野への高度有効利用をし、米ぬかの100%活用をしている。古来、健康・美のシンボルと言われる米ぬかに無限の可能性を信じ、さまざまな環境保全に取り組みながら、人々の健康や美・環境・食糧自給率向上に貢献していく。

詳しくはこちら

東洋ライス(1961年創業)

東洋ライスは、創業以来「石抜き機(無石米)」で食生活の向上、「BG無洗米」で海や河川などの環境改善、「金芽米」や「金芽ロウカット玄米」で人々の健康増進を目指してきた。 1970年代には世に先駆けて無洗米を開発し、炊飯時の無洗浄化により年間数ガロンの節水を実現。過去10年にわたり愛される「金芽米」ブランドの数々の商品を開発しており、特別栽培米の味と健康効果のある加工商品を出品した。

詳しくはこちら

中田食品(1897年創業)

中田食品は、日本一の梅産地である和歌山県で「梅」を中心に事業展開しており、産地の中心である立地を活かした梅干しと梅酒・梅加工食品の開発に取り組んでいる。厳格な品質管理のもとバリエーション豊かに製造された商品の中、樽仕込みの梅酒などを出品。地域の生産者と共に歩み、120年を経ていつの時代も変わることなく「日本の味・心の味」を守り伝える。

詳しくはこちら

松尾(1998年創業)

松尾は、有田産の温州みかんやあら川の桃を使用した100%ストレートジュースを代表的商品として出品。素材のチェックと昔ながらの手仕事にこだわった加工に力を入れており、100件以上の契約生産者との信頼関係を大事にしながら、果物本来の風味を味わえる「思いのこもった」 ジュース作りに務めている。

詳しくはこちら

この記事をシェアする

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら