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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)11 October 2011

11 October 2021

◎<主なイベント>

10/11(月)IMF・世銀年次総会(~17日)、国際金融協会(IIF)(~15日)、コロンブスデーで米債券市場休場
12(火)9月NAB企業信頼感・景況感、韓国中銀理事会、独/ユーロ圏10月ZEW景況感指数、米8月求人件数、IMF世界経済見通し
13(水)中国9月貿易収支、米9月CPI、FOMC議事録、OPEC月報、G20財務相中央銀行総裁会議、クオールズFRB副議長任期終了
14(木)豪州9月雇用統計、臨時国会会期末・衆議院解散(衆議院選挙19日公示、31日投開票)、中国9月CPI/PPI、香港重陽節休場、米新規失業保険申請件数
15(金)米9月小売売上高、10月NY連銀製造業景気指数、10月ミシガン大学消費者信頼感
16(土)ベイリーBOE総裁、中国人民銀行総裁討論会

<マーケットの焦点>

先週は色々な意味で波乱含みの週となった。
世界的なエネルギー不足が懸念される中、原油価格が急伸し、NY原油先物は一時80ドルに達した。
サプライチェーン分断問題に加えて急激なエネルギー価格の上昇から世界的にインフレ懸念が高まり、米債利回り(10年債)が1.6%台に上昇し、週初は先週のボラタイルな株価変動が継続して株価調整色を強めた。
また中国恒大集団の巨額債務問題が依然くすぶる中、米国の債務上限問題も浮上して、市場ではリスク回避の動きが活発化した。
為替市場では“リスク回避のドル買い・円買い”が強まりユーロ1.15台、ポンド1.35台で軟調推移する一方ドル円は111円台を一時割った。
しかし週央以降はリスク回避色が薄れてドルは反落した。
米民主・共和両党が債務上限の12月までの暫定引き上げに合意。またプーチン大統領が新パイプライン完成と共に天然ガスの欧州への供給増に応じる姿勢を示したことからエネルギー不安はやや和らいだ。
注目の米雇用統計では失業率が予想を上回って4.8%に改善する一方、9月のnfpr+19.4万人と再び予想を大きく下回り(8月分は23.5万人から36.6万人に上方修正)、発表直後はドル売りが優勢となり、ドル円は111.50近辺に下落した。
しかしnfprのネガティブサプライズは長続きせず、むしろ引けにかては112.25まで年初来高値を更新して引けた。
先週のこのコラムで「為替市場は現在“分水嶺”に差し掛かっていると考え、ドル円は110円割れか?112円越か?はっきりするだろう」と述べたが、その意味では後者の道筋が見えてきたのではないかと考える。
つまり米労働市場が正常化に向かう過程において、月次の数字のフラクチュエーションには市場はあまり反応しなくなりつつある。
足元中国の不動産問題や、世界的なエネルギー不足問題、更には台湾問題、中東紛争の激化などのリスク要因は依然尽きない。また米国はじめ世界のコロナ感染状況も拡大は収まりつつあるものの、明確な収束の兆しも未だ見えてこない。
ただ「リスク回避のドル買い・円買い」のうち、円買い圧力が後退しいていることは間違いないだろう。今後リスク選好局面になれば円売り圧力が更に増加すると考えるが、年末のドル買い需要と相乗すれば、ドル円の更なる上昇余地が広がるだろう。ただし一方的な115円に向けての上昇よりはUP DOWNしながらのジグザグ運行となろう。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―買戻しの動きが活発化したが、高値警戒感も

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7225-0.7338  AUDYEN  80.49-82.07
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7200-0.7400  AUDYEN  81.00-84.00

先週豪ドルは9月下旬の下落の買戻しが活発化し、73セント台前半、82円台前半まで反発した。
国内コロナ対策のロックダウンが10月には段階的に解除される目途となったことや、商品相場の上昇が豪ドルをサポートした。CRB Index2502014年以来の高値を付けている。世界的なエネルギー不足やインフレ懸念を反映した形だ。
一方鉄鉱石価格は5月の高値220ドルから今月は110ドル台まで下落したが、主因は中国当局の建設ブーム規制や来年のオリンピックを控えた環境政策としての鉄鋼減産政策に加えて、豪州産鉄鉱石の輸入から国内のスクラップ鉄材などの再利用にシフトしている点だ。しかし価格が半値まで下がった現状、中国当局には豪州産鉄鉱石輸入規制を緩和するとの観測も出始めている。8月の豪州貿易収支は予想を大きく上回る150億豪ドルの黒字と黒字記録を44カ月に延ばしているが、背景に世界的な資源不足があることは間違いない。今週は9月の豪州雇用統計が発表されるが、予想値は失業率が前回の4.5%から4.8%に悪化し、就業者数は-13.5万人(前回は-14.6万人)とロックダウンの影響がモロに出ると予想される。過去の数字とはいうものの、コロナ収束が未だ明確でない現状、足元の数字を無視するわけにはいかないだろう。
9
月までの下げの買戻しもかなり進行しており、ここから先の上昇には警戒感を持って臨むべきと考える。(ロングであれば利食い先行、そして反落局面ではショート推奨)


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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