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今週の豪ドル見通し(23 July 2018)

<主なイベント>

7/23(月)6月米中古住宅販売
24(火)トルコ中銀政策会議
25(水)独7月ifo景況感指数、米6月新規住宅販売、米欧首脳会談、BRICSサミット 26(木)ECB理事会、米6月耐久財受注
27(金)南北朝鮮休戦協定締結65年、ロシア中銀政策会合、米Q2GDP(速報値)

<マーケットの焦点>

先週主要国の株価は下げ止まりましたが、為替市場では金曜日のトランプ発言がきっかけでドルは大きく下落しました。
週前半のパウエルFRB議長の議会証言では米経済に対する強気の発言から年内追加利上げ観測が高まり、ドル円は一時113円台に上昇しました。
しかし金曜日にトランプ大統領が強力な“(FRBの)利上げ批判”と”各国の通貨安批判“を行い、ドル円は111円台前半まで反落しました。
トランプ大統領は「(FRBによる)金融引き締めはこれまでの努力を全て損なう」、「中国やEUは為替を操作している」、「強いドルは米国の競争優位をはく奪する」など強い調子で主張を展開し、ドルは急落しました。
また週末のブエノスアイレスG20(主要国中央銀行並びに財務相会議)では異例に”貿易摩擦“が焦点となりました。通常は各国の金融政策が焦点ですが貿易摩擦の高まりが主要国の金融政策に大きく影響するとの判断です。 G20声明では「貿易摩擦が世界経済の下振れリスク」と述べ、「保護主義と戦う」として昨年7月のG20の主張を繰り返しながらも、「自国貿易に有利になるような通貨戦争は避けるべき」と今年3月のG20声明を再度強調しています。
結局反保護主義を掲げながらもトランプ大統領の貿易不均衡是正発言に配慮した形です。 今週もトランプ発言の影響は尾を引く形となるでしょう。
特に名指し非難された中国やEUの反応が気になるところです。 今週発表される米国Q2GDP(速報値)は予想値(前期比年率)+4.0%(前回+2.0%)と非常に強い数字となっており、先週のパウレル議長の議会証言も”追加利上げ観測“を高めており、ファンダメンタルズや金融政策からは米ドルサポートとなります。
しかしトランプ大統領は利上げ自体に明確に反対を表明しており、FRBの金融政策へは”不介入“と言ってはいますが、やはり影響は無視できないでしょう。
果たしてファンダメンタルズからのドル買いか?トランプ「利上げ反対、ドル高反対」発言の影響が更に広がるか?今週の焦点となります。
また先週トランプ政権は「中国の全輸入品5,000億ドルへの関税を検討」と述べるなど米中摩擦は更に激化の兆しがあり、他方G20でも主要国の金利正常化が中国や新興国からの資金流出を引き起こす懸念が表明されるなど、リスク許容度の面からは再び”リスク回避“が活発化する可能性があるでしょう。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―依然上値は限定的で下値圧力が予想されます

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7318-0.7442 AUDYEN 82.20-83.93 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7300-0.7500 AUDYEN 81.50-83.50

 

先週豪ドルは週初はドル高地合で上値の重い展開となり、加えて米中摩擦問題もあって、非常に強い6月雇用統計(就業者数+50.9千人)にもかかわらず73セント台前半、82円台前半まで下落しました。
その後金曜日の“トランプ発言”でドル売りが急激に高まり、対ドルでは74セント台前半に反発。一方対円ではドル円下落を受けて82円台で上値が塞がれました。
今週は主な国内指標の発表がなく、やはりトランプ発言を受けた中国やEUの反応を見ながら、貿易摩擦問題が再び焦点となりそうです。
輸入関税問題はもちろん重要ですが、トランプ政権の攻撃が各国の金融政策や為替政策までエスカレートしており、特に中国の人民元政策を巡る中国当局発言は要注意でしょう。
最近の貿易摩擦問題では中国は譲歩よりは報復手段に出ており、また金融政策や人民元政策でもトランプ政権への譲歩の可能性は低いでしょう。
むしろ摩擦激化が懸念され、その場合には豪ドル売り材料視される可能性があります。 豪ドルの75セント台や85円台は依然“近くて遠い”レベルのようです。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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