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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)25 October 2021

25 October 2021

◎<主なイベント>

10/25(月)日本8月景気先行指数・一致指数(改定値)、10月独ifo景況感指数
26(火)EUエネルギー危機を巡る臨時会合、米10月消費者信頼感、米9月新築住宅販売
27(水)豪州Q3CPI、日銀会合、中国9月工業企業利益、独10月GFK消費者信頼感、カナダ中銀理事会
28(木)日銀会合、ECB理事会、米Q3GDP(速報値)、EU財務相非公式会合、米新規失業保険申請件数
29(金)豪州Q3PPI、日本9月雇用統計、Q3GDP(速報値)-独・仏・ユーロ圏、米9月個人所得支出、10月シカゴPMI、10月ミシガン大学消費者信頼感
30(土)G20首脳会議(~31日)
31(日)衆院選投開票、中国10月製造業/非製造業PMI、欧州は夏時間終了し冬時間に移行

<マーケットの焦点>

先週は後で振り返ればある意味“歴史的な週”だったかもしれない。
原油価格は一時201410月以来の高値84ドル台まで上昇し、インフレ警戒感が高まって、「インフレが当初予想より長期化する」との懸念も台頭。早期利上げ期待を反映して米10年債利回りは一時1.70%台まで上昇した。また英国中銀が11月ないしは12月に利上げするとの思惑からポンドは一時1.38台まで上昇した。
一方インフレ懸念とは裏腹にNYダウやS&P 500は史上高値を更新し、インドやカナダの株価も最高値を更新している。
米金利先高感やリスクオンの動きを受けてドル円は一時約4年ぶりの高値114円台後半まで上昇したが、週後半には中国恒大集団のデフォルト懸念が高まり、また金曜日にはパウエル議長の米労働市場の回復に慎重な発言もありドル買いポジションの調整が出回って113円台前半まで反落した。
ユーロは安値1.15台から1.16台半ばに反発。ポンドも一時1.38台前半まで上昇したが、週末に向けては英国とEUとの北アイルランド議定書を巡る見解の不一致から「EU側が貿易協定破棄を検討」の報道もあり、1.37台に反落している。
「恒大集団が23日の利払い不能」との憶測が流れたが、結局支払いがなされてデフォルトは回避された。しかし系列会社の資産売却が難航しており資金繰りの改善の目途が立っていない。恒大グループトップの許家印主席は22日に不動産部門を大幅に縮小して新エネルギー車部門を強化して会社の存続を図る方針を示したが、今週も同社の株価動向と共に関連のニュースを注視する必要がある。
ドル円については、先週の本コラムで指摘したように“にわかロング”の造成が急ピッチであり先週末には113円台前半までの反落を見た。
ただ114円台で天井を確認して再び下方トレンドに戻ったと考えるのは妥当とは思えない。日米金融政策格差、日本の経済・財政ファンダメンタルズの悪化、ドル円需給、有名無実な安全通貨円神話など、多くの要因が依然としてドル円の上昇トレンドを支持している。今回の113円台への反落で、市場に溜まったドル円ロングの「ガス抜き」がかなり進んだと考える。(今週の予想レンジ113円-115円)

 

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―先週75セント台半ば、86円台近辺を付けて一旦天井確認か。ただ下値も押し目買いでサポートされ、大きな崩れはなさそう

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7378-0.7546  AUDYEN  84.27-86.01
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7300-0.7500  AUDYEN  83.00-86.00

先週豪ドルはシドニー地区に続くメルボルン地区のロックダウン解除や商品相場の続伸(CRB Indexは一時255台)を受けて75セント台半ば、86円近辺まで上昇したが、週末にかけては恒大集団のデフォルト懸念が一時高まったこともあり、豪ドル買いポジションの調整が活発化した。特にRSIが80%を超えていた豪ドル円は、ドル円の反落にフォローして84円台半ばまで反落した。
ビクトリア州のワクチン接種率が70%を超えたことで同州のロックダウンが解除されたが、同州の新規感染者数は依然高止まりしており、収束したとは言い難いことも心配材料。
また中国経済の減速懸念は当然豪ドル悪材料であるが、週末にかけては市場に溜まった買いポジションの調整も進んでおり、74セント台、84円台中心に暫く揉んで次の方向性を模索することとなろう。
ただ足元の世界的な株高・リスク選好地合が続く限り商品相場が大きく崩れることも考え難く、年末にかけては資源会社の来年度の輸出カバー(豪ドル買い需要)もあることから、豪ドルもある程度の堅調地合を維持するだろう。

 


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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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