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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)15 August 2022

15 August 2022

◎<主なイベント>
15日(月)日本GDP速報値(第2四半期)、中国小売売上高・鉱工業生産・新築住宅価格(7月)、米NY連銀製造業景気指数(8月)
16
日(火)、豪中銀議事録(8月2日開催分)、ドイツZEW景況感指数(8月)、ユーロ圏ZEW景況指数(8月)、カナダ消費者物価指数(7月)、米住宅着工件数(7月)、米中間選予備選挙(アラスカ州、ワイオミング州)
17
日(水)、NZ中銀政策金利、英消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数(7月)、米小売売上高(7月)、米FOMC議事録(7月26日-27日開催分)
18
日(木)豪雇用統計(7月)、トルコ中銀政策金利、米景気先行指数(7月)
米中古住宅販売件数(7月)、米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(8月)
19
日(金)日本消費者物価指数(7月)、英小売売上高(7月)


◎<マーケットの焦点>―ドル円はインフレ指標で下落も、安値からは反発

前週は予想より強い米7月雇用統計で135円台まで上昇したドル円は、先週は予想を“やや”下回るCPIPPIの伸び鈍化を受けて131円台後半まで大幅に下落後、結局133円台を回復して越週。
前週反落した米株式は、先週はインフレ緩和傾向を好感して再び反発し、ナスダックは約4カ月ぶりに13,000ドルを回復している。
ウクライナ情勢に大きな改善はないものの、原油価格は90ドル台で落ち着きを見せており、インフレ緩和期待と共に市場のリスク許容度が増加した。
最近のドル円の動きを見ると、基本的にドル円上昇を見る向きが増えつつあるのは確かで、前週の強い米雇用統計後は節目の135円台に乗せた。
しかし係る短期筋のドル円ロング・ポジションは、先週の予想を“やや”下回るCPIPPIでもろくもストップ・アウトされた。
ただCPI後(132円台→133円台)もPPI後(131円台→133円台)も大きく下げた後は必ず買い戻されている。ドル円ロングの投げや投機的な売り仕掛け一巡は、やはり根底に流れる円売り需要や円先安観が優勢になるということであろう。
一連のインフレ指数発表後の金融当局発言は、本来ハト派であるシカゴ連銀総裁の「インフレは受け入れがたいほど高い、利上げ終了とは思っていない、来年末にFF金利は4.0%」、ミネアポリス連銀総裁の「インフレ勝利宣言には程遠い、来年末にFF金利は4.4%」はむしろタカ派的ですらある。インフレピークアウトと断じるのはまだ時期尚早であろう。
ドル円は7月中旬に139円台を付けた後、8月初に130円台まで下落し、その後は131円台~135円台のレンジであるが、日本の巨額貿易赤字傾向(今年は過去最大の▲14兆円程度が予想される)が定着しつつある中、円の実力として139円台はさすがにやや過小評価であったが、実力の低下が続き円の上値が切り下げる(円安トレンド)トレンドが続くだろう。
ドル円はジリジリ上げて、時折先週のように調整反落する展開が続きそうだ。

◎<豪ドル相場>

リスク選好の動きで重要レベル70セント、95円を再び超える

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6898-0.7136  AUDYEN  93.20-95.15
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6900-0.7200  AUDYEN  93.00-97.00

豪ドルは先週の読み:「ウクライナ情勢の好転なしに70セント台、95円台を抜けるのは難しい」は外れ、71セント台前半、95円台前半まで上伸した。
ウクライナ情勢は小康状態にあるものの、原油価格が90ドル台で落ち着きを取り戻していることや、インフレ緩和期待から主要国の株価が堅調推移したことで、リスク動向に敏感な豪ドルが買い戻された格好だ。
また発表された中国の7月貿易収支が過去最大の黒字幅(1,000億ドル超)となったことも豪ドルフェイバーに働いた。
ただ根本的なウクライナ危機の終結やインフレ・ピークアウトが確認されない限り、豪ドルの反発も、調整の域を出ないだろう。
今週発表予定の豪州7月雇用統計は、就業者数が前月の爆発的な増加8.84万人から2.65万人増加に落ち着く予想だが、失業率は引き続き3.5%の低水準を維持する予想である。
RBAは7月以降もインフレ率は上昇し、また失業率も来年にかけて再度増加すると予想しているが、果たして依然として労働市場の好調を維持するのか?
豪ドルの71セント乗せは「ドルの軟調の裏返し」の面もあり、米ドルが再び堅調に転じれば、今の豪ドルの実力では71セント台は維持できないだろう。
一方対円ではドル円が再び上昇トレンドに乗れば95円台を上回るレベルが期待できる。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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