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今週の相場のポイントby Joe Tsuda(津田 穣)28 November 2022

28 November 2022

◎<主なイベント>
11/28日(月)豪州小売売上高(10月)、ラガルドECB総裁講演、ウィリアムズNY連銀総裁・ブラード・セントルイス連銀総裁講演、EU外相理事会、G7司法担当閣僚会合、
米感謝祭翌週の月曜日「サイバーマンデー」大規模なオンラインセール実施
29
日(火)日本雇用統計(10月)、日本小売売上高(10月)、日本百貨店スーパー売上高(10月)、ドイツ消費者物価指数(11月)、米消費者信頼感指数(11月)、北大西洋条約機構(NATO)外相会合
30
日(水)豪州住宅建設許可件数(10月)、外国為替平衡操作実施状況(10月28日-11月28日)、豪州月次消費者物価指数(10月)、中国製造業PMI・非製造業PMI(11月)、フランス消費者物価指数(11月)、ユーロ圏消費者物価指数(11月)、米求人件数 (10月)、米ADP雇用者数(11月)、米GDP改定値(第3四半期)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、ボウマンFRB理事・クックFRB理事講演、パウエルFRB議長ブルッキングス研究所主催イベントで経済と労働市場に関する討論会に参加、ベルリン安全保障会議(BSC)、NYタイムズディールブックサミット
12/1
日(木)豪州民間設備投資(Q3)、中国財新製造業PMI(11月)、日本企業利益・売上高(第3四半期)、野口日銀審議委員講演
黒田日銀総裁アジア開発銀行研究所25周年記念式典で挨拶、中国財新製造業PMI(11月)、米自動車販売(11月)、米個人所得支出(10月)、米ISM製造業景気指数(11月)、ローガン・ダラス連銀総裁・ボウマンFRB理事・バーFRB副議長講演、米仏首脳会談、ミシェルEU大統領と中国の習近平国家主席が会談、欧州安全保障協力機構(OSCE)閣僚会合、インドがG20議長国に就任
2
日(金)黒田日銀総裁ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)主催イベントで挨拶、米雇用統計(11月)、ラガルドECB総裁講演、エバンス・シカゴ連銀総裁講演
4
日(日)OPECプラス閣僚級会合


◎<マーケットの焦点>―ドルは暫くアップダウン―「危険通貨円」の表面化は来年!

<ポイント>
・先週は前週のドル反発の揺り戻しが来た。
前週はブラード・セントルイス連銀総裁のターミナルレート引き上げ発言(5-7%レンジに!)やポーランドへのミサイル着弾がらみのリスク回避のドル買いが目立った。
・しかし先週は早くものその巻き戻し。発表された11月の米製造業PMIが予想を下回ったことや(独仏などは逆に予想を上回っていた!)、FOMC議事録で12月のFOMCでの利上げ幅縮小が示唆されたことがドル売り材料視された。
NZ準備銀行が予想通り75bp利上げを敢行し追加利上げを示唆したこと、更にはOECDの経済見通しで「ユーロ圏のインフレ抑制には市場予想以上の利上げが必要」との指摘が欧州通貨買いを誘った。
・案の定というか米国のインフレピークアウト感と利上げ幅縮小が取り沙汰され始め、代わって景気減速懸念がフォーカスされ始めた。
・しかしそれは“当然”で、米利上げが他国をリードしてきたためだ。
政策金利を見ても現在米国が4%に対して、ユーロ圏は2%、英国3%、豪州2.85%NZ4.25%、日本は引き続き-0.1%)。米国がターミナルレートに一番近く、遅れて利上げレースに参加した欧州やオセアニアとの金利格差が今後縮小するのは“自明の理”だ。しかし市場は目の前の事象にこだわる!
前にも述べたが利上げレース終了後の各国金利差は今よりも当然縮まっているはずだ。
・であれば足元の米国とそれ他国の金利差縮小はある程度割り引いて考えるべきであろう。いずれその他国にも景気減速が訪れるのは明らか。
20年以上豪州にいたが、相変わらず「日本では目立たないことが美徳」とされているようだ。
・その日本が今年一番目立った(脚光を浴びた)のは「24年ぶりの円買い介入」―それだけ、、(WCサッカーで独を破ったことを抜きにすれば、、笑)
・先進国のインフレ高騰の陰で、日本にとり「何十年ぶりのインフレ上昇率」も他の主要国の1/3~半分以下(汗)。
昨年の世界経済成長率6,1%、今年の予想3.2%、来年予想2.7%と大きくスイングする中、日本の成長率は昨年1.7%、今年の予想1.6%、来年予想1.6%―目立たない、生体反応に乏しい、、、
・日銀は日本の美徳”目立たないこと“に準じて金融政策の“変更”そのものを“悪し”として「変更そのものに億劫になっている」のではないか??
繰り返すが今回のインフレ高騰(3%台はデフレ日本にとって高騰!)をテークチャンスして日銀は1%程度の利上げをすべきだった(目をつむってでも)
しかし、今となっては「Too Late」である。
・来年1月の政府の物価支援策もあり来年Q1には政府の見通しでは日本のインフレ率は急減速するとのこと。日銀(黒田さん)にしてみれば「それ見たことか?!」であろうが「今回利上げ、将来下げる」ことの意義は金融政策正常化の観点からも計り知れないはずだ。“作為は無作為に勝る”、である。
・目立たないことが美徳の日本。しかし安全通貨円神話が崩壊した今、次に目立つのは「危険通貨円」と「日本売り、円売り」、、
その時ドル円は当然今回の150円台を大きく上回ることとなるであろう。
・悪役として再び円が脚光を浴びるまで、主役はもちろんドルであり、脇役の円はドルの裏通貨としてアップダウンを繰り返すことになる――介入のダイナミズムはnever come back!(残念!)

◎<豪ドル相場>

先週後半はドル反落地合で67セント台まで回復。対円では93円台中心の揉み合い。
年末に向けて徐々に底堅くなる展開か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6584-0.6781  AUDYEN  93.12-94.13
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6500-0.6800  AUDYEN  92.50-95.50

先週豪ドルは引き続き“米ドルの受け皿”役に徹して、週初はドル堅調を反映しての軟調を継続したが、週末にかけてドルが反落する中、67セント台後半まで上昇。
対円では引き続きドル円のアップダウンと相殺する形で93円台を中心とする揉み合い推移となった。
隣国NZの準備銀行は先週75bpの利上げを断行して政策金利を4.25%として追加利上げを示唆した。現時点では先進国で唯一米国の政策金利を上回っている。
対照的にRBAは10月、11月と利上げ幅を25bpに減速させたが、依然としてインフレのピークはまだ見ていないとの認識である。
RBAは引き続きインフレ抑制と9年ぶりの高水準の政策金利上昇が経済に及ぼす影響のジレンマに悩む日々を送りそうだ。
今週は10月小売売上高、10月月次CPI、Q3民間設備投資などの重要指標が発表されるが、暫くはドル本位の相場展開に豪ドルも追随せざるを得ない。
ただ62セント台以下、90円以下はいかにも「豪ドル・アンダーバリュー」の領域であり、年内は“アフター・ウクライナ紛争”を徐々に織り込みながら、底堅い展開となることが予想される。(12月に入ると資源産業関連の豪ドル買い手当(輸出予約)が例年活発化する)


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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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