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今週の為替見通し by Joe Tsuda(津田穣)6 September 2021

6 September 2021

◎<主なイベント>

9/6(月)非公式EU財務相会合、米国レーバーデーで株式・債券市場休場
7(火)日本7月景気動向指数、RBA理事会、中国8月貿易収支、独・ユーロ圏9月ZEW景況感指数、エルサルバドル-ビットコイン法施行
8(水)日本Q2GDP改定値、日本8月景気ウオッチャー調査、カナダ中銀理事会、米ベージュブック
9(木)中国8月CPI・PPI、ECB理事会、米新規失業保険申請件数
10(金)米8月PPI、ユーロ圏財務相会合、非公式ユーロ圏財務相会合

<マーケットの焦点>

先週は全体として前週のジャクソンホール・シンポジウムでのパウエル議長の慎重発言を受けてドル売り継続。月末のドル買い要因に加えて日本の9月中旬衆議院解散の報にドル円は一時110円台半ば近くまで上昇。しかし水曜日のADP雇用者数やISM発表を控えて米経済悪化懸念が強まり、ドルは徐々に反落した。
最近はドル円ロングにこだわってきた小職も、さすがに110円台の重さに嫌気さして、ADPを前に110.00でショートに転換したのは正解。結局ドル円ショートを抱えて金曜日の米雇用統計に突入した。要は「日本売り=円売り」を主張してきたが、市場は一向についてこず(笑)、「背に腹は代えられない」、、、のショートであった。中長期ビューと日銭稼ぎは異なるということだ(ツイッター@joetsudaFXでは逐次ポジションの変更はツイートしている)。
雇用統計と同じ金曜日に菅首相は自民党総裁選に立候補しない旨述べ、日経平均は500円以上上昇し、その後オフショアでも500円続伸。ドル円も一時110円台を付けるなど乱高下した。
しかし発表された米雇用統計は予想を大きく上回るnfprの伸び大幅鈍化(+75万人予想に対して+23.5万人)でドル円は109円台半ばに急落。一時ユーロ1.19台前半、ポンド1.18台後半とドル全面安になったが、失業率が予想通りに5.2%に改善したことや、平均時給が予想を上回る上昇を示したことから、ドルの買い戻しも入るなど、アップダウンした。
今週の焦点は木曜日のECB理事会だ。色々慎重意見もあるが8月のCPIが前年比+3.0%と約10年ぶりの上昇を示し、パンデミック緊急供給プログラム(PEPP)の債券購入ペースの減速について検討されることはほぼ確実で、来年3月のPEPP終了までの道筋が示されるかもしれない。つまり先週の弱い内容から米国の年内テーパリング開始が疑問視される一方、ECBでテーパリングのスケジュールが示され、更に声明文での大規模債券購入文言の削除やスタッフ予想での経済見通し上方修正がなされれば、欧米間の景気格差・金融政策格差がユーロ買いを誘発する可能性が指摘される。
ただ9月はECB理事会以外にも9/26の独総選挙や、英国から北アイルランドへの冷蔵肉製品の出荷をできなくする規制措置の猶予期限が今月末に切れるため、再び英国とEU間の対立が激化する可能性(ソーセージ戦争)など、ユーロ不安材料があることも忘れてはいけない。
いずれにしても9月はユーロが一足早い“台風の目”となる可能性があるだろう。
ドルは全般的に下落基調だが、nfprについては7月分が100万人に上方修正されており、月々かなり厳しいフラクチュエーションがあるということだろう。
また8月末に発表された指標も見る限り欧州景気にも陰りが見られることや、上記不安材料(独総選挙やソーセージ戦争)を勘案すればユーロ1.20回復予想も行き過ぎという気がする。またドル円については依然として外人投資家には“日本株はアンダーパーフォーム”との認識があり、首相交代で株価が続伸すればリスクオンの円売り圧力が高まる可能性もあろう。「日本売り・円売り」は先の話として、期近では「リスクオンの円売り」に注目したい。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―足元堅調推移(先週の「上値は限定的」の読みはハズレ!)

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7284-0.7478  AUDYEN  79.98-82.02
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7300-0.7500  AUDYEN  79.00-83.00

先週豪ドルはドルの軟調を反映して前週の底放れから更に74セント台後半、82円台前半まで続伸した。
依然シドニーやメルボルンなどの主要都市のロックダウンから国内景気減速懸念が強いが、8ADP雇用者数から雇用統計(nfpr)に至るまで米指標は予想を超えた弱い数字のオンパレードで週を通してドルが軟調推移し、溜まっていた豪ドルショートポジションが継続的にリバースされた形だ。
上記のように今週はドルとユーロの力関係が相場を動かし、豪ドルもユーロの動きにフォローするだろう。
ただテクニカルにも74セント台半ば、81円台後半とボリンジャーバンドの上限に達しており、長らくoversoldであったRSI64%台まで買いポジションが増えているため調整が入ってもおかしくはない。
コロナを取り巻く状況やRBAの金融緩和継続姿勢に著変ない限りはレンジの上限まで伸び切った状況といえるだろう。
今週のRBA理事会では政策金利は0.1%に据え置きが予想される。
また週50億豪ドルペースの国債購入を9月上旬以降40億ドルに減額予定であるが、デルタ株の再拡大を受けて、この減額方針に変更がないか?注目される。

 

 

―読者各位―

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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