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今週の相場見通し(26 August 2019)

26 August 2019

<主なイベント>

8/26(月)G7(本日まで)、日本6景気動向指数、8月独ifo景況感指数、カーニ―BOE総裁講演
27(火)独Q2GDP(確報値)、米8月消費者信頼感
28(水)独9月GFK消費者信頼、日本政府「ホワイト国」から韓国を除外する政令改定、イラン外相記者会見、リッチモンド連銀総裁講演
29(木)独8月失業率、米Q2GDP(改定値)、米7月中古住宅販売、SF連銀総裁講演
30(金)日本7月雇用統計、韓国中銀理事会、ユーロ圏7月失業利率/8月CPI、米7月個人所得
31(土)中国8月製造業PMI
9/1(日)米対中関税第四弾(約3000億ドル相当)発動

<マーケットの焦点>
予想された最悪の事態が現実化しつつある。
今朝のシドニー市場では“リスク回避の全面円高”地合となった。
一時ドル円は104.44(2016年Brexit イヤーの11月以来)、ユーロ円116.55(2017年4月以来)、ポンド円128.17(こちらは8月126台を見ている)、豪ドル円69円台はリーマンショック後の2009年4月以来。
“全てのリスクはトランプに通ず”
先週はこの言葉が全てであった。8/23(金)に中国が報復措置として750億ドルの米国からの輸入(総輸入の約半分)に5-10%の課税を発表するや、同日トランプ政権は得意の“倍返し”。既発動分の2500億ドル相当への関税を25%から30%に引き上げ、新規の3000億ドル相当への関税を15%に引き上げた。合計5500億ドルは中国から米国への輸出の全てをカバーする。
今年年初、トランプ大統領へのロシア疑惑真っただ中の頃、「トランプ政権は対中政策を軟化させて一定の通商合意を見る」と予想したが、その後ロシア疑惑を強権でもみ消しに一応成功し、7月に来年の大統領選へ正式に出馬表明した頃からトランプ戦略が急変した。
つまりトランプ大統領は完全に“中国を対立軸”と位置付け、「米中覇権争いに勝利できる強い大統領は自分しかいない」ことを米国民に認めさせる戦術に出てきた。
8/23にトランプ大統領は本音を暴露した。「米国は中国を必要としない。いない方がはるかにましだ」。
中国もまた従来から指摘しているように“米国を除外した世界”を作ろうと奔走している。
ただ中国の問題点は自分が思っているほど世界は中国を信頼していないということ。知財法、不公平な商慣習、思想統制、そして軍事力の拡大。世界中がトランプ大統領の強権主義、排他主義を警戒すると同時に、中国への不信感もぬぐえない。世界経済の二大国が共に“問題あり”ということだ。トランプ政権筋からは“米企業の中国からの撤退”の話も聞こえ出した。“お互いを不要”とする両国対立は通商に止まらず、軍事や思想面まで巻き込んでおり、最悪”国交断絶“まで突き進む可能性もなしとしないと考えている。
また先週はBrexitでも動きがあった。ジョンソン首相がメルケル首相、マクロン大統領と会談を持ち独仏が「バックストップ案に対する実用的解決策を考える」と歩み寄りを見せた。
ただジョンソン首相は9月初の議会再開後に再び離脱案を協議することになるが、ここ数年可決できなかった離脱案が急にまとまるとも思えない。労働党は再開早々にジョンソン政権への不信任案を提出する構えと言われる。
要は独経済はじめとしてEU経済の先行き不安が増大しており、合意なき離脱が更なるEU経済危機につながるとの判断がメルケル首相やマクロン大統領の態度緩和につながっているのだろう。このパワーゲームにジョンション首相が勝利して合意離脱に持っていけるのか?あるいは、再び英議会が紛糾し、業を煮やした破壊屋ジョンソンが一気に合意なき離脱に突き進むのか?米英の二人の怪物の言動が今週も焦点だ。
ドル円は下攻め後、予想通りに105円台前半に反発している。GPIFも尻に火が付きながら最後の買い支えに出ているのかもしれない。
ただ病巣は深くドル円のダウントレンドを転換させる力はないだろう。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―再び下値テストか

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6735-0.6799 AUDYEN 71.03-72.40

今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6600-0.6800 AUDYEN 68.50-71.50

先週豪ドルは週初は米中通商協議の行方を見ながら67セント台後半、71円台後半中心の揉み合いとなったが、金曜日の中国の対米報復関税発表と、それに対するトランプ政権の関税更なる上乗せの対抗措置が発表されると、米中貿易戦争懸念が一気に増大し、豪ドルは67セント台前半、71円台前半に下落して越週した。
今朝のシドニー市場では米中摩擦懸念からドル円は「下窓」を開けてオープンし、一時104円台前半まで急落。豪ドルも一時66セント台後半、69円台後半まで急落したが、売り一巡後は67セント台前半、70円台後半に反発している。
因みに69円台後半はリーマンショック後の2009年4月以来の安値である。
今週は経済指標やRBAの金融政策関連など国内要因乏しく、引き続き米中関係が主な材料となる。
8月になってから豪ドルは対ドル、対円共に下値圏での揉み合いとなっているが、いわゆるテクニカル的な「下値遊び」を今週は下放れる可能性が出てきた。

 

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


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☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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