今回は、シドニーの「山本法律事務所」に寄せられるご質問の中でも、遺言書作成時にお問い合せの多い内容について取り上げて解説します。
今回は関係が悪く疎遠になっている子どもに相続させたくない、または、複数の子どもの間で異なる分配比率を希望する場合について解説します。
自身の財産を死後、誰にどの程度分配して欲しいかを遺言で自由に表明することは可能です。
ただ、相続人から外れた、または相続額が極端に少ない子どもが遺言書の内容に不服申し立てを請求する権利は法律上認められており、遺言書で彼らの権利を完全に奪うことは難しいのも事実です。不平等な相続であったとしても当人が遺言書の内容に納得していれば良いですが、実際に子どもがどうするかは遺言書を作成した本人が死亡した後になってみないとわかりません。
子ども以外にも、財産分割をせずに別れた元配偶者や、故人と同居しかつ経済的に故人に依存していた人物にも法律上請求権は認められています。
遺言書の中で分配しない理由を説明したり、気持ち程度の少額の遺産を遺す内容の遺言書を作成したとしても、相続人である彼らの権利を奪う効果はほとんどありません。対策として、生前に遺言書について説明しておく、あらかじめ一定の贈与をしておくことなど考えられますが、いずれにしても自身の死後のことを完全にコントロールすることはできません。
一方、遺言書内容に納得できない相続人の不服申し立てが必ず認められるかどうかは全く別の問題です。
こうした相続人の権利行使の申立ては遺産の管財人に対して行われることになりますが、申し立てをする側はなぜ遺言とは異なる分配が必要なのか、故人との関係や遺産の規模、自身の経済状況、故人からの過去の経済的援助など、さまざまな角度から分配を受ける正当性を説明することが求められます。
基本的には管財人との交渉や調停などで解決することになりますが、仮に和解できない場合には州最高裁判所への申立が必要となるので多額の裁判費用がかかります。
さらに、管財人が紛争解決のために使う弁護士費用などは全て遺産から支払われることになりますので、裁判所での解決となった場合、遺産の規模によっては最終的に分配できるような遺産が残らない可能性もあります。
遺言書は自身の財産をどう分配して欲しいかという意思を表明できる唯一の書類です。
100%思った通りに遺産が分配されることを担保できるかどうかは、状況により異なりますので、専門家への相談をお勧めいたします。
なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
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