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ラッキーカントリーも働き過ぎ?

世界の中でオーストラリアは、暮らし良い国だということですが、そんな実感はありますか?

経済協力開発機構(OECD)による「Better Life Index」(より良い暮らし指標)で、オーストラリアは暮らしの各分野で上位となっています。(http://www.oecdbetterlifeindex.org/)

この指標は、OECD加盟国34カ国と主要パートナー国のブラジルとロシアを加えた36カ国を対象に、暮らしの11の分野(住居、収入、雇用、地域社会、教育、環境、政治参加、健康、生活満足度、安全、仕事と生活の両立)について比較するもので、各項目でのランキングを発表しています。

オーストラリアは政治参加でトップ、健康で2位、住居で4位となっていますが、仕事と生活の両立では36カ国中、29番目と最低レベルです。どうも働き過ぎで労働と余暇のバランスが悪いようです。

所得(家庭の可処分所得)は、OECDの平均2万3047米ドルを超える2万8884米ドルと高いですが、貧富の差は広がっていて、人口の上位20%の所得は、下位20%の6倍もあります。

雇用率はOECDの平均66%を上回る73%で、労働時間はOECD平均1776時間を下回る1693時間です。しかし、就労者の14%が長時間労働に就いていて、OECD平均の9%を大きく超えています。

健康面では、寿命が男性80歳、女性84歳、男女平均で82歳と、OECD平均の80歳を2歳上回っています。

日本との比較では、11項目中、教育と安全では日本の方が上ですが、ほかの項目ではすべてオーストラリアの方が、“より良い暮らし”となっています。ちなみに安全の項目では日本がトップです。

さて、この指標、あなたはどう感じますか?

毎日の暮らしを統計数字で比較対照しても、個々の生活は統計の数字の中にまぎれてしまい、数字からは生活の実態が浮かび上がらないのが常です。

もちろん統計により、ある一定のイメージを持つことができ、暮らしを大雑把につかむことができます。そうして何が不足しているか、何が十分なのか、ある方向性は判断できます。

このBetter Life Indexでは、対象国をランキングした総合順位を発表していません。あくまでも今の暮らしの中で、11の分野で何に満足し、何が不満なのか、世界の平均値を基に考えようというものだからです。

オーストラリアが“より良い暮らし”のできる快適な国なのか、ちょっと考えてみてはどうですか。

(水越)

[11分野の主要項目における日豪比較]

住居/Housing 一人当たりの居住スペースは2.3室と、カナダの2.6室に次ぐ2位。日本は1.8室で12位。

収入/Income 家庭の可処分所得は2万8884米ドルで、5位。日本は2万4147米ドルで17位。

雇用/Jobs 長期失業率(1年以上の求職)は0.96%と、5位。日本は1.78%で14位。

地域社会/Community 緊急時に頼れる友人・知人とのつながり度は94%と、9位です。日本は90%で22位。

教育/Education 15歳の生徒の学習到達度調査では519点で、6位。日本は529点で3位。

環境/Environment 飲料水の水質満足度では91%と、10位。日本は86%で18位。

政治参加/Civic engagement 投票率は93%で1位。日本は69%で20位。

健康/Health 自身の健康状態が「非常に良い」「良い」は85%と、4位。日本は30%で最下位。

生活満足度/Life Satisfaction 自己評価による生活満足度は7.2で、12位。日本は6.0で27位。

安全/Safety 人口10万人当たりの殺人による死者数は1.0で、13位。日本は0.4で2位。

仕事と生活の両立/Work-Life Balance 週平均50時間以上労働の率は14.13%と、30位。日本は31.7%で35位。

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