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今週の為替相場見通しby joe Tsuda(津田 穣)2 August 2022

1 August 2022

◎<主なイベント>
8月1日(月)中国財新製造業PMI(7月)、米ISM製造業景気指数(7月)、ウェートのハイサム・ガイス氏がOPEC事務局長に就任
2
日(火)韓国消費者物価指数(7月)、豪中銀政策金利、米自動車販売(7月)、
米求人件数(6月)、シカゴ連銀・セントルイス連銀総裁講演、米共和党全国委員会(RNC)夏季会合(5日まで)、米中間選挙予備選(アリゾナ州、カンザス州、ミシガン州、ミズーリ州、ワシントン州)
3
日(水)NZ雇用統計(第2四半期)、豪州小売売上高(第2四半期)、スイス消費者物価指数(7月)、トルコ消費者物価指数(7月)、ユーロ圏小売売上高(6月)、米ISM非製造業景気指数(7月)、OPECプラス閣僚級会合
4
日(木)ECB経済報告、英中銀政策金利―ベイリー英中銀総裁 記者会見、テスラ年次株主総会、クリーブランド連銀総裁講演、米中間選挙予備選(テネシー州)
米保守政治行動会議(CPAC)(7日まで)―トランプ前米大統領講演の予定
5
日(金)日本景気動向指数(6月)、カナダ雇用統計(7月)、米雇用統計(7月)、プーチン露大統領―エルドアン・トルコ大統領 会談
7
日(日)中国貿易統計(7月


◎<マーケットの焦点>―ドル円139台↓131台!!(汗)

先週はドルが続落し、円高・ドル安相場となった。
リスク回避色にもかかわらず主要国株価は前週に続き堅調推移したが、ウクライナ戦争長期化によるエネルギー価格の高止まりから世界的な景気後退懸念が強まった。
独へのロシア産ガス供給削減は独のみならずEU諸国への大きな足かせになりつつある。前週発表された欧米の一連のPMIの悪化が影響し、また伊の政局不安から米格付け会社が伊債格付け見通しを引き下げるなど、ユーロ悪材料も健在。しかし前週末の米7月サービス業PMI47.0のインパクト大きく、FOMCでの1%利上げ観測が大幅後退し、実際に利上げ幅は75bpに留まった。
会見でパウエル議長が「ある時点から利上げを抑制することが適切」と発言したことや、翌日発表された米Q2GDPが予想外の-0.9%となり、米国がテクニカル・リセッションに陥ったこと(金融当局はリセッション入りに否定的)からここまでの日米金利差拡大シナリオの修正を余儀なくされた。
ここまでの「米大幅利上げ継続観測の後退」の読みは当たり、当然のことながら、最大限にギアアップした米金利先高観に裏付けされたドル高に最大の調整が入っている状況。特に先週発表された米住宅関連指標(5月住宅価格指数、5月ケースシラー住宅価格、6月新規住宅販売件数、6月住宅販売保留指数)は軒並みダウンしている。エネルギー・資源価格の高騰、人手不足、住宅ローン金利上昇の「三重苦」状態であり、今後さらに米景気の足を引っ張る可能性があり要注意!
本日(8/1)ドル円は米7月製造業ISM発表後に131円台まで続落している。52.8は予想をやや上回るも2年ぶりの低水準。そして新規受注の続落、雇用は依然50を下回る、在庫拡大など景気後退に対する懸念を浮き彫りした形となった。
「ドル高の調整、しかしドル円の下値は限定的」との読みでいたが、相場は常にover-runするもの。ドル円は高値139円台から131円台へ、2週間余りで約5%下落したことになる。ただ、かつて長らく続いた円高相場にあって、時折見られたドル円の急上昇が短命で終わったように、円安トレンドに既に転換した足元の相場において、「投機的な円買い」はいずれ巻き戻され、新たなドル円上昇へのリバウンドとなると考える。

◎<豪ドル相場>

ドル安を受けた豪ドル反発にも自ずと限界あり

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6878-0.7031  AUDYEN  92.86-95.69
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6800-0.7100  AUDYEN  91.00-95.00

ドル高修正局面で豪ドルのリバウンドは予想したが「70セント回復は容易ではない」との読みであった。しかしウクライナ戦争に解決の糸口が見ない中、また中国7月PMIが再び悪化する中、豪ドルは70セント台に乗せてきた。そして「堅調維持」と予想した豪ドル円は、さすがにドル円139台→131台の大幅調整の過程で、92円台半ばまで軟化している。
「米ドルの受け皿」としての豪ドルの立場から言えば、ドル軟調地合にあっての豪ドルのリバウンドは至極当然の成り行き。
ただ世界経済の先行き懸念が日増しに大きくなる状況下では根本的な豪ドル高につながるものではない。
今週は恒例の「月初の豪ドル週間」でRBA理事会、RBAの四半期金融政策報告書、そして各種国内経済指標が発表される。
RBA理事会では政策金利を1.35%→1.85%に利上げ予想が主流だが、パンデミック前の政策金利レベルが0.75%であったことや、米金利先高感に陰りが見られることから、RBAの利上げ速度も早晩減速せざるを得ないだろう。
足元豪ドルは、米ドル安の恩恵を受けると同時に、70セント超えでは“豪ドルを取り巻く種々の悪材料”が上値を重くする展開が予想される。
豪ドル円の反発にはドル円の底値確認が必要条件となる。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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