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今週の豪ドル見通し(25 June 2018)

<主なイベント>

6/25(月)独6月ifo景況感指数、米5月新築住宅販売件数
26(火)米4月ケース・シラー住宅価格、地区連銀総裁講演(アトランタFED、ダラスFED)
27(水)NZ準備銀行理事会、米5月耐久財受注、米5月中古住宅販売、米週間原油在庫統計、カーニーBOE総裁講演
28(木)米Q1GDP(確報値)、地区連銀総裁講演(アトランタFED、セントルイスFED)
29(金)日本5月雇用統計、独6月失業率、ユーロ圏6月CPI、米5月個人所得支出、米5月PCEデフレーター

<マーケットの焦点>

先週は主要国の株価が下落し、ドルが全般的に軟化しました。
主な原因は米中・米欧貿易摩擦の激化で世界経済への影響が懸念されたためです。
トランプ大統領は先週月曜日に中国が貿易不均衡是正の姿勢を示さないとして、2,000億ドル相当の輸入品に新たに10%の関税賦課を示唆し、中国商務省は市場ルールに反するとして報復措置の実施を発表しました。
また金曜日にトランプ大統領はEUが貿易障壁を早急に取り除かない場合、EUからの全ての自動車に20%の関税を賦課する方針を発表しました。
一方、英国中銀理事会では9人の政策委員のうち前回から一人増えた3人が25bpの利上げを主張し、8月利上げ観測が浮上したことからポンドは1.32台に反発。
またイタリアの極右政党「同盟」の有力議員で下院予算委員長のクラウディオ・ホルギ氏が「政府はユーロ離脱を望んでいない」と述べたこと、更には発表されたユーロ圏の6月サービス業PMIが55.0(予想53.7、前回53.8)と大幅に伸びたことからユーロも1.16台を回復しました。
これら欧州通貨の反発にトランプ政権の保護主義政策への懸念と相まって、ドルは前週から値を落としています。
今週は大きな政治的イベントなどはなく、引き続き米国と中国・EUとの貿易摩擦が焦点ですが、輸入車関税強化の動きから日米貿易摩擦に波及する可能性があります。
先週のECBパネル討論会で見られたようにパウエルFRB議長は引き続き緩やかな金融引き締めを主張。一方ドラギ総裁は慎重な姿勢を崩しておらず、黒田総裁は従来からの緩和堅持の姿勢であり、日欧米の金融スタンスからは依然として米ドル優位と言えます。
ただ米国の金融引き締め継続から新興国の通貨や株価が大幅に下落しているのは懸念材料となっています。
また先週のOPEC総会では日量100万バレルの増産で合意されましたが、想定内としてむしろ原油価格は69ドル台まで反発。今週は68ドル台と再びやや軟化しています。
金融政策は急激に変化するものではないだけに、やはり目先の焦点は米国の保護主義政策の動向ですが、トランプ大統領のツイッター一本で状況が激変するため、今週も気を抜けません。

 

<豪ドル相場>

 

足元の豪ドル相場―引き続き上値の重い展開でしょう

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7347-0.7443 AUDYEN 80.63-81.93 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7300-0.7500 AUDYEN 80.00-83.00

 

先週の豪ドルはトランプ政権の保護主義政策への懸念は根強いものの、ポンドやユーロなどの欧州通貨の反発などドル軟調を受けて74セント台、81円台に値を戻しました。
OPEC総会での増産が日量100万バレルと事前予想の範囲内に収まったことも、週末にかけて豪ドル買戻しを誘いました。
今週は大きな国際イベントもなく、また国内の重要指標の発表も予定されませんが、やはり懸念事項はトランプ政権の保護主義が中国からEUへと拡大している点です。
自動車関税問題の関連から日米摩擦も激化する可能性があります。 豪州の最大貿易相手国は中国であり、その中国の最大相手国が欧州であるだけに、やはり保護主義問題は豪ドルの最大の足かせになります。
先週はOPEC総会通過でやや底打ち感が出始めた豪ドルですが、まだまだ油断は禁物でしょう。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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