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今週の相場見通しby Joe (9 November 2020)

9 November 2020

◎<主なイベント>

11/9(月)日本9月景気動向指数、ラガルドECB総裁発言、ベイリーBOE総裁発言
10(火)10月NAB企業信頼感・景況感、日本10月景気ウオッチャー調査、中国10月CPI/PPI、独/ユーロ圏11月ZEW景況感指数、米9月求人件数、クオールズFRB副議長上院銀行委員会証言
11(水)11月WESTPAC消費者信頼感、NZ準備銀行理事会、ラガルドECB総裁講演、OPEC月報、中国「独身の日」、米債券市場ベテランズデー休場、カナダ休場
12(木)英Q3GDP(速報値)、ECB経済報告、米10月CPI、ECBフォーラム(パウエル議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁)
13(金)ユーロ圏Q3GDP(改定値)、米10月PPI、11月ミシガン大学消費者信頼感(速報値)

◎<マーケットの焦点>

注目の米大統領選はバイデン候補がペンシルベニア州で勝利して過半数に達し、米メディアは一斉にバイデン勝利を報じた。
このままトランプ大統領が敗北を認めれば“めでたし、めでたし”であったが、予想通りトランプ大統領は敗北を認めず、バイデン氏の勝利宣言直後に法廷闘争の構え明らかにした。
注目点は二つあり、第一はトランプ大統領が敗北を認めてバイデン政権が発足するか?
第二は、バイデン政権が確定したとして、果たして順調な門出となるか?
第一については、バイデン氏は勝利宣言で「分断ではなく団結」を呼びかけたが、トランプ大統領は言うに及ばず7千万人を上回るトランプ支持者もこのまま引き下がらないだろう。
コロナ禍が蔓延する特殊な状況下で行われた今回の大統領選では郵便投票がバイデン氏に有利に働いたのは事実であろうし、トランプ大統領はその法的妥当性を巡る法廷闘争を含め、ありとあらゆる抵抗を続けるであろう。
12/14に予定される選挙人投票での選挙人確定も間に合わないであろうし、トランプ陣営は来年1月の議会投票に持ち込む戦略との見方もある。
バイデン候補は既にTPPやパリ協定からの離脱取り消しなど諸政策を打ち出しているが、スムーズな政権移行はなされずその間政治的空白が続くことになる。
また今後反バイデン派の過激集団による暴力事件を懸念する声も聞かれる。
そして第二について、たとえ法廷闘争の末にバイデン政権が発足したとしても、前途多難であることは間違いない。今回のバイデン氏の最大の勝因は、多くの人命が失われた最悪のコロナ被害国にあって人心が乱れる中、コロナを軽視したトランプ大統領と真摯に取り組む姿勢を強調したバイデン候補の差であろう。
しかし世界中が苦慮するコロナ対策でバイデン政権が成功する保証は全くない。
4年前は民主党政権への失望がトランプ政権を生み出したことを忘れてはならない。
そして4年にわたるトランプ政権の国政、外交にわたる諸政策をひっくり返すのにバイデン1期目は費やされ、1期目の終了時にバイデン氏は81才になっているのである。その間悪化の一途を辿る財政問題、追加経済対策、対中問題はじめ外交問題など多くの難題がバイデン政権にのしかかる。
結局「ババを引いたのはバイデン氏だった」とならなければいいが、、、
ただ、足元はバイデン勝利となれば取り敢えずリスク選好の動きとなるだろう。
長きにわたった大統領選の不透明感から解放されること。それにもまして、4年間のトランプ政権下で、たとえ株価は上昇しても(別にトランプ政権のお蔭ではないと考えるが)市場は常にトランプ政権の内外にわたる諸政策に振り回され、言いようのない“ストレス”を受けてきた。これは市場にいる方はお判りになるだろう。
「エキセントリック・トランプ」より常識的なバイデン政権となればこのストレスから解放されることになる。
足元はバイデン政権の可能性が強まればリスクオン、トランプ陣営の反撃局面ではリスクオフ地合となるのではないか。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―再び堅調地合

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6991-0.7289 AUDYEN 73.23-75.47
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7050-0.7350 AUDYEN 73.00-76.00

先週豪ドルはRBA理事会での利下げ(0.25%→0.10%)は市場織り込み済であったか、あるいは今回の利下げで「利下げ打ち止め感」が出たか、下値は70セント台前半、73円台半ばと限定的であった。
現状RBAはマイナス金利の導入には否定的であるため、今回の0.10%が当面のフロアとなる可能性がある。
むしろ米大統領選後のリスクオンの株高・ドル安の流れを受けて72セント台後半、75円台半ばまで反発した。ただし対円ではドル円の103円台への下落があり上値の重い展開となった。
バイデン政権となり米中関係が改善すれば、間接的に豪中関係にも良い影響を与える可能性もあるだろう。
9月貿易収支は対中摩擦にもかかわらず、5.63bio豪ドルの黒字と予想の3.7bio豪ドルを大きく上回ったことも豪ドルをサポートした。
ただ先週の急反発の主因はあくまでも「ドル安」であることから、この上昇が中期的なトレンドを形成する可能性は少ないだろう。“豪ドルは米ドルの受け皿”である。
先週発表されたRBAの「四半期金融政策報告書」では、景気予想を最悪の前回予想からやや上方修正したが、「コロナ禍の影響で人口の伸びが大きく鈍化していることも今後の不安要因」と指摘していた。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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