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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)9 May 2022

9 May 2022

◎<主なイベント>
9日(月)中国貿易収支(4月)、日銀議事録(3月17日-18日開催分)、
香港市場は仏誕節振替休日のため休場
10
日(火)豪州小売売上高(第1四半期)、ドイツZEW景況感指数(5月)、アトランタ連銀総裁講演、欧州復興開発銀行(EBRD)年次総会(12日まで)
11
日(水)中国消費者物価指数・生産者物価指数(4月)、米消費者物価指数(4月)、アトランタ連銀総裁講演
12
日(木)イギリスGDP速報値(第1四半期)、米生産者物価指数(4月)、日銀主な意見(4月27日-28日開催分)、メキシコ中銀政策金利、OPEC月報、G7外相会合(14日まで)、バイデン米大統領東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳と会談(ワシントン)
13
日(金)米輸入物価指数(4月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数(5月)


◎<マーケットの焦点>―ドル円は130円台回復―しかし130円を巡る攻防が暫く続きそう

先週は「ドル円は130円台で天井か?今週が試金石」と題したが、結果的にドル円は終値130.54130円台を死守した形。
週を通してドルは「反落→反発」し、ドルインデックスは金曜日に一時週高値の104台を示現(200212月以来の高値)。
主要国株価は前週末比で米株が若干マイナス、独DAX400ポイント以上の大幅下落、英国も100ポイント以上下落、日経のみ150ポイントのプラスで終わった。
ドル円は週間レンジが128.62-130.81であったが、文字通り七転八倒しての130円台回復となった。豪州、米国、英国で利上げが実施され、ややサプライズのRBA利上げ後豪ドルは一時72セント台半ばまで急伸したが、結局70セント台後半まで反落して越週。
FOMC
後ドル円は「sell on fact」で一時128円台半ばまで下落したが、結局130円台後半まで反発して越週。
BOE
理事会の声明における来年の“マイナス成長”予想がサプライズとなり、ポンドは理事会後一時1.22台後半まで下落した。
要は、一時的に豪ドルなど利上げ後自国通貨買い/ドル売りが活発化したが、結局は“振出しのドル高”に戻ったというところ。
先週の主要国政策金利は時系列的にRBA 0.1%0.35%FOMC 0.50%1.00%BOE 0.75%1.0%の利上げが行われたが、FOMCBOEは市場予想通り。
RBA
5/21の総選挙後の6月利上げ説もあったがややサプライズの利上げであった。
3
中央銀行共に共通しているのは、1)今後更なる利上げが適切と述べたことと
2)
同時に行き過ぎた金利先高観をけん制し引き締めによる景気後退を懸念を表明したこと。
RBA-利上げのスピード゙についてはオープンマインド、豪州のインフレ見通しは他の国ほど深刻でない
・パウエル議長―0.75%の利上げは積極的に検討しているものではない
BOE2023年の成長率は▲0.25%と予想

いずれにしてもドル円は前週の、20024月以来の高値131円台から先週は一旦128台まで反落したが、結局130円台を回復した。
130
円台をアップアップとみるか?あるいは一時遠ざかった130円台を再度回復したのをトレンドの底流とみるか?
自分としてはやはり“後者”であり、128円台への反落は「適正なガス抜き」であって、この“二歩前進一歩後退”は健全な上昇トレンド構築とみたい。
今週も130円台を挟んだアップダウンで徐々に130円台を地固めするとみる。

◎<豪ドル相場>

豪ドルは依然下値圧力強いが、再度70セント台で底値確認か?

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7030-0.7266  AUDYEN  91.49-94.02
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7000-0.7300  AUDYEN  91.00-94.00

先週豪ドルはRBAのややサプライズな利上げ発表後、理事会声明が今後の継続的な利上げ(今年年末予想レベル1.50-1.75%)の可能性を示したことから一時72セント台半ば、94円台前半まで上昇したが、結局買い続かず、強めの米4月雇用統計発表後は70セント台後半、92円台前半まで反落して越週した。
“ややサプライズな利上げ”と言ったのは「5/21の総選挙を控えて利上げは6月にずれ込む」との一部観測があったためであるが、会見で
ロウ総裁は「総選挙は政策金利の結果に影響していない」とわざわざ言い訳(?)してくれた。
年初来の執拗な文言「2024年まで利上げなし」は一体何だったのか?経済分析の非を認めるわけでもなく、涼しい顔で「(コロナの)暗黒時代に示されたガイダンスより利上げは前倒しされた」の一言、、、いつもながらの豹変ぶりであった(汗)。
豪ドル反落は、結局今後の利上げ幅や期間という点で米国が勝ると判断されたためで、積み上がった豪ドル買いポジションが週末を控えて調整されたということだろう。
発表された指標(いずれも3月の指標)は小売売上高が+1.6%(予想+0.6%、前回+1.8%)、住宅建設許可件数-18.5%(予想-15%、前回+43.5%)とちぐはぐだったが、貿易収支はエネルギー価格に代表される商品相場の堅調を受けて+93.14億豪ドル(予想+85億ドル、前回+74.57億豪ドル)と大幅黒字であった。
先週金曜日に発表されたRBAの“四半期金融政策報告書(SOMP)”では、RBA理事会声明同様に「今後更なる利上げが必要になる。政策金利は今年Q4に1.75%、来年末には2.5%」と予想しているが、一部の専門家は「急速な利上げを受け豪経済がリセッション入りする可能性がある」と指摘している。
ただ足元は商品相場の堅調もあり、依然として70セント台、あるいはオーバーランして70セント割れがあれば「絶好の買い場」とのスタンス。
特に対円ではドル円が130円上を維持する場合には、再度95円台に向けて上昇する可能性があるだろう。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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