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今週の相場のポイントby Joe Tsuda(津田 穣)14 November 2022

14 November 2022

◎<主なイベント>
14日(月)黒田日銀総裁金融経済懇談会に出席、EU外相理事会、米中首脳会談、OPEC月報、ブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム(17日まで)
15
日(火)日本GDP速報値(第3四半期)、中国鉱工業生産・小売売上高(10月)、ドイツZEW景況感指数(11月)、ユーロ圏ZEW景況感指数(11月)、米生産者物価指数(10月)、NY連銀製造業景気指数(11月)、EU外相理事会、バーFRB副議長院銀行委員会で証言、トランプ前米大統領重大発表、G20首脳会議(16日まで)
16
日(水)豪州四半期賃金指数(第3四半期)、中国新築住宅価格(10月)、英消費者物価指数(10月)、米小売売上高(10月)、ECB金融安定報告、ラガルドECB総裁講演、NY連銀総裁とSEC委員長米国債に関する会議参加
17
日(木)豪州雇用統計(10月)、英秋季財政報告、米住宅着工件数・建設許可件数(10月)、フィラデルフィア連銀景況指数(11月)、クリーブランド連銀総裁・ミネアポリス連銀総裁・ジェファーソンFRB理事講演
18
日(金)日本消費者物価指数(10月)、ラガルドECB総裁講演、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(19日まで)
週内 日中首脳会談


◎<マーケットの焦点>―中長期的にはドル全面高から円全面安へ、
足元はドル高調整が続く

<ポイント>
・先週はドルが大幅に下落した。ドル円147円台→138円台。ユーロ0.99台→1.03台、ポンド1.12台→1.18台、豪ドル63セント台→67セント台など。
10月米CPIが今年の2月から8カ月ぶりに8%を割り、インフレにピーク感が出て米金利が大幅低下したことが主因。
・前週のFOMCでは75bpの利上げが行われたが、利上げペース鈍化の観測や、ターミナルレート引き上げ観測など様々な見方が交錯していた。また10月雇用統計ではnfprが予想を上回る一方、失業率は前月の3.5%から予想を上回る3.7%に悪化していた→前週からドル売り反応が出ていたがCPIがダメ押し。
・米財務省の外国為替報告書で日本を為替操作国認定しなかったことも円買いを助長。
・米中間選挙では下院で共和党が優勢だが上院では拮抗しており、まだ議席数は定まっていない。市場では2024年の大統領選委にはトランプ氏・バイデン大統領両氏の再出馬が取り沙汰されている。(ドル相場への影響は今のところ定かではない)。
<今後>
・手前みそになるが長年のターゲットであるドル円150円を達成した後、追随型の市場ほど自分はドル円ブルではないことはご存じの通り。
・第一の理由はインフレ続騰、米金利青天井とでもいうべき市場の見方に賛同できず、いずれ金利相場も終わるとの考えがあったから。つまり一旦インフレがピークアウトすれば、次は景況不安が表面化するとの見方だ。
ただし景気減速懸念は主要国共通であり、その中で米国の相対的優位性に著変なし。買われ過ぎのドル買いポジションの調整が終わればいずれドルは底入れだろう。
・一方、ツィートなどで訴えているが、今回の日本にとっても何十年ぶりのインフレ率上昇局面で黒田総裁は頑なにインフレを認めず、千載一遇の利上げのチャンスを逸した。1%利上げすれば今後減速局面で再度利下げをするなど、金融政策に弾力性を持たせられたものを!!(Too late!
・今後世界経済が減速すれば日本の景気は、主要国の中で最大の減速をするだろう。当然硬直化した金融政策のサポートなど期待できるはずもない―いよいよ本格的な“日本売り=円売り”の始まり!
・暫くはドルロングの巻き戻しが続きドル円も続落して、政府日銀は留飲を下げることになる。
・しかし中期的(来年年央辺りまでには)には「ドル全面高から円全面安へのシフト」が着々と進むと考える。

◎<豪ドル相場>

「豪ドルは米ドルの受け皿」まざまざ―暫く乱高下が続きそう

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6386-0.6717  AUDYEN  92.61-95.20
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6450-0.6850  AUDYEN  90.00-95.00

先週豪ドルは対ドルで67セント台まで大幅に上昇し、対円ではドル円の下落勝り、92円台に軟調推移した。
正に「豪ドルは米ドルの受け皿」を地で行った展開となった。
ドルの対主要通貨大幅下落については上記の通りだが、いかに巨額のドルロングが市場に積み上がっていたかの証左ともいえる、“ストップロスと投機”の混合した一方的なドル売りであった。
相場が一旦壊れると豪ドル売り材料など完全に無視されるのが相場の怖い所。
やはり豪ドルショートポジションを閉じるためのストップロスの豪ドル買戻しのエネルギーすさまじかった。
今回の67セントまでの上げで一旦調整終了とも思えるが、油断は禁物。
相場はオーバーラン(行き過ぎ)するまで止まらない。
暫くは根っこの豪ドルショートポジションの手仕舞いと、値ごろ感の売り戻しで不安定な展開となるだろう。
商品相場や経済指標よりもドル相場の動向をフォーカスせざるを得ない。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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