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不動産用語「ストラータ・タイトル」と「カンパニー・タイトル」

「タイトル」=「権原」という概念はイギリスを始めとし、アメリカやオーストラリアにおける不動産の基礎となるもので、特定の不動産に対する根源たる権利です。

オーストラリアではトレンスシステムと呼ばれる登記制度を採用しており、ほとんどの不動産がこのシステム下で管理されています。権利が登記されることによって不動産の権原に対する公信力(公的な保証)が与えられます。又、登記の対象となるのは土地(区分所有も含む;後部参照)であり、建物等に関しては付加物として認識します。従って、日本の登記制度のように土地と建物を別登記することはありません。

ストラータ・タイトルとは

ストラータタイトルは、アパートやタウンハウスのように物件の一部(ユニット)を所有する場合の所有形態の一つで、いわば空中(区分)所有権です。基本的な考え方は、日本のマンション所有などの区分所有権に似ていますが、共有部分及び土地は他のユニットの所有者と共有するという点が異なります。

ストラータタイトルはカンパニータイトルと異なり、各々の区分及び駐車場等の権利を明記した区分所有権権利証書が発行されるという形式をとっており、従って一般の不動産と同様に権利、利益を自由に賃貸、譲渡、売買することができます。

ストラータタイトルには各ユニットの所有者で結成されるオーナーズコーポレーション(日本で言う管理組合に類似)があります。所有者は全てシンキングファンド(修繕積み立て金)やアドミニストレーティブファンド(管理費用)を支払い、コーポレーションの中から選出されたエグゼクティブコミッティーが日々のマネージメントを行います。

なお、各々のユニットにはユニットエンタイトルメント(他のユニットに対してのそのユニットの占める割合)が与えられており、それに応じて前述のファンドの支払い額が決定されたり、又オーナーズコーポレーションの決議の際、投票力の差異が与えられたりします。

カンパニー・タイトルとは

カンパニータイトルは、古い所有形態で、現在では圧倒的に少数です。この形態における権原の移転は、土地、建物を所有する会社の株が移転されることによって行われます。

株主はその持ち株に応じて建物(又はその一部)の完全占有権を与えられますが、土地に対しては会社の株を所有するのみで、所有権はありません。所有権の証明としては、権利証書の代わりに株券となります。この株の賃貸、譲渡、売買等の取引を行うにあたっては他の株主の同意が必要であるため、資産の流動性に制限があります。

また、不動産に対するモゲージ(抵当権)を設定することと異なり、会社の株の購入に対しての融資になるため、買主が銀行からの融資を受けることが困難であるのが実情です。

不動産を購入する際の注意点

ユニットやタウンハウスを購入する際にはストラータタイトルとなるため、購入後こうした積立金や管理費用が継続的な出費となることに注意する必要があります。積立金額は購入するユニットの価値に応じて決められることが多く、あらかじめ購入の際に金額を知ることができますので購入後の支出を計画する上で有効でしょう。

ただし、物件の経年に伴い修理修繕が多くなるのは必至で、修理修繕費として定額外の特殊徴収金が発生することも多々あることを念頭に置く必要があります。これに対して一軒家や一部のテラスハウスなどは積立金や管理費用の出費はありませんが、いうまでもなく、管理・修理修繕費用が発生ベースで自己負担になるということです。

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