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今週の相場見通し(3 December 2018)

 

<主なイベント>

12/3(月)豪州10月住宅建設許可件数、中国11月財新製造業PMI、米11月ISM製造業景気指数
4(火)RBA理事会、豪州Q3経常収支、カーニー英中銀総裁議会証言、EU財務相理事会
5(水)豪州Q3GDP、米11月ADP雇用者数、米11月ISM非製造業景気指数、FEDベージュブック、パウエル議長上下両院豪ドル経済委員会で証言
6(木)豪州10月貿易収支/小売売上高、独CDU党大会、OPEC総会、米10月貿易収支
7(金)米10月雇用統計、独CDU党首選

 

<言いたい放題>

相場は人生の縮図であり人生そのものである。相場には人生臭さがプンプンと漂っている。長年相場の世界に身を置き、世の中の不条理を“相場の目”から見てきた。 一(いち)ディーラーのたわ言とお聞き流し頂きたい。 ドラ息子ブッシュ(ジュニア)元大統領の父ジョージ・H・Wブッシュが逝った。「他者への責任と奉仕を続ける。それが私の信条だ」と常々述べていた。レーガン、ブッシュという共和党の黄金時代を築いたが、クリントン人気に押されて一期のみで敗退。 しかしながら中小企業社長のトランプオヤジとは“匂い”が違う。 トランプは米中会談で1月からの関税引き上げをやめたようだ。習近平はもちろんハッピー。しかしトランプは振り上げた拳を無事下せてホッとしているのではないか??? 余命2年(延命もなくはないが)のトランプと任期無限大の習近平では「余裕」が違う!!為替ディーラーでいえばトランプは毎日キッタハッタ(売ったり買ったり目の前の相場が全て)の“スポットディーラー(私もそうであった)”であり、習主席は金利の先行きを読む“フォワードディーラー”だ、。世の常としてスポットディーラーは浮き沈みが激しく短命だ。短命ディーラーは生き残るために無理をする。トランプはこれからどんな無理をするか??

<マーケットの焦点>

先週は主要国の株価堅調、ドルが再び全面高になった。 パウエルFRB議長の講演で「政策に既定路線なく金利は中立レンジをやや下回る」などとかなりのハト派的発言をし、発表されたFOMC議事録でも「漸進的な利上げという文言の変更を検討」などいずれも来年のFRBの利上げ観測を後退させる内容で、一時米債利回り低下/ドル安となり、逆に利上げ観測の後退を好感してNYKダウは大幅に反発した。
週末のG20サミットを控えて米中摩擦改善への期待が徐々に高まり、ドルが買い戻される動きとなった。 結局G20でサミットの共同宣言では: ・「保護主義と戦う」という文言は米国の反対で削除された。 ・多国間の貿易体制は改善の余地あり、WTOの改革の必要性を確認と述べられたが、なんとも米国の意向が強く反映された内容であった。 一方注目の米中首脳会談では米国が当初予定していた来年1月からの対中2,000億ドルの輸入関税の引き上げ(10%→25%)は見送りとなった。 中国が対米黒字を減らすために農産物やエネルギー輸入を約束をしたことへの譲歩ということだが、知財法や技術の強制移転やハイテク育成やサイバー攻撃など諸問題は継続協議とし、向こう3カ月以内に進展がなければ再度関税引き上げをするという米国のスタンスだった。結局G20は先般のASEAN続いて米国の“ごね得”で各国ともトランプ台風の過ぎ去るのを待っている感じ。
また米中関係は今回の関税引き上げ措置見送りで、本日も豪ドル上昇、ドル円上昇となっているが、通商のみならず安全保障やイデオロギーなど今後の米中間の摩擦が簡単に収まるとは思えない。 月間500憶ドルを上回る米国の貿易赤字が一向に縮小する気配はなく、米中摩擦も取り敢えず暫く休戦と言ったところだろう。
今週木曜日発表の米10月貿易収支が注目される。 今週は米国11月ISM製造業景気指数や11月雇用統計が発表になる。 12月の利上げはほぼ既成事実化しているが、先週極めてハト派的な発言をしたパウエルFRB議長が今週水曜日に議会証言をする。再度ダメ押しのハト派発言をするのか?あるいは米中の休戦に気をよくしてハト派色が後退するのか注目したい。
その他にも今週は独与党CDUの党首選があるがメルケル首相は出馬しない。首相の任期は2021年まであるが、最近メルケル首相も不人気、マクロン仏大統領は更に不人気、イタリアの財政赤字問題、そして一番大きなBrexit問題では12/11にEUとの合意案に対する英国議会採決があるが、否決される可能性が高い。
欧州通貨安がドル高の一番大きな要因ではあるが、米中休戦でやや後退したリスク回避の円買いのリスク要因は欧州にもたくさんあることを忘れるべきではないだろう。 足元のドル高がどこまで続くか??

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―足元堅調推移だが調整に要注意

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7199-0.7344 AUDYEN 81.65-83.21 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7250-0.7450 AUDYEN 81.50-84.50

 

先週豪ドルは米中摩擦後退への期待感やドルがパウレル議長発言で一時下落したことから73セント台半ば、83円台前半まで反発した。
週末の米中会談で対中関税引き上げが見送られたことを好感して本日は一時73セント台後半、83円台後半まで続伸した。
ただ米中摩擦も根本解決とは程遠く、中国は引き続き知財法関連は技術の強制移転など多くの宿題を渡された格好だ。
習主席はトランプ大統領の激しい攻勢にここまでむしろ静観スタイルだが、このまま米国に一方的に譲歩するとも考え難い。
先週言われた中国の米債売却観測も含めて、一時休戦ということだろう。 今週はRBA理事会はじめQ3GDP、10月小売売上高や貿易収支など国内指標盛りだくさんだ。
ただ焦点は依然として国内要因よりは米中や欧州情勢なの進展具合にある。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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