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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)

4 April 2022

◎<主なイベント>
4日(月)東証市場区分を「プライム」「スタンダード」「グロース」に再編、トルコ消費者物価指数(3月)、ベイリー英中銀総裁講演、ユーロ圏財務相会合
5
日(火)RBA政策金利、米ISM非製造業景気指数(3月)、ブレイナードFRB理事講演、EU財務相理事会
6
日(水)米FOMC議事録(3月15日-16日開催分)、米下院エネルギー商業委員会ガソリン価格に関する公聴会開催、「ビットコイン2022」(マイアミ、9日まで)
7
日(木)日本景気動向指数(2月)、野口日銀審議委員講演、ECB議事録(3月開催分)、セントルイス連銀総裁講演、アトランタ連銀総裁講演
8
日(金)カナダ雇用統計(3月)、ロシアGDP(第4四半期)
10
日(日)、仏大統領選第1回投票


◎<マーケットの焦点>――今週120円台がサポートさればドル円一段高へ

先週は為替相場、特にドル円が振幅し、一時20154月以来の125円台を付けた。株価は米株中心に上げ幅を縮小しつつも3月中旬からの堅調地合いを継続した。ウクライナ情勢ではトルコが仲介した停戦協議がトルコで実施され、停戦への期待も高まったが、ロシア軍のキーウからの後退も“撤退ではなく補給や東部地区への展開の変更”という見方が有力視され、依然として市場は停戦には懐疑的だ。
ただ再び113ドル超えまで反発していた原油価格が結局100ドルを割って越週するなど停戦期待はまだ失われていない。
先週は本邦の新期がスタートしたがドル円は一時125ドル台まで急上昇。この1月で10円を上回る上昇と、昨年の値幅約13円近くを上げたことになる。
日本の貿易赤字体質への需給の変化が円安の根底にあるが、日米の金融政策格差も大きな要因。FF金利が年内2%程度への上昇が見込まれる一方、日銀はイールド・カーブ・コントロール死守のため10年物国債の暗黙の上限となっている0.25%で無制限に買い入れる「指値オペ」を3/28日以降月末まで連日実施し、ドル円の急上昇を招いた。しかし火曜日以降は政府筋からの急激な円安に対するけん制発言が相次ぎ、121円台に反落するなど乱高下。結局金曜日の予想を上回る強い米3月雇用統計を受けて123円台まで反発した後122円台半ばでの越週となった。
3
月米雇用統計はnfprの伸びは予想範囲内の43.1万人に収まったが、前月分が+75万人に上方修正され、失業率も予想を下回る3.6%まで改善。平均時給や労働参加率も改善するなど総じて強い結果となり、5月の50bp利上げ観測をサポートする内容となった。
今週もウクライナ情勢及び米金利動向が焦点となるが、週末にはウクライナ政府当局が、同国軍がキーウ州全体をロシア軍から奪還したと発表し、またトルコにおいてウクライナ・ロシアの首脳会談が近々開かれるとの観測が高まっている。
戦火及びウクライナの一般市民の犠牲者数が更に拡大している現状、簡単に和平合意に至る可能性は低いと考えるが、ロシア国内での反プーチン運動も併せてクロスウオッチが必要であろう。先週実施されたロシアの独立系世論調査会社レバタ・センターの調査結果では、ウクライナ侵攻後プーチン大統領の支持率が83%と侵攻前から12ポイント上昇していると報じているが、俄かには信じがたい。情報操作か?
中長期的にドル円ブルの筆者ではあるが、さすがに短時間での125円までの上昇には過熱感を感じざるを得ない。一方調整によっても“従来の大天井”である120円台を割り込まないのであれば、いよいよ120円をボトムにした中長期的な上方“レンジシフト”が確認される。
「今週120円台がサポートされるか否か」は今後のドル円相場を占う上で極めて重要であろう。

◎<豪ドル相場>

依然ブルセンチメントだが高値警戒も

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7456-0.7540  AUDYEN  90.76-94.31
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7300-0.7600  AUDYEN  90.00-94.00

先週豪ドルは最高値75セント台半ばからはやや反落したが、依然として74セント台を維持。一方対円ではドル円の乱高下を受けて94円台から一時90円台まで反落したが、91円台後半を回復して越週した。
豪ドルはウクライナ情勢を受けた原油価格にフォローしてアップダウン。原油価格は一時113ドルレベルを回復したが、結局停戦期待の高まりを受けて100ドル台を再度割り込んで越週した。
29日に発表された「2022/23連邦予算案」は、成長見通しを昨年12月のMYEFO(年央財政見通し)時の予想値3.5%に据え置く一方、財政赤字幅は予想より改善されるとの見通しを示した。
・2022-23GDP予想値3.5%
・2022-23 財政赤字780億豪ド
・失業率2022 Q3 3.75%に低下
・純債務2026年6月33.1%でピークアウトと予想
・鉄鉱石価格2022年Q3 55ドルに低下と予想
現在150ドル近辺の鉄鉱石価格が大幅に下落する予想となっており、これは税収=財政収支にも大きく影響するものとして注視したい。
コロナ以前は3月末の本邦期末には本邦機関投資家中心に豪ドル債投資収益や償還玉の円転(リパトリ)により豪ドル円が軟調推移するのが常であったが、そもそも先例を見ない豪ドル低金利環境で投資熱は冷めきっていること、更にはドル円の急上昇を受けて今年の期末は豪ドル円の大きな崩れはなかった。
ウクライナ情勢が不透明な現状豪ドルは引き続きアップダウンが予想されるが、特に対円ではボラタイルな展開が予想される。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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