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南極大陸上空遊覧飛行 Vol.5

 
昨日のつづき、199512月の遊覧飛行体験記です。今日はシドニー空港離陸から8時間くらいが経過した地点からはじまります。この日、南極の上空は天気に恵まれ、航路にはほとんど雲がなく快晴。日頃のおこない?人徳?偶然?そういうことじゃなく、パイロットの腕前がよかったみたいです。レーダーで雲を避けながら、眼下の様子がよく見えるような針路を飛行してくれるのです。
 

ワシントン岬で大きく旋回
 
ファインダー越しに広がる光景を脳裏に焼き付け、指先に全神経を集中させる。とにかく無我夢中でシャッターを切る。素晴らしい光景はさらに続く。プルエストリー氷河[PRIESTLY GLACIER](聖者の氷河)、キャンベル氷河[CAMPBELL GLACIER]を過ぎ、ケープ・ワシントン[CAPE WASHINGTON]で大きく左へ旋回する。

大きな8の字でしめくくり
 
ウッド・ベイ[WOOD BAY]、レディー・ニューナス・ベイ[LADY NEWNES BAY]を眼下に見下ろしながら海上を飛行する。さらにごつごつとした海岸線沿いの山脈や氷河を幾つも越えて行き、ケープ・アデア[CAPE ADARE]の上空で、機体は大きな8の字を描くようにゆっくりと旋回し、白い大陸を後にする。
 
感動体験の分かち合い
 
見に来て本当によかった。あっという間の2時間だったが、なかなか感激が覚めやらない。離陸からすでに8時間以上が経っている。機体はぐんぐん上昇を続け、高度10,000mで再び水平飛行にもどる。ふと気がつくと、ワイン好きのオージーたちは、かなりできあがっている。煙には厳しいが、アルコールにはかなり寛大な国民だ。今朝までは見ず知らずの他人同士がすっかり溶け合って、思い思いの感想を述べている。
 
お喋り好きの夫妻、話は尽きることなく
 
隣の中年夫婦は、旦那さんが弁護士で、ハンガリーから移民したという奥さんは、大のロードハウ島好きだそうだ。年に23回は必ず旅行するという。最近は、フレーザー島やタスマニア、ニュージーランド北島と、奥さんの里帰りでヨーロッパに出かけたという。彼らの話はなかなか終わらない。子育ての話、家のローン、日本経済、オウム真理教、果ては環境問題(フランスの核実験)にいたるまで、ひっきりなしによく喋る。にぎやかな旅行談義があちこちで交わされている。機内全体が、共通の目的達成の充実感に包まれているようだ。

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