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今週の豪ドル見通し( 16 July 2018)

<主なイベント>

7/16(月)日本休場(海の日)、中国Q2GDP、中国6月小売売上高・鉱工業生産、米6月小売売上高、EU中国首脳会議、米ロ首脳会談、IMF世界経済見通し改訂版公表
17(火)米国6月鉱工業生産、米5月対米証券投資、パウエル議長半期に一度の議会証言(上院銀行委員会)
18(水)英6月CPI、米6月住宅着工件数、FEDベージュブック、パウエル議長議会証言(下院金融委員会)
19(木)日本6月貿易統計、豪州6月雇用統計、米6月景気先行指数、クオールズFRB副議長講演
20(金)日本6月CPI、セントルイス連銀総裁講演

<マーケットの焦点>

 

先週は火曜日にトランプ政権が中国の知的財産権侵害に対する2,000億ドルの追加関税の検討と6,000品目以上の対象品目リストを公開しました。
またトランプ大統領は「中国が(非核化で)北朝鮮にネガティブな圧力を行使している」と述べるなど米中間の摩擦が増加しました。
しかし市場の反応はむしろ“肯定的”で主要国の株価は上昇し(ナスダックは史上高値を更新)、ドル円は112円台後半まで上昇するなどリスク選好の流れになっています。
米国の対中追加関税の実施は9月頃でありそれまでに米中間の交渉が予想されることや、NATO首脳会談を皮切りにトランプ大統領は欧州中心に外遊しており、トランプ外交により国際緊張が回避されるとのポジティブな見方もあるようです。
特に本日の米ロ首脳会談で両国が北朝鮮問題、シリア、イラン、ウクライナ問題で協調を印象付けられか否かで地政学的懸念の動向が左右されます。
今週は帰国後のトランプ大統領の言動が注目されますが、週末も2020年の大統領選での再選に意欲を示すなどまだまだやる気十分のようです。
果たして市場がトランプ政策の継続にポジティブな反応を示すか、あるいは更なる混乱を予測してネガティブな反応となるか?
本日は中国のQ2GDPが発表されます。予想値は+6.7%(前回は+6.8%)ですが、とかく政治的な色彩が強く“恣意的な数字”と噂される同国のGDPですが、「米国の保護主義が影響し、同国経済ひいては世界経済への阻害要因となっている」として、米国への非難を煽るためにも”悪い数字“を用意するようにも思えます。
また今週はパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言(上院・下院)が予定され注目されます。
2月には同議長の証言から積極的な利上げ観測が高まり主要国の株価が急落する局面がありました。 また最近FRB並びに主要国中銀が”米国の通商政策が世界経済への懸念事項“と指摘しています。
FRBは年内更に2回の利上げが予定されていますが、世界的な貿易摩擦が更に高まったり、米国の更なる引き締めが世界的に株価を押し下げる状況になれば、FRBの金融政策自体変更を余儀なくされる可能性も忘れるべきではないでしょう。
今週も景気格差・金利格差に裏付けされたドル上昇シナリオが順目である反面、リスク回避の動きが高まる可能性も排除できない状況です。

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―基本的に堅調推移するが思わぬ反落には要注意

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7361-0.7484 AUDYEN 82.02-83.60 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7350-0.7550 AUDYEN 82.00-85.00

 

先週豪ドルは米中摩擦激化の懸念にもかかわらず市場に大きな混乱はなく、むしろ世界的な株価上昇・リスク選好の流れで74セント台前半、83円台半ばに反発しました。
6月以降の大幅下落(76セント台→73セント台、84円台→80円台)の調整買戻し過程ですが、かなり調整も進捗しました。
今週は本日発表の中国Q2GDPが注目されます。先週発表された6月の中国貿易収支は黒字幅が予想を上回ったものの、輸入の伸びが鈍化している点が懸念されます。
今週も米中間の通商問題の進展が気になりますが国内指標では6月の雇用統計が注目されます。予想値は失業率が5.4%(前回5.4%)、就業者数が1.65万人(前回1.2万人)と堅調な数字となっています。
豪ドルの行方は米中通商問題の進展に大きく影響され、一方的に悪化する状況ではありませんが、商品相場(CRB)が依然として200を割り込んでいる最大の原因はやはり米中問題の存在です。
足元買戻しの活発化で上昇している豪ドルですが、買戻し一巡後、更に自力で続伸するにはまだ力不足と言えるでしょう。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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