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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)17 October 2022

10 October 2022

◎<主なイベント>
17日(月)NY連銀製造業景況指数(10月)、EU外相会合
18
日(火)中国GDP(第3四半期)、中国鉱工業生産・小売売上高(9月)、豪中銀議事録(10月4日開催分)、ドイツZEW景況感指数(10月)、ミネアポリス連銀総裁/アトランタ連銀総裁講演
19
日(水)中国新築住宅価格指数(9月)、英消費者物価指数・生産者物価指数(9月)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、安達日銀審議委員講演、マン英中銀委員講演、カンリフ英中銀副総裁講演、セントルイス連銀総裁/ミネアポリス連銀総裁講演、APEC財務相会合
20
日(木)豪州雇用統計(9月)、中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート 1年・5年)、トルコ中銀政策金利、ウクライナ中銀政策金利、米景気先行指数(9月)、EU首脳会議、クックFRB理事/ボウマンFRB理事/ジェファーソンFRB理事/
シカゴ連銀総裁/セントルイス連銀総裁講演
21
日(金)日本消費者物価指数(9月)、日銀金融システムレポート(10月)、
ユーロ圏消費者信頼感指数(10月)、全国信用組合大会開催―黒田日銀総裁と鈴木財務相が出席、NY連銀総裁講演

◎<マーケットの焦点>―今週150円の上か下かの決着がつく
先週ドル円は19908月以来となる148円台後半まで続伸してそのまま高値引けした。
9/22
の日銀の24年ぶりの円買い介入で145円台から一時140円台に急落したが、
その後介入のフォロースルーはなく、介入後1週間で145円台をクリアし、先週は更に続伸する結果となった。先週発表された9月の米PPICPIが共に予想を若干上回り、年内後2回のFOMCでのそれぞれ75bp利上げを織り込む形で米10年債利回りは4%台に乗せ、ドルインデックスは再び113台を回復してドル高が進行した。
先週ドル円は正に“一日1円ずつ”大台を変えて着実に上昇し、「急激な上昇を阻止する」という政府・日銀の介入スタンスの裏をかくような上昇パターンであった。
その間BOE14日で長期債の一時購入措置を終了したが、その後も流動性支援措置を継続すると表明し、また週末にはクワーテンク゛財務相を更迭したことでポンドを巡る不透明感が払拭され、ポンドは1.10台から一時1.13台まで急反発したが、ミシガン大学消費者信頼感の強い数字を受けて結局引けは1.11台後半となった。またユーロも一時0.98台を回復したが引けは0.97台前半となり、ドル高地合継続で越週した。
ワシントンG20会議に出席中の神田財務官は「過度の動きが繰り返される場合には断固たる行動を取る」と発言し現状を“激しい動き”と認識していると補足した。
一方週末にバイデン大統領は「ドル高を懸念していない、米経済は力強い」と発言。米ドル高けん制に終始したトランプ前大統領との違いは際立っている。
今週日銀の追加介入が入らない場合にはいよいよ150円の大台をテストする動きとなるだろう。足元のドル円上昇はドル全面高地合における上昇であり、円の独歩安ではない。またドル円上昇は極めてロジカルな動きであり、阻止できるのは介入だけという状況だ。(詳しくは本日リリースされるセントラル短資FX社の“マーケットビュー”の拙著をご覧いただきたい)。
かつて邦銀や外銀在籍中に日銀介入の対象行となり何度かお手伝いしてきたが、今回の介入が9/22の単発で終わる場合には、極めて異例であり当局の真意を測りかねる。おそらく「24年ぶりに介入を実施した」というプロパガンダが必要であったわけで、物価高騰を阻止するための押し下げの意図など元々なかったのであろう。
しかしながら、ドル円のレベル押し下げを意図しない“うわべだけの介入”は「円安の火」に油を注ぐだけの結果となるだろう。
いずれにしても今週追加介入が出ない場合には150円を突破する動きとなるであろう。

◎<豪ドル相場>

ドル全面高が続く限り豪ドルは軟調推移

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6170-0.6382  AUDYEN  90.84-93.55
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6000-0.6500  AUDYEN  89.00-95.00

先週豪ドルはドル全面高となる中、2020年のパンデミック以来となる61セント台、90円台まで下落した。金曜日にはポンドやユーロの急反発を受けて一時63セント台半ば、93円台半ばに反発したが、同レベルを維持できず結局安値圏で越週した。
今月のRBA理事会での利上げが25bpに留まったことは、消費者信頼感をやや改善させたがむしろ景気減速懸念を助長させた。
また一時120ドル台に急騰した原油価格が90ドル台を割り込んで落ち着いた動きとなっているのは世界経済にとって好材料であるが、むしろ世界的な景気減速懸念から商品相場全体が軟調推移していることも豪ドルの悪材料。
今週木曜日には9月の豪州雇用統計が発表されるが、予想は失業率3.5%(前回3.5%)、就業者数+2.5万人(前回3.35万人)と引き続き労働市場の堅調な数字が予想される。しかし消費者信頼感は1990年代初頭の景気後退期(リセッション期)以来の低水準(指数80台)に低下しており、豪経済に対する悲観的な見方は根強い。
豪ドルの61セント台は明らかにoversold(売られ過ぎ)状態であり、過去の例から言えば60セント割れは“非常に深刻なリスク回避局面”であり、現在がその状態とは言えないが、ドル高トレンドが転換しない限り本格的な豪ドルの底入れとはならないだろう。対円ではドル円の乱高下が予想され、豪ドル円も翻弄されることとなろう。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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