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シドニー発豪ドル見通し(18 December 2017)

<主なイベント・日程>

12/18(月)日本短観、企業物価見通し
19(火)独12月ifo景況感指数、米11月住宅着工件数
20(水)米11月中古住宅販売、英首相党首討論会
21(木)日銀会合、黒田総裁記者会見、米Q3GDP(確報値)、スペイン・カタルーニャ州議会選挙
22(金)米11月耐久財受注、米11月個人所得収支、米11月新築住宅販売、英米株式市場短縮取引

 

<マーケットの焦点>

先週も北朝鮮問題、Brexit交渉、米国FOMCとBOE/ECB理事会、米国の税制改革問題など多くの材料がありましたが、結果的にはNYKダウは史上高値を更新して越週しました。 ドルインデックスは前週末の93.84から先週終値は93.96とほぼ保合。ドル円は113円台でオープンし112円台半ばとやや軟化しました。 北朝鮮問題では17日の金正日命日を控えて米国長官は「北朝鮮が選択を誤れば軍事的準備がある」と述べるなど衝突が懸念されましたが、過激な反米声明以外は挑発行為はここまでないようです。ただ来年2月のピョンチャン・オリンピックを控えて1988年のソウル五輪前年に起こった大韓航空爆破事件が想起され、同種の懸念を指摘する向きもあります。 Brexit交渉では負担金問題やアイルランドとの国境問題に十分な進展が見られましたが(第1フェーズ)、次の通商交渉など第2フェースはさらに厳しい交渉になることが予想されます。 またFOMCでは予想通り25bpの利上げが実施され(5回目)、来年のドットチャート(利上げ予測)も3回と据え置かれました。ただ依然としてインフレ見通しは慎重な見方であり、発表後ドルは下落しました。来年1月からはパウエル新議長となりますが、現在空席の副議長や2名のFOMCスタッフ人事を含めて大規模な人事の刷新が行われるとの見方もあり、来年以降の金融政策にも変更が加えられる可能性が指摘されます。(一部には任期終盤にタカ派色を増したイエレン議長への反動からよりハト派スタッフが増えるとの見方も)。 BOE/ECB両理事会は政策据え置きでしたが、いずれも金融緩和継続の慎重姿勢が目立ちました。 米税制改改革法案では年内可決が危ぶまれましたが賛成に難色を示していた共和党上院のルビオ、コーカー両議院が金曜日に賛成に回り、クリスマス前可決成立の可能性が高まり株価を史上高値圏に押し上げました。ただ年内成立はほぼ市場織り込み済で、これ自体新たなドル買い要因にはならないと考えます。 むしろ上方修正が予想される今週発表の米Q3GDP(確報値)やインフレ関連で注目される11月の個人所得収支が下振れすれば来年の利上げ観測にも影響するでしょう。 また21日(木)には年内最後の日銀会合が開催されます。 相変わらず強力緩和を主張する黒田総裁に加えて昨年9月から加わった片岡委員は追加緩和を主張しています。一方黒田総裁は11月に過度の金利低下が及ぼす逆効果(リバーサルレート)についても言及しており、出口に対する警戒感にも注意したいところ。 その他、21日(木)にはスペイン・カタルーニャ州議会選挙がありますが独立賛成/反対派は拮抗していると言われ、結果次第ではユーロ波乱要因となります。 前述の北朝鮮問題に加えてエルサレム問題でもイスラエル・パレスチア双方の衝突が激化しており、トルコのエルドアン大統領は反米感情に対処すべく東エルサレムへのトルコ大使館移転を発表するなどエルサレム問題も依然要注意です。 年末まで残すところわずかですが、引き続き不安定な相場が継続しそうです。

 

 

<豪ドルマーケット>

今週の豪ドルは堅調推移でしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7506-0.7694 AUDYEN 85.18-86.49

今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7500-0.7700  AUDYEN 84.00-87.00
先週の豪ドルは12月WESTPAC消費者信頼感の回復と非常に強い11月雇用統計を受けて一時77セント近辺、86円台半ばまで上昇しました。 特に雇用統計は労働参加率が65.5に上昇する中での失業率5.4%(予想通り)、更に就業者数は予想値+19千人に対して+61.6千人となり、しかもfull-time-job+41.9千人、part-time-job+19.7千人といういわば“満額回答”となりました。 足元の労働市場の改善が来年はいよいよ賃金上昇に結び付くのか?期待されるところです。 もっともABS(豪州統計局)は今回の非常に強い結果の一因は“サンプルの入れ替え作業による”という冷めたコメントをしておりますが、、、 また週末のシドニーベネロング選挙区の補欠選挙では与党連合が勝利しており、週初豪ドルは76セント半ば、86円台前半で堅調裡にオープンしています。 RBA理事会の次期開催は来年2月であり、金融政策の大きな変更は予想されません。加えて国内主要指標の発表も終了しており、クリスマス休暇を控え豪ドル市場も活性度が低下することが予想されます。 米ドル相場の動向が最大要因となりますが、足元の米ドル堅調が更に続けば豪ドルの77セント台、87円台で上値が重くなるでしょう。 一方年内最後の資源会社の来年度の輸出予約(豪ドル買い需要)があるため豪ドルの下値も限定的でしょう。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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