at_money_service
マネー

今週の相場のポイントby Joe Tsuda (津田 穣)5 December 2022

28 November 2022

◎<主なイベント>
12/5日(月)財新サービス業PMI(11月)、トルコ消費者物価指数(11月)、米ISM非製造業景気指数(11月)、ラガルドECB総裁講演、ユーロ圏財務相会合、米EU貿易技術評議会(TTC)閣僚級会合
6
日(火)豪中銀政策金利、豪州経常収支(第三四半期)、EU財務相理事会
7
日(水)日本景気動向指数(10月)、豪州GDP(第3四半期)、中国貿易統計(11月)、カナダ中銀政策金利
8
日(木)豪州貿易収支(10月)、日本景気ウォッチャー調査(11月)、ラガルドECB総裁講演、欧州防衛機関(EDA)年次会合
9
日(金)中国消費者物価指数・生産者物価指数(11月)、米生産者物価指数(11月)、ミシガン大学消費者信頼感(12月)


◎<マーケットの焦点>―ドル高調整は既に“行き過ぎ”だと思うが、市場は止まらない

<ポイント>
・先週は前週反発したドルが再び大幅に反落した。
ドル円 139台→133
ユーロ 1.02台→1.05
ポンド 1.19台→1.23
豪ドル 66セント台→68セント台
・ここ数週間米インフレのピークアウト観測と国債利回り低下が著しく、ドルの調整売りが続いていた。
・先週の直接のドル下落は、パウエル議長の講演で12月のFOMCで「利上げ縮小の可能性」が示されたことによる。
・また激しい抗議デモを受けて中国の衛生当局がコロナ規制の行き過ぎを緩和する姿勢を示し、実際に感染死者数がピークアウトし始めたことで、リスク回避のドル買いの巻き戻しも入った。
・インフレ高騰・政策金利引き上げの先鞭を切った米国で、インフレ鎮静化の兆しが見え始めたこと(10CPI8カ月ぶりに8%台を切った)から、金利先高観に修正が入るのは当然の成り行き。他の主要国でも米国と同じコースを歩むのだが、市場は目の前の動きに反応する。個人的にはドル調整反落も“やや行き過ぎ”と思うが、Over Done(行き過ぎ)は為替相場の常。来週14日(水)のFOMCでの利上げ幅が焦点だが、その前に発表されるインフレ関連指数(5日の11ISM非製造業、9日の11PPI12日のCPIなど)に市場の関心が集まるが、いずれも予想比弱い可能性があり、その場合にはドルはもう一段下押しするだろう。
ただ売られ過ぎたドル売りポジションはいずれ買い戻されることも銘記すべき。
・ドル円も151円台から金曜日には一時安値133円台まで約12%調整された。ただ円買い戻しの動きも“ドル売り戻しの裏返し”でしかない。
・来年世界経済が鈍化する中、「生体反応に乏しい日本経済」は、急拡大もなかった分、落ち込みも少ないかもしれない。
・日本経済には壮年期の活発な新陳代謝はもはや見られないわけで、容体が急変することもないかもしれない(ネガティブな安定感?!)。
・繰り返しになるが、いずれウクライナ紛争も終息し(来年のある時点と予想)インフレは沈静化するであろう。経済・財政・安全保障、あらゆる面で目立たなく、しかし着実に進行する“日本のファンダメンタルズ”の劣化。
いずれ“危険通貨円”が牙をむく(日本売り=円売り)ことになろう。

◎<豪ドル相場>

ドルの調整反落が続く中、68セント台まで反発。一方対円ではドル円の急落を受けて91円台まで値を下げた。12月後半は例年豪州資源会社の輸出予約(豪ドル買い)が出やすいことにもそろそろ注意したい

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6640-0.6844  AUDYEN  91.14-93.85
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6650-0.6950  AUDYEN  89.00-94.00

先週豪ドルは対ドルでは68セント台まで続伸したが、対円ではドル円の大幅下落が豪ドル上昇に勝り、91円台まで下落した。
引き続き“豪ドルは米ドルの受け皿”役に徹しているが、中国当局が厳し過ぎるゼロコロナ政策を是正する姿勢を示したことも豪ドル支援材料視された。
上述のようにドル買いポジションの調整はかなり進行したと考えるため、69セント台を超えて大台である70セント台回復する実力は今の豪ドルにはないと考える。しかし例年年末に向けては豪州資源会社(日本の商社や石炭鉄鋼会社を含む)の輸出予約(豪ドル買い)が活発化する時期であり、その流れにつながる場合には、豪ドルの下値は押し目買いにサポートされることとなろう。
一方対円でも90円を割り込むとなれば3月下旬以来であり、ここまでの下落もかなり「Over doneの領域」と考えるが、年末特有の薄商いの中、90円割れがないとも言い切れない。
12月の豪ドルは“今年のボラタイルな相場展開”を象徴するようにかなりUP & DOWNしそうだが、そこに実需の豪ドル買い需要が加わるため、動きを予測することが極めて難しい。


―読者各位―
◎ジョーのTWITTER、フォローしませんか??
アドレスは@joetsudaFX です-相場の話など意見交換しましょう!!
◎セントラル短資FX社の「マーケットビュー」(https://www.central-tanshifx.com/market/marketview/column/?morecnt=0&itemtype=1&pdate=2022112115年近く投稿しています。
月報(毎月第三月曜日にアップ)ですが斬新な相場観をご披露します!!

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら

マネー

29 January 2024 ◎<ポイント> 今週はFOMCに米雇用統計 ・先週は米株(NYダウ、S & P 500)が史上高値を更新!! …