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夏時間を2時間に延長?

いよいよ10月5日(日)から夏時間開始です。4日(土)は寝る前に、時計の針を1時間進めておくこと。忘れると朝寝坊しちゃいます。

夏時間は、正式には「Daylight Saving Time」といって、その名の通り日中の陽の光を有効利用しようということで始まりました。オーストラリアでは1917年に初めて導入されました。当時は1月1日から3月迄の3カ月間でした。でも評判が悪くて間もなく廃止になります。

再び導入されたのは1942年、ちょうど第二次世界大戦の時で、石炭や電力を節約しようとの考えから再び導入されました。でもやっぱり評判が悪くて、2年後に再び廃止になってしまいます。

その後、1967年にタスマニア州が導入し、1971年からはニュー・サウス・ウェールズ州、ビクトリア州、南オーストラリア州、首都特別地域(キャンベラ)の各州・地域で夏時間が採用されました。クイーンズランド州と西オーストラリア州も一時期導入したことはありますが、結局、北部準州とともに導入反対をして、今日に至っています。

いまではすっかり社会にとけ込み、夏時間は当たり前という感じですが、州が独自に決められるため、州境の街では混乱があるのも事実です。そのため州民の意見もまちまちで、特にクイーンズランド州では都市部やニュー・サウス・ウエールズ州に近い地域では導入を求める声が多いですが、地方部では反対の声が強いです。

また、西オーストラリア州では夏時間を3年間試験的に導入しましたが、恒常的に導入するかどうかの州民投票では反対が多く、夏時間を採用しないことになりました。

最近シドニーでは、夏の間は日が長いので普段より1時間遅くまで仕事やスポーツなどができる、いっそのこと年間を通じて1時間進め、夏時間の期間はさらに1時間延長して2時間針を進めることにしようという意見が新聞に載り、それに対する反対意見がいくつも寄せられるなど、ちょっとした論争になりました。

反対意見は、子どもたちを明るいうちから寝かせつけられない、これまでは夜8時まで明るかったのが、9時までになってしまう、夜遅くまで暑いためエアコンの稼働時間が長くなる、2時間も進めてしまうと朝早起きの人にとっては大変なことになる…、などの声が寄せられています。

これまで夏時間に反対する人は農業を営む人たちで、家畜の世話をする時間が早すぎてまだ真っ暗だ、という声が圧倒的でした。確かに動物には夏時間に応じて行動するということはありませんからね。そのため農業産地のクイーンズランド州は昔から夏時間には反対しています。「夏時間は皮膚がんを増加させる」とまで言って反対した州首相もいるほどです。

オーストラリア大陸はかなり地域差があり、北と南では日照時間が、東と西では時差が大きく異なります。夏時間もタスマニア州には必要な制度でも、北部準州には必要ないでしょう。

日本でも戦後の一時期(1948年〜1951年)に導入されましたが、これは連合軍の占領下の一時的なものでした。その後、省エネの観点から再び導入が論議されて、「サマータイム勤務」など企業が導入したり、北海道など一部地域で実験的に導入されましたが、地域全体の夏時間採用ではなかったため、具体的な効果がありませんでした。

賛否両論の夏時間ですが、はたして将来の省エネ社会を考え、これまでの生活態度を見直すきっかけになるのでしょうか。それともあまり省エネにつながらないということで、日の出とともに起き、日暮れとともに寝るという自然に応じた生活態度で良しとするのでしょうか。

(水越)

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