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今週の「相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣) 6 March 2023

6 March 2023

<ポイント>  市場は徐々に膠着か 

・先週は2月中旬の米1CPIから続く米ドル上昇トレンドも一服。発表される米指標も耐久財やシカゴPMI、消費者信頼感などが予想を下回り、ドル買いポジションの調整を見た。ただISM製造景気指数中の価格指数の上昇や、ISM非製造業景気指数中の雇用指数の上昇など、依然として金利先高観は維持しておりドルの下値も限定的だった。
・米10年債利回りは一時4%台に乗ってドル円は一時137円台を付け、ユーロも1.05台半ばを付けたがそこがドルの天井となった。
・米国はじめ主要国の株価は1ヵ月ぶりに反発し、商品相場(CRB Index)300台を回復して越週した。
・植田氏の参院での所信聴取で同氏が緩和継続姿勢を再表明したこともドル円の底堅さにつながった。
・ユーロ/ポンドは一時0.89近くに反発。欧州各国でのコアインフレ一段の上昇からECBが一段と利上げ継続姿勢をと強める一方、英国では景気後退への警戒感が強まっている。ただ現在の政策金利水準が米国4.75%、英国4.0%に対して遅れて利上げレースに参入した欧州が3.0%であり、ターミナルレートから最も遠いECBに引き締め堅持姿勢が強いのは当然ではあるが。
・指摘しているように米国対欧州のその時々の景況感やインフレ動向によりボールが両陣営間を行き来している状況はしばらく続きそう。
・その中で今週の焦点はパウエル議長の半期に一度の議会証言と米2月の雇用統計だが、果たして米国のターミナルレートの着地点が見えてくるか?(見えてこれば米ドル軟化となろう)
・米インフレ鎮静化予想が後退しドルの反発を見たが、再び“揺り戻しの揺り戻し”(ドル反落)となるにはパウエル発言や雇用統計からのハト派的シグナルが必要となる。
・相変わらず中国全人代からは“国威発揚”のための威勢のよい発言が続くだろうし、ウクライナ情勢は予想を超えたサプライズ(ロシア国内情勢の急変など)でもない限り進展が期待できない(相場かく乱要因)。
・市場は次のサプライズ待ちで膠着化の可能性も―――「相場は動き出すまで動かない」

◎<豪ドル相場>

67
セント台前半、91円台前半では押し目買いが入るが、続伸するには材料不足

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6698-0.6783  AUDYEN  91.28-92.24
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6650-0.6950  AUDYEN  90.00-94.00

先週豪ドルは一旦反落したが、下値67セント割れ、91円台前半では押し目買いでサポートされ、結局下値は割れなかった。
発表された中国の2月PMIが予想を上回ったことも豪ドルをサポートした。
ただ米ドルの調整も予想の範囲内であり、豪ドルが大きく買い戻される展開ともなっていない。
発表された国内指標では1月小売売上高以外、Q4GDP、1月月次CPI、1月住宅建設許可件数など総じて軟調であったことも豪ドルが伸び悩んだ理由だ。
要すれば2月上旬からの豪ドル下げ相場の調整が入りつつあるということだが、米ドルが意外と健闘しているために上値も限定的といったところ。
今週のRBA理事会では25bp利上げしてオフィシャル・キャッシュレートが3.6%になると予想されるが、現在ターミナルレートは4%近辺であり、まだ上昇余地はあると言える。
もっともRBAロウ総裁への批判がさらに強まり、総裁任期(今年9月)を待たずして降板ともなればRBAの強気姿勢にも変化が訪れかもしれない。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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