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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)31 January 2022

31 January 2022

◎<主なイベント>

31日(月)
日銀議事録(2011年7-12月開催分)
ユーロ圏GDP速報値(第4四半期)
サンフランシスコ連銀総裁、講演
ブルームバーグNEFサミット(1日まで)
中国市場は春節(旧正月)で休場(7日から取引を再開)
1日(火)
日本雇用統計(12月)
NZ雇用統計(第4四半期)
豪小売売上高(12月)
豪中銀政策金利
インド政府予算案発表
米ISM製造業景気指数(1月)
香港市場は春節(旧正月)で休場(4日から取引を再開)
2日(水)
米ADP雇用者数(1月)
OPECプラス閣僚級会合
3日(木)
トルコ消費者物価指数(1月)
ECB政策金利、ラガルドECB総裁記者会見
英中銀政策金利、金融政策報告、ベイリー英中銀総裁記者会見
米ISM非製造業景気指数(1月)
米上院銀行委員会、FRB銀行監督担当副議長指名承認公聴会開催
4日(金)
GPIF、2021年度第3四半期の運用状況公表
ECB専門家予測調査
カナダ雇用統計(1月)
米雇用統計(1月)
北京冬季五輪開幕(20日まで)

◎<マーケットの焦点>――リスク回避ドル買い優勢だが、米株は下げ止まりか?

先週は前週からのリスク回避ムードが続き、特にタカ派的内容が予想されるFOMCを控えて株式市場に緊張感が高まった。
FOMC
は予想通りのタカ派色が強い内容だった。
パウエル議長の発言「FOMC3月に利上げを行う考えを持っている」で3月の利上げ開始が決定的となった。また同議長の「全ての会合で利上げの可能性を排除しない」、「金利変更の幅についてはまだ決定していない」との発言から市場では「350bp利上げ、年内5回利上げ」の観測まで飛び出した。
ただ前週に大幅下落した米株式市場は、先週はむしろFOMCであく抜けした感があり、NYダウ、S&P500、ナスダックともに、前週末比ではややプラス圏で引けている。
今週は早くも金曜日に1月米雇用統計が発表されるが、今月のIMFの世界経済の下方修正見通し同様に、米経済初め主要国の足元の指標はやや軟調なものが目立つ。米国の1nfprも前月の大幅減速(+19.9万人)に続いて+17万人の低調な予想。
IMF
の世界経済見通しは昨年10月時点の+4.9%から+4.4%に下方修正され、米国4.0(5.2)、ユーロ圏3.9(4.3)、中国4.8(5.6)など軒並み下方修正された。例外は日本3.3(3.2)、とインド9.0(8.5)であるが、日本は成長レベルが元々他の主要国比低いとはいうものの、上方修正はかなり疑問。
今週も株価動向以外でもリスク材料が目立つ。
金曜日から北京冬季五輪が始まるが、果たして外交的な摩擦なしで無事終わるか?五輪期間中はウクライナ情勢の緊張も中断とも思えるが、その常識論を覆すようにロシアが新たな展開をする可能性もあると懸念する。また今年7度目と異常な頻度で行われる北朝鮮のミサイル実験含む地政学的懸念もリスク要因であろう。
また今週はECBBOE両理事会が開催されるがBOEの年内2-3回の利上げ観測に対してECBはウクライナ情勢も背後にあり慎重姿勢を継続するだろう。
株価の下落に歯止めがかかり、米金利の先高観が強まる場合には、ウクライナの地政学的懸念及びECBのハト派姿勢でユーロ安が更に進行し、ユーロ安がドル全面高をリードする可能性があるだろう。
週初強かったドル円の先安観はFOMCで一気にリバースされて再び115円台に乗ってきたが、今回の安値は113円台半ばと限定的であり(110円割れを見る向きもあった)為替市場の常識である「安全通貨“円”神話」が崩壊しかかっていると感じざるを得ない。その背景には日本の貿易黒字の減少とかつての“円キャリートレード”に関わる円売りポジションの不在による「潜在的な円買い需要の激減」がある訳で、時々訪れる円買い圧力はむしろ“投機的ポジション造成”の動きであり、係る投機的なポジションは早晩巻き戻されることを忘れてはなるまい。
ドル円の下落は投機的な売り仕掛けによるものと考える。

 

 

 

◎<豪ドル相場>

再び売り圧力

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6967-0.7187  AUDYEN  80.36-82.15
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6900-0.7200  AUDYEN  79.50-82.50

先週豪ドルは米ドルが全面高となる中、69セント台半ばと2020年6月以来の安値まで下落。対円ではドル円の115円台への上昇と相殺しながら、80円台前半まで軟調推移した。
商品相場(CRB Index)は268台まで続伸し、原油価格も86-87ドル台で堅調だが豪ドルサポートとはならず。
主要国の株価が軟調推移し、また世界的にコロナの感染拡大が止まらず、世界経済への懸念が高まりつつあることも豪ドルへの売り圧力となっている。
今週のRBA理事会では量的緩和の縮小(テーパリング)に関する議論がなされる可能性はあるが、金融引き締めの順位は日本を除く主要国間で最下位であることには変わりない。係る主要国との金融政策格差も豪ドル安材料視される。
IMFの世界経済見通し関する下方修正に加えてウクライナ問題など地政学的懸念や北京五輪開催に関連した外交的摩擦の可能性など、政治・経済面でのリスク要因が浮上している状況下で米ドル高地合となっており、足元豪ドル安材料が目白押しと言わざるを得ない。
既にRSIが30%割れとかなりoversoldの域に入ってきているが、70セント台回復が覚束ない場合には、一段の下げの可能性が出てくるだろう。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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