at_money_service
マネー

今週の相場の焦点by Joe Tsuda (津田 穣)30 January 2023

30 January 2023

<ポイント>  今週はFOMCECB理事会、BOE理事会―市場のコンセンサス内では相場動きがたく 


・先週為替は売り買い交錯。日銀の緩和姿勢が黒田総裁交代とともに後退するとの思惑は強いが、0.5%を大きく超える10年債利回り上昇も“非現実的”との見方が依然強く、ドル円の129円台での底堅さや日経平均の堅調に表れているようだ。
・主要国の株価は日本のみならず昨年末比上昇しており、リスク回避の動きも後退している。特に米国企業決算ではIT関連の決算が無事通過しナスダックも堅調を維持。
・また年初来弱めの指標が目立った米経済指標も先週発表されたPMI速報値、Q4GDP速報値、耐久財受注などは早くも回復の兆しを見せている点も米債利回り下げ止まりと株価の堅調に寄与している。
・今週はFOMCECB理事会、BOE理事会が開催され、いずれも利上げ幅がFOMC25bp4.75%に、ECB50bp3.0%に、BOE50bp4.0%で市場のコンセンサスが出来上がっている。予想外だとまた“一荒れ”来るだろうがその可能性は低い。
・何度も指摘しているように主要国(日本以外)のターミナルレートに大きな差異はないはずであり、その意味では出遅れているECBの今後の利上げ余地が一番大きいが、それを持ってユーロ買いに傾くのもいかがなものかと思う―現在IMM通貨先物でユーロロングが134千枚あまりとかなりロングが蓄積されているが、近い将来調整売り戻しされるように思う。
・日本のインフレ率は4%を超えてきたが、電気・ガス代などの光熱費及び食費、日常雑貨類価格の上昇は国民生活を大きく圧迫している。政府日銀はYCCなど自己都合に執着せず、まさに「今1.00%への短期金利の利上げと同時に、国民へのインフレ支援金の配給を実施すべきであろう」。
利上げと1000兆円を超える国民の銀行預金への不利により、内需を刺激するとともに、30年続く異常な金融政策の正常化への道筋をつけるべきであり、短期金利の正常化が“いびつな国債のイールドカーブ”の正常化にも役立つであろう。
・政府日銀の時宜を得た政策対応がない場合には、早晩「日本売り・円売り」の嵐となることであろう。
「円安にすべき論」を主張して昨年は150円を達成したが、次回150円を上抜く時は“失望感の円売り”が原因となるだろう。
・因みに“中国のコロナ感染9億人”の報道にもかかわらずJohns Hopkins Uniのコロナ感染データでは依然中国の感染者数(回復含む)は490万人程度であるが、死者数は最近18千人が91千人に訂正された。この中国のでたらめな報告は許しがたいが、中国以外の各国への感染状況に大きな影響がないために「いつものでたらめ」として国際社会は無視しているかのようだ。

◎<豪ドル相場>

予想外の71セント台は、ややはしゃぎ過ぎでは?

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6962-0.7142  AUDYEN  90.17-92.82
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6950-0.7250  AUDYEN  90.00-94.00

先週「豪ドルが70セントの強いレジスタンスを完全に抜くには依然材料不足であろう」と述べたが、簡単に71セント台を突破してしまった。
直接の原因は発表されたQ4CPIが7.8%、12月のCPIが8.4%と予想を上回り、RBAの利上げ幅が再び足元の25bpから50bpに引き上げられるとの思惑であろう。
その他にも世界的な株価堅調や中国経済再開や欧州の暖冬予測などによるエネルギー危機観測の緩和も豪ドルをサポートした。
ただ、CPI8%台まではRBAの想定範囲であり、RBAのターミナルレート(3.5%~4.0%と想定される)を大きく上に逸脱することはないであろう。現在RBAのオフシャル・キャッシュ・レートは3.1%であるが、来週のRBA理事会では引き続き25bpの利上げを実施するものと思われる。
年初来の米ドル軟調地合が続いており、それも豪ドルをサポートするが、米ドルも底堅くなりつつあり、“米ドルの受け皿”としての豪ドルの上値も71セント台では高値警戒感も出よう。
ただ豪ドル円については引き続き中長期的に100円を目指す過程にあると考える。

―読者各位―
◎ジョーのTWITTER、フォローしませんか??
アドレスは@joetsudaFX です-相場の話など意見交換しましょう!!
◎セントラル短資FX社の「マーケットビュー」(https://www.central-tanshifx.com/market/marketview/column/?morecnt=0&itemtype=1&pdate=2022112115年近く投稿しています。
月報(毎月第三月曜日にアップ)ですが斬新な相場観をご披露します!!

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら

マネー

29 January 2024 ◎<ポイント> 今週はFOMCに米雇用統計 ・先週は米株(NYダウ、S & P 500)が史上高値を更新!! …