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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)22 August 2022

22 August 2022

◎<主なイベント>
22日(月)中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート 1年・5年)
ロリー・ローガン氏ダラス連銀新総裁に就任
23
日(火)フランス製造業PMI速報値(8月)、ドイツ製造業PMI速報値(8月)、ユーロ圏製造業PMI速報値(8月)、英国製造業PMI速報値(8月)
、米国製造業PMI速報値(8月)、米リッチモンド連銀製造業指数(8月)
、ミネアポリス連銀総裁講演、米中間選挙予備選(フロリダ州、ニューヨーク州)
24
日(水)米耐久財受注(7月)、米7月住宅販売保留指数
25
日(木)NZ小売売上高(第2四半期)、韓国中銀政策金利、ドイツIFO景況感指数(8月)、米GDP改定値(第2四半期)、米ジャクソンホール会議(27日まで)
26
日(金)ドイツGFK消費者信頼感(9月)、米個人所得支出(7月)、パウエルFRB議長ジャクソンホール会議で経済見通しについて講演
27
日(土)中国工業企業利益(7月)


◎<マーケットの焦点>―ドル円上昇の第二波

前週はドルが上昇した。ドルインデックスは週初の106台から金曜日には108台ま上昇。ドル円は一時137円台を付け、ユーロは再びパリティー割れ目前(1.00台前半)に、ポンドは1.18台に下落した。また豪ドルはドル全面高地合の中、中国7月の弱い指標(小売、鉱工業生産)も重石となり、68セント台半ばまで下落している。
前週反発した米国はじめ主要国の株価は、先週は上げ止まりからやや反落。
ウクライナ情勢は小康状態ながら原油価格が90ドル前後で比較的落ち着いた動きだが、欧州でのガス供給懸念は依然として深刻だ。
発表されたFOMC議事録では、メンバーの多くが必要以上に引き締めるリスクを認識し、いずれ利上げペースが遅くなるとの見方をしていることが判明した。
市場は一時ドル売りで反応したが、その後のFRB地区連銀総裁たちの発言から積極的利上げ支持の姿勢は変わらず、週末に向けて再び米債利回り上昇・ドル買いが活発化した。
自分も7月時点では、米国のインフレと景気減速両方の懸念から、利上げペースのスローダウン→ドルの天井感を意識した。確かに7月に109台まで上昇したドルインデクスはその後105台まで反落した。しかしインフレ/景気減速の板挟みは主要国共通の悩みであり、むしろ経済のスケールメリットを有する米国に軍配が上がるのか??最近のドルの反発を見ると、米国発の材料と言うよりはむしろ欧州(含む英国)と中国経済後退懸念に根ざしており、消去法的にドルが買われているとも考えられる。
英欧でガス危機や景気減速懸念が強まり、一方中国経済は不動産バブルの崩壊懸念に加えて、厳しいゼロコロナ政策の影響が指標に表れつつある。
米国7CPIPPIの伸び鈍化から一時ドル円は131円台まで反落したが、再びインフレ圧力の上昇リスクも指摘され足元137円台まで反発した。
繰り返しになるがドル円の長期ビュー(240円台から75円台までの下落の半値戻しである150円台をターゲットとする)を念頭に置きつつ、ドル円買いポジションの溜まりやすい状況に対応する(ロングの持ちっ放しは危険!)必要がある。
足元のドル円上昇は、係るドル全面高地合に加えて、何度も指摘している円固有の悪材料(巨額貿易赤字、日銀が利上げできない理由(作為不作為)、地政学的懸念等)のダブルパンチを受けている状況だ。
市場の次の焦点は8/26のジャクソンホール会議におけるパウエル議長の発言だ。
同議長の最大優先事項はインフレ抑制であり、この姿勢は11月の中間選挙まで変わらないだろう。(パウエル議長は本来共和党員だが、トランプ前大統領の“いじめ”以来、超党派で自分を支持してくれるバイデン大統領への忖度が働く?!)
パウエル議長は「インフレを封じ込めるためであれば景気の減速をいとわない」姿勢であり、結果として年内(少なくとも中間選挙まで)金利高=ドル堅調の構図は崩れはないと考える。
ドル円は早晩前回高値139円台を抜いて第一関門である140円をテストすると見ている。

 

◎<豪ドル相場>

71
セント台はやはり分不相応

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6859-0.7125  AUDYEN  93.070-95.06
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6750-0.7050  AUDYEN  93.00-97.00

先週のこのブログで「豪ドルの71セント乗せは“ドルの軟調の裏返し”の面もあり、米ドルが再び堅調に転じれば、今の豪ドルの実力では71セント台は維持できないだろう」と述べたが、この見方は正しかったようだ。
豪ドルは月曜日の高値71セント台、95円台から一方方向に68セント台まで下落。対円ではドル円の反発もあり、一旦93円台まで下落後、94円台に反発している。
豪ドル下落の最大の要因は「ドルの全面高」であるが(豪ドルは米ドルの受け皿)、月曜に発表された中国7月の小売売上高、鉱工業生産が共に予想を下回り、加えて新築住宅価格の下落が止まらないなど、中国の景気の先行き懸念が高まり豪ドル売り材料となった。
また発表された7月の雇用統計で失業率は3.4%(前月3.5%)に改善したものの、就業者数が+2.5万人の予想に対して-4.09万人に減少したことも、ブレの激しい指標(サンプル集計の偏りなど)とは言うものの、豪ドルの地合いを更に悪化させた。
豪州では7月以降光熱費の大幅値上げや住宅融資金利の引き上げなどが実施された。
Q3以降の更なるインフレ率押し上げ要因が多く、家計へのしわ寄せが懸念される。(Q3のインフレ率は確実にQ2を上回ると予想される)
繰り返しになるがウクライナ問題終結による世界経済回復期待がない限り豪ドルの反発はショートカバーの域を出ない。
加えて足元ドルの全面高が続くのであれば、豪ドルは一段安の可能性があるだろう。
対円ではドル円が再上昇する場合には対ドルと比較して下げ速度は遅くなるであろう。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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